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恒例にしている、休みの前日のナイトツーリング
店を終えてからバイクで夜の街から抜け出ようと思っていた
まだ少し時間も早いし、親友の居る病院に寄っていこうかな…
この頃になると彼の意識はなく、ナースセンターから一番近い部屋で、静かに寝ているようだった
その横で彼の彼女が座ってじっと彼を見つめていた
このまま彼女を置いて行く気にもなれずに、ナイトツーリングは中止
夜食を2人分買ってきて、僕らはそのまま病室に泊まることにした

病室が朝からバタバタ…

いつの間にか眠りに着いたようだった。早朝にうる覚えだがバタバタで起こされた
叩き起こされて周りを見ると、医者に看護師数名が病室内を慌ただしく動いていた
「お二人は外に出ていてください!」僕らは一緒に病室を追い出された
すぐ近くのナースセンターには彼の心拍数モニターがあったので見入ってた
夢を見ているのか? 心拍数は一度なくなり平な線が表示された
その直後、心臓マッサージ機が入ったようで急激な心拍を打った
そして2回目、3回目の心臓マッサージの後にまた平な線が表示され…
4度目の心臓マッサージは無かった
彼女は「あんなに頑張っていたのになんで?」と言いながら泣き始め
病室に入った途端に、魂が抜けたように彼の側にヘタっと座り込んでいた

僕はポカンと…身体の中に、まあるく穴が空いた感じだった

親友の「3ヶ月待って」の真相

彼が入院した当初、僕のローマ行きの話があったので親友に相談したが
「何も言わず3ヶ月待ってほしい」と言われ、ローマ行きを保留にした
実は入院当初に医者から "3ヶ月の余命宣告" を受けていたことを知らされた
だから病状など言わず、僕に3ヶ月待って欲しいといったんだ…
個室に入ってからは、彼の隣の病室の入院患者が亡くなり
また違う患者さんが入院することの繰り返し
彼は、入院時に受けた3ヶ月の余命を過ぎると「明日は我が身」と自覚し始めてたのだろう
毎日 "死の恐怖" に押しつぶされそうになりながら、折り鶴を作る日々…
どんなに辛く苦しくても、彼は前向きに生きる姿を最期まで見せてくれた

別れと決意

親友が亡くなってから1週間程度だろうか、彼の生き様を見た僕は何か吹っ切れた
医者から余命を宣言されてもなお、死と向き合いながら生き抜いた
病気を患いながら、宣告された期間より半年以上も多く生きた
健康な体で、病気もない僕は "死" より恐れるものがあるのだろうか?
言葉がわからないで…料理を知らないで…イタリアに行ったら死ぬか?

僕は彼との別れと、イタリア行きの決意をした

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