短編小説#8 何を守るための個性か

僕のお父さんとお母さんはいつも仲が良いのにたまに喧嘩する。

お父さんは大きな声で怒るし、お母さんは甲高い声で怒る。

僕はそんな2人を見ているのが怖くて今日も一人で静かに眠る。

起きて朝になるとお父さんは出かけててお母さんがご飯を用意してくれる。

お母さんはお父さんとどうして結婚したの?

お母さんは、お父さんに助けてもらったの。

そう。助けてもらったのだという。

お母さんが周りから蔑んだ目で見られている中お父さんの得意な大きな声でみんなびっくりして黙ったらしい。


そのままお父さんはお母さんを連れてここに来たと言う。

そして僕と三人で暮らしている。


お母さんは、今日も僕たちのご飯のために働いて、お父さんも出かけている。

僕も何かの役に立ちたい。

そう思い外へ出た。比べ物にならないくらい大きかったり、知的だったりたくさんすれ違う。

僕を不思議そうに見てそして誘ってくる。目まぐるしく、しんどくなって塞ぎ込んでそして僕の肩に誰かが手を置いて、そして叫んだ。

俺の息子に、なにかようか?

お父さんだ。

そして周りは逃げていく。

お父さんはやっぱり強いや。

お父さんの後をついて、僕も歩く。

お父さんはどうしてお母さんを助けたの?

男は女を助けなきゃいけねえ。俺たちは女からしか生まれねえから、守らなきゃいけねえ。

でも僕お父さんみたいじゃないよ?

何言ってんだ。俺は大きな牙と、吠えることしかできねえのに、お前のその翼、どこまでも飛んでいけて、そして大事なもんを包んでやれる。俺には出来ねえ助け方だ。

誇りを持て。種が違えど、お前は俺の息子だ。

父さんと勝負しろ。

全力で俺は走る。お前は飛べ。

家に着いた方が勝ちだ。


父さんは走り出す。そして僕も慌てて翼を羽ばたかせる。

いつか、僕もお父さんみたい、いやそれ以上に大事な人を助ける。そのためにはこの翼の使い方覚えなくちゃ。

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