2023年3月4日 日記

  朝、少し早起きして、作家の温又柔さんときたしま君で出版社した『日本語に住むということ』の刊行記念イベントに行くために、妻と三鷹へ向かう。三鷹は僕が東京で一番好きな街ということと、久しぶりに友達に会えるということで、胸が高鳴るのを抑えつつ自転車を漕ぐ。頭の中で、mooolsの「街は今 友達に会いに行くときの匂いがしている」がリフレインする。

  三鷹の書店UNITÉさんに着き、まずお店の素晴らしさに驚く。近所にあったら頻繁に通ってしまうよ。ますます三鷹に住みたくなる。
  ひとしきりトークを楽しんだのちに、音楽家/翻訳家の小島ケイタニーラブが合流。言葉、絵、音がクロスオーバーするパフォーマンスが行われ、おおいに刺激をもらう。温又柔さんの切実な言葉に胸を打たれる。国や言語に関して、僕には想像もできない苦悩や生きにくさを感じていることが分かる。朗読で自身の著作から引用した言葉に、悲しみや諦念を超えた強さを感じ、感動する。
 イベント後、きたしま君や小島さんと談笑し、禅林寺へ。道中、たいやきを買って食べながら歩く。ところどころに咲いている梅が、春の陽射しを浴びて喜んでいるように見える。
 久しぶりに行く太宰の墓。きちんと花と日本酒、トリスウイスキーが供えられている。なんだかここに来るのは久しぶりだ。「お久しぶりです」と心のなかでつぶやき、目を閉じて手を合わせる。隣にいる妻もなにか感じ入っているみたいだ。ここに案内できたことを嬉しく思う。

 その後大好きな喫茶店リスボンで休憩し、吉祥寺まで歩く。吉祥寺に着く頃にきたしま君から連絡が入る。三鷹に戻り、小島さんと一緒にお茶をすることに。こうやって、友達とただただダベるというのは、なんて楽しいのだろう。あっという間に時間が過ぎる。

 帰宅後、夕食を食べてなにか映画を観ようということになり、スピルバーグの『A.I』を観る。だいぶ久しぶりの鑑賞ですっかり内容を忘れていたので、新鮮な気持ちで観ることができた気がする。あのラストシーン、賛否両論あるようだが、個人的はすごく好きだ。キューブリックが撮っていたら、別のモノになっていたのではなかろうか。(基本的にキューブリックの企画書に忠実に作っているようだが、それでもスピルバーグの作家性が如実に現れている気がする。宇宙人がすごくいい人だし。笑)早く『フェイブルマンズ』見に行きたいな。

   風呂に入り、山尾悠子の『迷宮遊覧飛行』を読んで就寝。
 

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