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逃男 番外編 「書くこと」

今回は番外編です。徒然なるままに現在の僕の周辺の景色と、頭の中を文字にしました。今回は砕けた感じの文で書いています。


 仕事の終盤、キッチン奥の狭いオフィスで久々に一日中パソコンをたたき続けてぼーっとしている頭を冷やすため、ホテルの外の駐車場にでる。

風が気持ちいい。建物を出て正面、住んでいる町では決して見ることのできない緑で覆われた丘も、今はただの黒いの影だけが見える。強いライトで照らされた、サッカーコートくらいある駐車場を見ながら、20年前の自分だったら絶対ここで従妹たちと鬼ごっこしてたはず、と感傷に浸っていた時に、「書こう」と思い続けるのをやめて「書く」、と腹に決めて、今に至る。

自分は書くことによって自分は何度も助けられてきた。何らかのストレスを抱えている時、だれとも話したく無いとき、頭の奥とか残ったままの言葉とか、だれかとの会話で何気なく放った言葉を時間をかけて拾い集め、ゆっくりと文章に綴る。最近はそんな「書く」という作業にブランクがある。

だから、先に片付いてない仕事をとか、寝たいとか、言い訳はいろいろあるけど、無理やり自分を「書く」という行為に身を置いてみている。

すると、感じてはいたけど頭なの中で言語化まではされていなかったことがぽつぽつと言葉になって頭に浮かび始める。今まで信じる方向に進むために良くも悪くも自分を無視して我慢して進んだ時間を一度止め、書くという行為を通して自分自身と向き合う。この時が一番、自分を理解できている、と思う。

何を書くか、

ただただ、ある出来事の一部始終をおもったことを混じえながら徒然なるままに書く。たとえば早朝起きてからキッチンまで行くとき、

スマホが遠くで鳴る、ということは5時か、え?最悪だな。ベッドの布団を足でどかす。空調が低く鳴っている、空調のせいでのどがやられてる。机の上のスマホを取りアラームを消す。もう朝かぁと毎回思う。コーヒーメーカーに水と豆を入れ、洗面所でかがみを見る。寝癖がやばい。服を脱いでシャワーで全身を流す。2分で終わる。シャワーを止めると急に静かになり、コーヒーメーカーの鼾のような音が聞こえる。バスタオルで体をふく。バスタオルがでかすぎて重い、頭がぼーっとしてるからか、髪をいろんな形に変えて遊んでいると楽しい。ふと我に返り、服を着る。レストラン着からほんのり味噌汁のにおいがする。発砲のコップにコーヒーを注ぐ、コップが一部熱で溶けててもおかしくないと思いながらも、気にせず飲む。あまり気にしない。最近になってメキシコの辛いソースでおなかを壊すことがはっきりわかってから特に路上のメキシコ料理と距離を置いているが、それ以外は気にしない派だ。マスクをつけるとマスクからも味噌汁のにおいがして気持ち悪い。新しいのをスーツケースから出して付け替える。ドアを開けてホテルの廊下にでる。絨毯の床を靴で歩く感触も好きじゃない、自分の布団の上を靴で歩くほど嫌ではないが、何となくそれに近い嫌悪感がある。許されるならば素足で歩きたい。エレベーターに乗る。この時間に人と被ることはまずない。鏡にマスクとキャップとそして全身黒の自分の姿が映る。自分の目をじっと見る。なんの確認かはわからないが気が付けばこれは毎回しているし、その後、確認済みという一つの仕事を終えた気分になっている。ほんの10秒程度のことである。エレベーターが開く。数メートル歩いてレストランスペースにつくと、味噌汁のとご飯とサンマの匂いがする。一気におなかがすく。数人のお客さんが点在し、箸をカチカチならせながら食事をしている。日本の、ブックオフで立ち読みしてそうな人たちをそのままメキシコに拉致してご飯をたべさせているようだ、と頭で形容してみる。言葉にし、何かに例えると少し現状を把握した気分になれて、気持ちが座る。まあ働いてる側だからこんな妄想最低だけどまあ妄想だしいいかと、改めて納得する。ビュッフェを見渡すと、日本食がずらっと並んでいる。メキシコ人がつくってい
るとは、有難いよな。キッチンに入る。寒い。味噌汁の匂いが濃くなる。|

さて戻ってきた。

不思議だが、この時にはもうやる気に満ちている。朝起きてからのこの一連の流れはおそらく毎回繰り返すルーティーンとなっていて、束の間ではあるが、そして無意識に作られたものではあるが、これによって自分は一日を頑張れているのだと思う。—――

このようにして振り返りながら書いていると、その時の出来事をトリガーに、それに付随されたその時の思想が返ってくる。そして、自分の頭を無意識に占領していることがわかってくる。

自分を認知するために、自分は定期的に書いたほうがずっと良いのだ。徒然なるままに、自分のためだけに書こう。

と、思ったのでした。

最近ユーチューブで料理の動画を上げている。最近は学ぶことが多いから、教わったことを他の誰かにシェアしたくて始めた。あと、5年前に、大学を退学し、魚屋で夢中で働いてた時に、家で魚のさばき方動画を撮り始めた時と全く同じ動機だ。
なによりも、書くことではないが、これも自分を振り返るための大事な行いになると思う。

次の逃男ではそんな退学してユーチューブを始めたりメキシコに夢を見始めた時のころを書きます。



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