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L'Aquila(ラクイラ)の朝

デボラの家に泊まった翌日
朝から美味しいカフェラッテとヌテッラ(チョコクリーム)パンの朝食
小さな町だが レンガ作りの街並みはヨーロッパ独特のような気がする
迷子にならないように、デボラの家を中心に円周で散歩を始めた

全てが初めての体験 コンビニが無い オレンジ色の市バスと青色のプルマン
バスのチケットはどこで買うのか? 郵便局はどこ?
あまり派手な看板もないので 小さなショップが何屋だかもわかりにくい

話をするのが初めてで、この山間の小さな町には 日本語を話す人はいない
英語も話す人はあまりいないので イタリア語を話すしか無いがわからない
とまあ、こんな感じでイタリア生活は始まりました

デボラは授業なので、ローマ大学について行く

デボラ宅を出て家の近くのタバッキーに入った イタリアではバスは大きく分けて2種類ある、近距離のオレンジ色のアウトブスと中距離の青色のプルマンだ
そしてこれらのバスの発券所はなく、停留所付近のたばこ屋さんで販売している

ローマまでのプルマンに乗って、高速道路を順調に走っていたが 急にスピードを落として 挙げ句の果てに路肩に停車してしまった
どうやらエンジンの調子が悪く、黒い煙も出ているため緊急停車したようだった
バスの乗客は、この世の終わりだと言わんばかりのため息と文句、落胆の感情を剥き出しにしてブーイングが起こり始めた もちろんデボラも大学の授業に間に合わないと、もう泣きそうな顔をして運転手に一刻も早い追加便の対応を訴えていた

結局、後から出発したプルマンの席に余裕があったので、路肩のバスの中で後から追いかけてくるバスを待つことになった 中距離バスのエンジントラブル…日本ではあまりお目にかかれない、レアな体験をさせてもらった

待ち合わせは、マクドナルド前

大学の授業に忍び込むわけにもいかないので、授業が終わる時間にマクドナルド前で待ち合わせをした 13時だったよね? 待ち合わせの時間を40分経ってもデボラは来ないので、ウロウロしたのが間違いだった…

お金は無いが、時間が有り余っていたので街中を歩いていると、初老の方が地図を片手に近寄ってきた「この地図に描いてある広場に行きたいのだけれど…」英語をときどき混ぜながら話す初老の方は困っている様子 もちろん時間もあるし地図を見ながら案内をすることに決めた

その後「お前は優しいいい男だ!一緒に食事をしよう!」と提案してくれたが、お金を持っていないのでお断りをすると「そんなもの、このカードがあるから!」と彼の持っているカードを見せてきた

連れて行かれたのは、地下へと降りる小さな店舗 中に入ると壁が一面かがみが貼ってあ利、ミラーボールなどもあるようなクラブのようなお店
すぐに気づかないもんです…僕はコーラだけを頼んだが、僕の両隣には金髪の綺麗なお姉さんがふたり座り、キャビアのサンドにシャンパンが運ばれてきた

10分もすると初老の方は席を立ち「会計はハーフ&ハーフだ」と言い残して店を出て行ってしまった
残された僕は10万リラ(当時のお金で5〜6千円程度)を請求された もちろん料金を支払わないと危ないと察して(遅い!)となりの女性に手渡してしまった

掛け合ってみる

僕にとっては大金だった 騙されたのもかなりムカついたが後の祭り…
ただでは引き下がれないと思い、コーラをメチャクチャゆっくり飲みながら 
隣の女性に片言の英語で話しかけた「このお金でヴェネツィアまで行かなくては行けなかった、このままでは僕の人生が終わってしまう!」と…

隣にいた綺麗な金髪の女性が、奥の部屋に入っていった
どうやら奥の部屋にいるボスに話をしてくれたようで、5万リラ戻ってきた!
やっとの思いで支払ったお金の半分を回収したが、すでに14時過ぎ…

僕は急いで待ち合わせのマクドナルドに戻ったら、デボラがカンカンに怒っていた
「遅っいよー!何やってるのー!もう14時半だよー!」
いやいや、お前のせいだろ!と言いたかったが、お金を巻き上げられたと説明すると その日の帰り道はデボラ家までずっと笑われっぱなし、夕飯でもみんなに話されていい笑い物になった

その日から、大きな紙幣は靴の中、財布は小銭だけ、人と肩がぶつかったら財布の確認、近づいてくる人にはまず警戒 というマイルールができた

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