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デジタルマーケティング大国はどこか?そのシンプルな理由とは?

前回(以下)に続いて、学会報告について触れていきます。

次は、グローバル消費財企業による、デジタルマーケティングについての報告でした。その企業は、中国で大成功を収めています。今の今は、ゼロコロナ政策で、中国の一部地域では影響があると思われますが、全体では、何するものぞ!という感じでした。

そもそも、デジタルマーケティングとは?ということになりますが、実際には、通常のマーケティングと変わりません。+αで、豊富な顧客の購買情報が手元にあり、それを有効活用している状況と考えればよさそうです。

この情報があれば、購買者は、年代や性別、どこで買っているのか、いつ買っているのか、いくらで買っているのか、わかりますので、それを基に、販売戦略を進められます。

また、中国では独身の日、11月11日がネット販売セールの日として有名ですが、期間限定セールスなどは、ネット販売が非常に有効という話もありました。

こういう話だけ聞いていると、別に、どの国でもできるのでは?
そう思われた方も多いのではないでしょうか。

ポイントは、誰がその顧客の購買情報を持っているのかです。中国においてはスマホQR決済が隅々まで普及、これはスマホの普及とリンクし、QR決済を抱えているには、アリババ傘下のアントフィナンシャルのアリペイと、テンセント傘下のウィーチャットペイです。つまり、デジタルプラットフォーマーが決済を押さえています。

さらに、ECのほうでは、アリババと京東(JD.COM)が2強、京東はテンセントの傘下です。ECのほうでも、デジタルプラットフォーマーが押さえています。

中国のスマホユーザーはざっと10億人です。つまり、アリババとテンセントに代表されるデジタルプラットフォーマーが、10億人もの膨大な購買情報を押さえています。こことの良好な関係が得られれば、デジタルマーケティングは、成功に一挙に近づきます。冒頭のグローバル消費財企業は、良好な関係を構築していると考えてよいでしょう。その結果、販売は伸長し続けています。

翻って、先進国、特に日本ですが、購買情報は、決済やEC企業が押さえている点は同じですが、それを、消費財メーカーがアクセスできるかといえば、疑問符が付きます。アクセスできないことは、国民の安心感を高めている一方で、デジタルマーケティングの自由度は狭めていることになります。

https://note.com/koji_sako/n/n5da1a0b1adfa

これらの顧客の購買データを、加工して個人特定ができないようにして有効しようとしているのが米国です。日本も、いずれは、ルールがクリアになったら、デジタルマーケティングは飛躍する余地はあります。

ただ、足元では、中国において巨大な購買情報を押さえたプラットフォーマーが、消費財メーカーに対して柔軟な姿勢を維持しており、その限りにおいては、中国がデジタルマーケティングの社会実装の先端の位置に立つように思えます。

そこでノウハウを蓄積しつつ、先進国ルールが固まれば、それを組み込んで、先進国でも展開していく・・・そういう潮流になるのではないでしょうか。

なお、あくまで消費財など、半導体、バイオ、クラウド、車載バッテリーなど機微分野ではない分野での話になりますので、そこはご留意ください。




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