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運送業界のリアル(#2)

こんにちは!運送業界のリアルと題して、
日々物流を支えてくれてる運送事業者様の実態その2をお届けします。

前回に引き続き、なるべく運送事業者様からいただいたお声をもとに記載しておりますが、私個人の解釈も含まれておりますのであくまで1つの参考として受け取っていただければと思います。

前回は下記に記載した運送事業者の運行業務のうち、
下記1,2をご紹介しました。
今日は残りについてご紹介したいと思います。
(ドライバー目線ではなく管理者目線で記載しています)

A)運行業務
1)受注
2)配車
3)運行(点呼〜乗務(荷積・荷卸し)〜点呼)
4)日報処理
5)請求処理

■運行

配車(いつ・誰が・どの車で・どの荷主様の仕事を行うか)の予定に従い、実際に貨物を運搬します。

ドライバーの方は出社すると乗車するトラックの日常点検を行い、
その後"点呼"と呼ばれる業務を行います。
どこの運送会社でも、受付口にはアルコールチェッカーや、記録用の紙などが置かれています。

ここで、酒気帯びの有無や運転免許証の携行確認などを運行管理者と呼ばれる役割の方と対面で実施されます。
この業務は法律により義務付けられており(貨物自動車運送事業法17条、貨物自動車運送事業輸送安全規則7条)、
たとえスケジュールの関係で深夜・早朝にドライバーさんが出社される場合にも対面で行うことが求められています。

近年は"IT点呼"と呼ばれるPCやスマホでインターネットを介した効率的な方法での点呼も増えておりますが、
これはGマーク(交通安全対策等について一定の基準を満たした事業所が取得できる認定制度)を取得している事業所に限ります。
全日本トラック協会によると、2020年12月時点では認定率31.3%とのことで、事業所のうち約7割では未だに対面での点呼を実施しています
(日をまたぐ長距離運行時の中間点呼を除いて)

点呼

(トラック協会の動画より抜粋しています)
https://jta.or.jp/member/anzen/tenko_dvd.html

点呼を終えるとようやく乗車して運行業務が始まります。
ここからドライバーは法律で定められた休憩時間を守りつつ、
荷主の要望の時間・場所に向かいます。
スムーズに運行ができれば良いですが、道路の混雑状況などにより、
予定通りに運行できないこともしばしばあります。
そういった場合には事務所にいる配車マンや運行管理者が荷主、納品先、
ドライバーと連携をとりながら対応をしていきます。

荷主目線でよくあるコミュニケーションは、今どこにいるのか?いつ着くのか?という点です。
このコミュニケーションは、
納品先(倉庫・センターなど) → 荷主 → 運送会社(配車マン → ドライバー)という形の伝言ゲームで実施されます
会社によっては納品先に対して、ドライバー名や車番、携帯番号などがあらかじめ伝えておき、納品先とドライバーにて状況の共有を直接行っている場合もあります。

こういった伝言ゲームによる非効率なコミュニケーションの改善に一役買っているのが、テレマティクス技術になります。
車両に積んだデバイスを介して位置情報を取得し、関係者間にリアルタイム(に近い間隔)で位置情報や到達予測時刻を伝えることができます。
近年こういったデバイスによる位置情報取得(動態管理と呼ばれています)は、運送事業者に限らず小売り業者の自家配送(ネットスーパーなど)や、
企業の営業車の管理といった一乗用車でもニーズが増えており、そういったサービスを提供しているプレイヤーも増えています。

運送事業者は要望通りの日時・場所に貨物を届けることが求められますが、なぜそこまでシビアなのでしょうか?
その背景の一例として納品先(倉庫・センター)側に問題があります。

倉庫・センターにも種類はありますが、よくお話を伺うケースとして下記のような事例があります。
通常、倉庫では午前中の早い時間に主に貨物の搬入を行い、午後の早い時間に搬出を行っていたりします。
ここで、いつ・倉庫のどこ(どのバース)にどのトラックが来るのかを倉庫側は管理をしており、
運送業者がその時間通りに来れないと他の運送会社の車両との兼ね合いから、バースが空いてなく倉庫内に入ることや、貨物の搬出を行うことができなくなります。
倉庫に入れない場合に倉庫の近くで待機をしていると周辺住民からの苦情にもつながるため、
倉庫としてはそういった待機を極力避けたいために入庫のおおよそのスケジュール感をつかんでおきたいという気持ちがあります。

こういった背景から、おおよそ時間通りに来ることが求められるのですが、
時間通りにいっても問題が発生するケースがあります。
それは、倉庫側業の遅延によるバース待ち問題が発生するためです。
要望通りの時間に行ったは良いが、数時間の待機が発生した、というのはよく聞く話です。
そして倉庫に入れない場合には周辺で待つこともできず、少し離れた場所まで移動して待機を行います。
みなさんが見かけたことがある町で止まっているトラックも、もしかしたら待機業務中なのかもしれません。

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参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotoaiki/20210309-00226455

こういった問題を解消/効率化するためにバース予約システムというツールも昨今導入が進んでおります。
モノフル様のトラック簿もその1つです。

ちなみに、我々がメインで接しているお客様では特にリアルタイムに近い
動態管理のニーズはそこまでありません。
近くの高速の出口降りた時くらいに連絡ちょーだい、くらいだよ。というお客様が多いですが、どういう荷主様と、どういう貨物を運んでいるかによってニーズはかなり分かれて来ます。

■日報処理

無事荷物を届け、営業所に戻ってきてもまだ仕事は残っています。
そこであらためて車両の点検を行い、乗務記録(日報)を提出し、乗務終了後点呼を行いドライバーの仕事が完結します。

ドライバーの一日の業務内容が記載されてるのが日報ですが、
貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条にて必要な要素が定められています。
日報は各社でオリジナルのフォーマットを作成し、紙で管理している会社様が多いです。
トラック協会などからテンプレートがダウンロードができますが、あまりそのまま活用されてる企業は少ないように思います。
また、最近はデジタコを入れてる会社様がほとんどですので、日報を手書きではなくシステムで対応している会社もあります。
しかし、実態としては「デジタコは入れてるが日報は紙」が一番多いケースです。

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(トラック協会からダウンロードできる日報フォーマット)
参照:http://www.ttaota.com/web3/info/tyohyo-sample.html

それら日報をもとに、運行管理者はドライバーの勤怠(適切な休憩を取っているか)や、急停車急発進といった運転自体に対してドライバーに指導を行います。

その後、主に翌日ですが、各社の事務員さんが日報をExcelやシステムに打ち込む業務を行っています。
これは、点呼データと付け合わせてドライバーの労働時間管理を行うためと、請求につなげるための案件・運行情報の管理のためです。

1日いくら、1カ月いくらと運賃が決まっている場合は良いですが、
荷物の数や重量、距離などで運賃が定められている場合は日報での実績情報が請求の根拠となります。
このため、Excelなどで集計できるようにまとめておく必要がありますが、
ここで打ち込み漏れ・ミスがあると請求に影響が出てきてしまいます。

■請求処理

荷主毎の締め日に従い、請求期間中の案件情報をもとに請求書を作成しますが、請求書を発行する前に請求期間中の運行情報を一覧として出力し、「これで請求するよ」と荷主にあらかじめ確認を取ります。
"お伺い書"と呼ばれるものですが、中には金額欄を空欄で送り荷主に金額を埋めてもらうケースもあります。

同様に、荷主だけではなく協力会社(下請け企業)様に対しても"支払明細書"という運行情報を一覧で渡し、「この内容で請求書を起こしてね」というコミュニケーションを行います。

各運行の度に、書類(受領書)を納品先で捺印してもらい、荷主に返送するというコミュニケーションがありますが、
荷主は、請求期間における受領証と請求書の発行前に送られてくるお伺い書を付け合わせて金額や情報に誤りがないかの確認を行います。

荷主によって、請求書に記載する情報に細かい要望があります(先方の管理番号を入れてほしい、など)。
また、とある大手運送会社の仕事を請け負ってる会社だと、運賃と高速代を分けて請求書を発行しないといけなかったり、荷主側のシステムを利用しなくてはいけないなど、荷主起因で請求書・業務のバリエーションも多く、かつ未だに紙で郵送している企業が多いです
最近はアナログな請求書の発行業務を楽にしたい、という相談を受けることが増えてきました。

以上、今日は運送業界のリアル(#2)ということで日々の運行業務から請求まで業務に触れさせていただきました。
他にも日々いろいろなお話を伺うことは多いのですが、
その一例を本日はお伝えいたしました。

今後も運送業にまつわる課題と背景にある実態をわかりやすくお伝えできればと思っております。

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