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オンライン講座でケン・リュウの短篇「紙の動物園」を読みました

 2024年2月21日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「英語で読みたい!アメリカ文学」でケン・リュウの短篇「紙の動物園」を読みました。
 中国からカタログで選ばれて来た母親と、アメリカ東部の普通な白人である父親の間に生まれた少年が主人公です。母親が紙を折って作った、自分で動ける不思議な虎をおもちゃとして育った少年は、学校に行き始めると、周囲とのズレを感じ、やがて母親を否定するようになります。母親が早く亡くなったあと、彼は母親に残された手紙を読んで自分の過去を悔い、しかし母親はもう戻ってこない、という切ない話です。
 この物語にはファンタジー要素や移民文学の要素、親子関係、青春の過ちなどが含まれており、論点が豊富に盛り込まれています。そして、非常に感情に訴える話でもあります。
 正直、ケン・リュウは天才ですよね。受講生の方々も、時には自分の体験を踏まえながら、さまざまに論じてくれました。十年前に読んだとき気づかなかったことが見えてきたとか、自分の親子関係を思い出した、といった感想がありました。みんなの気持ちが巻き込まれるのは、良い作品の特徴ですね。
 ケン・リュウの作品を読むという選択は正しかったと思いました。次回は3月20日で、課題はローレン・グロフの「ミッドナイト・ゾーン」です。これも楽しみです。

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