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TOYOTAの闇を書く「トヨトミの野望」がめちゃ面白い。あくまでフィクションです。

小説という形をとった暴露本というのはあまたあるが、今回の「トヨトミの野望」はその中でも一級品だ。

本書で筆者が取り上げるのは、日本の自動車産業の「これまで」と「いま」である。
世界一の売り上げ規模を誇る巨大自動車企業「トヨトミ」を舞台に、経理畑から叩き上げで社長に就任した武田剛平と、創業一族で社長の座を狙う豊臣統一(作品後半で社長に就任)という二人の登場人物の物語が展開する。

そして、書かれているのは「世界で戦う自動車メーカーの苦悩」と「創業一族の功罪

主に創業一族以外で初めて社長に就任した武田(モデルは奥田)と豊臣統一(モデルは豊田章男)を軸に進んでいく。

世界で戦う自動車メーカーの苦悩

TOYOTAの売上高推移と歴代社長の在任期間をグラフにまとめてみたところ、奥田氏就任時の10兆から上昇傾向にあり、渡辺社長時に25兆円を超え、リーマンショック等の影響をうけ下落している。

小説の中の武田は4年間の在籍時に、あの手この手を講じて世界No1自動車メーカーの道を模索していく、その中でグローバル企業になるために豊臣家の排除も画策するが失敗に終わる。

創業一族の功罪

現実の豊田家は創業者一族とはいえ保有株は1%前後。資本の論理でいうと大企業への権力はないはずである。ただそれでも小説内のトヨトミ自動車は創業家の意向に右往左往する。

数十年ぶりの赤字をもって3代続いたサラリーマン社長に対して、遂に復活した大政奉還としての創業家の復活。
ただし、そこから簡単には進まない2009年のアメリカでの大規模リコール。米国公聴会へ召集と問題が続出していく。

そんな危機の中、武田はこんな発言をしている
ジュニアは残念ながら凡庸だ、しかし俺らにはないものを1つ持っているトヨトミの旗だ

その旗のもと集結したトヨトミは奮闘していくのである。

どこまでが史実でフィクションかはわからないが、それも含めて想像しながら
世界のトヨタの知られざる歴史と思って読むと大変おもしろい小説です。

■参考
人、金、女…トヨタの秘められた「奥の院」を暴露?衝撃本、登場人物のモデルはこの人物だ!」を参考にすると登場人物の対応は下記のよう。

※以下、左から、同小説内の登場人物→モデルと想定される実在の人物
武田剛平→奥田碩氏(現トヨタ相談役、元経団連会長)
御子柴宏→張富士夫氏(現トヨタ名誉会長) 
豊臣統一→豊田章男氏(現トヨタ社長)
豊臣新太郎→豊田章一郎氏(現トヨタ名誉会長、元経団連会長)
豊臣芳夫→豊田達郎氏(現トヨタ相談役)。章一郎氏の弟。
豊臣勝一郎→豊田喜一郎氏。章一郎氏の父、章男氏の祖父。
豊臣史郎→豊田英二氏(元トヨタ最高顧問)
豊臣太助→豊田佐吉氏 章一郎氏の祖父、章男氏の曾祖父
九鬼辰三→古川晶章氏(元豊田通商会長)?
九鬼辰彦→西川幸男氏(元トヨタ常務役員、現トヨタ部品愛知共販社長、実父が元豊田通商副社長)?
吉田拓也→元トヨタ副社長・元デンソー会長の齋藤明彦氏と、現トヨタ会長の内山田竹志の合成人物?
斎藤貢→元トヨタ専務の野口紘一郎氏と元トヨタ常務の宮原彰氏の合成人物?
ドーン・シモンズ→「グリーンメーラー」と呼ばれたブーン・ピケンズ氏。かつてトヨタを抜いて小糸製作所の筆頭株主になる。系列取引など日本の商慣行を批判しながらトヨタに高値で株を引き取らせようとするが失敗。
八田高雄→服部悦雄氏(元トヨタ自動車中国総代表)
ホセ・エミリオ→マルコス政権時代の政商、デルタモーター社長のリカルド・C・シルベリオ氏。奥田氏のフィリピン勤務時代のミッションのひとつは、このシルベリオからの債権取り立てにあった。
フェルナンド・マルノス→フィリピンのマルコス元大統領
エメラルダ・マルノス→マルコス元大統領の夫人、イメルダ。
岡村泰弘→不明
速水徹→元トヨタのテストドライバーの成瀬弘氏。章男氏が弟子入り。
山崎幸二→自民党の山本幸三氏。現地方創生担当大臣。
メアリー・ブランド・フレッチャー→鉄の女、英国元首相のサッチャー氏
トニー・ブレッド→トニー・ブレア元英国首相
堤雅也→ 元北米トヨタ社長の大高英昭氏と元トヨタ取締役の岩月伸郎氏の合成人物?
中西徳蔵→トヨタ元副社長の浦西徳一氏。
ジョージ・ボッシュ→ブッシュ元米大統領
佐橋龍之介→小泉純一郎元首相。
タカコ・レイモンド→小林明香氏。北米トヨタ社長だった大高氏の秘書。
丹波進→トヨタ元社長の渡辺捷昭氏(現相談役)
明智隆二→トヨタ元副社長の木下光男氏。


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