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短編小説♯7 目の前に現れたのは?

迎えに来たのは

天使でもなく死神でもない、ただの少女だった。

私を迎えに来たのですか?いいえ。

連れてってくれるのですか?いいえ

じゃあ何をしに私の前に現れたのですか?・・・・

その少女は答えてくれなかった。答えて欲しかったことは、私は天国に行けるのか地獄に落ちるのか。

少女は後ろを向いて歩いていく。
私は1人にされるのが怖くて声を出したが、声が出なかった。音が無くなった。

後ろから追いかける。少女は遠のきはしないものの同じ距離を保って進んでいる。

その距離は縮まらない。そして私はふと少女ではなく周りを見渡すと、川だった。

川を見ると思い出が流れている。
その流れを見ると、私が生まれた時、私が初めて転けてしまった日、お母さんと2人で撮った入園式、かけっこでびりになって泣き叫ぶ私、入学式、初恋、初失恋、初受験、初めての成就、初めてのキス、少しずつ流れる川を見つめて私は下流を見た、すると少女はこちらを見て立っていた。

あーこの思い出の川に飛び込めば、私は楽になれるのか、楽に、

おかしいな。楽になりたくて私はこの道を選んだんじゃなかったっけ。

楽ってなんなんだろう。

楽は一時だけ。そのあとは苦痛以外与えてくれません。少女は言った。

ただあなたは楽になりたいと思えるほど、負債を貯めました。

なのでその分を今、楽ではないもので、お返しします。

ではどうぞ。負債?借金みたいなものか、そう思うと目の前は天井だった。

そこには中学から付き合って結婚した旦那と息子2人がいて、3人とも、いや、私もか。4人で泣いていた。

楽を求めた結果、本当に大切な、何かを失いそうだった。

楽なのか、時間なのか

わからないけど。そう、まず、お腹が空いている。

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