成田空港へ到着しない!?

大宮駅を出発したONライナーという成田空港への直行リムジンバスは颯爽と滑り出した
首都高速に乗って走りぬける、だんだんと地元の風景が遠ざかる
あたまの中で走り抜けていくリムジンバスに乗っている僕自身の姿をイメージしながら、初めての海外へ飛び立つ期待と高揚感ではち切れそうだった
しかし、その期待と高揚感は小菅インターに差し掛かった辺りでぶち壊された

”雨のため渋滞で車が動かない…!!”

念の為かなり早めのバスに乗車したが、ここまでの渋滞とは…想定外だった
刻一刻と出発時間が迫ってくる…期待と高揚感は、失望と虚脱感で支配された

身軽だったのが幸いした

かくして10時に成田空港に到着する予定が1時間遅れて11時到着
アエロフロートのロシア行きの定刻は11時45分だったのでバスが到着しバスを降りた瞬間から全速力で走り出した!
出発便のロビーにむかい、スタッフをすぐにつかまえて航空券を見てもらう
自然と大声になって「この飛行機に搭乗しないといけないんです!」と叫んでいた
スタッフの方は僕と一緒に走りながらトランシーバーで連絡をしてくれた
頭の中はまっしろ、言われるがままにチェックカウンターで出発手続きを済ませる
出発便のゲートにむかい走っていくと、ゲートからもスタッフが駆け寄ってきた
走っている間も、空港内に僕の名前がアナウンスされたのを覚えている
トランシーバーで数回やりとりをした後、僕に出発ゲート番号を教えてくれた
待合室のようなところに到着したのは出発の15分前、ここまできて初めて周りを見渡せるていどまで落ち着きを取り戻した

いざ出発!

ゲートにいた旅客がまだ数名いた、僕はその旅客の進むように待合室から出た
階段を降りると小さなリムジンバスが待機していた
僕を含めた8名がそのバスに乗車、外国人ばかりでバスの中はすでに異国だった
そのバスのドアが閉まりゆっくりと出発したが、かなり長い時間バスに揺られた
空港を大回りして前方に見えるジャンボジェットに徐々に近づいていく
見えてくる大きな機体からすると、このバスは最終輸送なのだろう…
そんなことを考えながら機内の映画やサービスはどんなものなのだろうと妄想していたら、リムジンバスはそのジャンボの横を通り過げぎ、奥に待機している小型ジェットの前で止まった
ん?この小型機に乗るのか?何かの間違いでは?と思うのも束の間、バスから全員降車して、この小型ジェットのタラップを上り始めた

この人数で出発?!

僕は最後に搭乗したがほぼ空席の機内、バスに乗っていた8名が乗客全員だった
搭乗口のハッチは閉められ、初めて聞く外国語で緊急非常用具の説明があった
雨の打ちつける小窓から外を見ると、今登ってきたタラップが離れていく
雨の中スタッフが手を振っていた、この小型機で本当にロシアまでいけるのか?

小型ジェットはゆっくりと走り出し、メイン滑走路へ続く脇道を進んだ
小窓の向こうにメイン滑走路が見えてきたが、そのメイン滑走路に入る直前からジェット音が高くなり、離陸滑走路に進入し一旦止まることなく右旋回しながらエンジン音はマックスに…軽いGがかかったと思ったら、小窓にあった水滴はみるみる飛ばされ、機体は滑りながら離陸してしまった

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