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インドの時代は来るのか来ないのか?JBICアンケートでは有望先首位だが・・・

とうとう、日銀も、表層はともかく、内実的には利上げに踏み切った・・・と少なくともマーケットではみられています。そもそも、無理やり金利を引き下げるのは、民主主義、自由主義の範疇としてどうなの?という議論はあり、市場に委ねる幅を広げると、じわりと利上げ・・・そういうことになります。

だったら、もっと早くやってれば、一時150割れの円安も避けられたんじゃないの・・・そうかもしれませんが、市場は、サプライズに大きく反応します。年末のこのタイミングで、方針展開は大きなサプライズで、市場関係者は大慌て・・・それでも、日米金利差、貿易赤字が埋まるわけではなく、ファンダメンタルズ的には急激な円高は想定しにくいも、山高ければ谷深し、今一段の円高もあるかも・・・そんな年末にはなってきました。

さて、毎年度11月から12月にかけて、国際協力銀行(JBIC)が、アンケート調査を発表します。通称は、海外直接投資アンケートです。
私も、先週の金曜日、説明会を拝聴しました。

https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2022/pdf/1216-017128_3.pdf

一番の注目点は、中期的有望事業展開先国・地域で、おそらく、中国が落ちて、インドが上がるとみていましたが、結果は、僅差ですがその通りになりました。

https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2022/pdf/1216-017128_1.pdf

ちなみに、近年は、米国が3位につけています。
JBICのアンケート調査対象は、いわゆるグローバル製造業であり、回答は大企業主体です。

そのため、本音は米国重視ではないかとみており、
インドは、力を入れなきゃいかん・・・こういうスタンスのように思えます。

インドは、人口規模では、既に中国を抜いているという見方もあり、民主国家ですし、1位というのはわかります。

ただし、インド人気は、これまでは、2005年、2012年と、中国人気が落ちると、たなぼたで上がった感じがありましたが、今回は、本物なのか・・・まだよくわかりません。

確かに、スズキは、インドで大成功してますし、意外と日系家電・医薬品各社も奮闘しています。台湾系EMSによるiPhoneの上位機種も、インドで生産されるなど、製造拠点としては、台頭しそうです。

私は、インドの成長性および市場としての商機には長らくの間、懐疑的でした。保守的な土壌があり、参入障壁の高い国だからです。
長年イギリスに支配された歴史がある一方、重化学工業では国営に地場財閥があり、外資と連携して稼ごう・・・どうもその機運が中国やASEANに比べて、弱いように思えます。

この内容から、大きな進展は・・・みられません。

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/report/report07-1114.pdf

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/report/report08-1127.pdf

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/report/report11-0408.pdf

インフラ整備は、企業が自前で行っており、政府が注力する気配は相変わらずありません。農地の工業用地への転用は、タミルナドやグジャラートのような保証制度を整えた州を除くと、非常に時間がかかります。そのため、開発は、予定の何倍も時間がかかってしまいます。小売業も、段階的な規制緩和が進んではいますが、シングルブランドはOKですが、マルチブランドは外資が自由に参入できる状態にはありません。

RCEPから外れてしまったように、唯我独尊、ロシアとも一定の距離で付き合いっており、一言でいうと、難しい国です。

他方で、参入衝撃が高いがゆえに、一旦、中でシェアを確保し、地場での地歩を固めると、スズキを筆頭に成功しているケースもみられます。

それでも、インドは中国とはすべてが対照的で、コロナ対策でも、ゼロコロナで封鎖するも、どうやら集団免疫の獲得ができないまま、オミクロン対応への苦慮がみられる中国、対して、デルタ株蔓延時にかなりの犠牲を強いながら、どうやら集団免疫を獲得して、乗り越えたようにみえるインド。

毎回のインドブームでは、実は、同じようなインフラ、規制緩和の話が、繰り返され、デジャブだらけなのが実情ですが、それもまたインドなのでしょう。

人間で例えれば、インドは中国と並んで身長2メートル級の巨人。ただし、度々チャンピオンベルトを巻く中国に対して、無冠の帝王のような様相ではあります。

それでも、インド時代はやってくるのか?
実は、日系中堅中小企業主体のアンケートでは、インドはぐっと下位になり、タイ、ベトナム、インドネシアなどのASEANの後塵を配することが多くなります。そのため、日系グローバル製造業が、インドをどこまで重視するのか、そこにかかっています。

今回のJBICアンケート、メディアの関心は、高くはなかったようですが、毎年度実施されており、その伝統にはやなり重みがあります。本当にインドなのか、来年度以降、試されることになりそうです。








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