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2021年、ありがとうございました!

noteに文章記事をアップしたいとアカウントを作った頃から考えていたのですが、
なかなか機会がなかったので、年の瀬を機に2021年の総まとめを書いてみました。

ほぼ自分用の覚書なので、引用含め、大変な長文でございます。
くれぐれも無理して読まないように、お願い申し上げます。
(私の読者様は、心優しい方が多いので心配です…)
年の瀬に暇を持て余している方はいないと思いますが、長文を読みたい稀有な気分の方は、私の読者でなくても、どうぞ冷やかしていって下さい。

2021年を作品と共に振り返る。

片恋はロマンスと呼ぶ勿れ

2021年無敵恋愛S*girl 3月号前編掲載 7月号後編掲載

復帰作です。実に2年ぶりに漫画を描きました。

漫画の仕事を再開するにあたり、
連載を再開する前に、先ずは初心に帰って「完全新作・オリジナル」で読み切りを描きたくて、
自分から描かせてくれと担当さんにお願いしました。
二つ返事でOKしてくれた担当さんと編集部には、頭が上がりません。

「この作品のストーリーや表現は、TLの枠を超えている!」と、
ネームを読んだ担当さんが言って下さって。
まあ、色んな解釈のある言葉ではあると思うのですが(笑)
私の場合、もう少し大人しく枠にハマりなさいよというご指摘もご尤もなのですが。
私はその言葉を聞いた時、素直に、とっても嬉しかったです。
これからTLジャンルでもまた、漫画が楽しく描けるかもしれないと。
思ったことを覚えています。

ネーム作業はなんとか良い調子で進み、
前編の原稿も予定通り入稿出来たのですが、
後編の原稿作業中に機材トラブルが重なり、物理的に何日も原稿作業がストップしてしまいまして、
掲載が大幅に遅れるという、プロとしてあるまじき失態を犯しました。
雑誌の読者の皆様、その節は誠に申し訳ございませんでした。

この時ばかりは本当に参りました。
何不自由なく原稿が描けるデジタル環境が整っていることを、けっして当たり前だと思ってはいけないのだと、再認識させられました。
今日も無事パソコンが起動している、ソフトウェアとデバイスが動作している、エラーなく原稿を保存出来る、なんと有り難いことだったのかと…!
結局ほとんどの機材をこの時に買い替えたのですが、
新しい機材が届くまで仕方なく、アナログでペン入れしたページが何枚もあります。実は。

前編は雑誌掲載時にカラーページを頂きました。とっても嬉しかった!

後編の原稿完成まで時間はかかりましたが、自分は読み切り作品を描くのがやっぱり好きだなぁと、改めて思いました。
物語の終わりを描くのが好きなんです。
これからは、読み切り作品をもっともっと描いていきたいですね。


君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜

2021年3月19話、11月20話配信開始。

19話は2年振りの最新話更新でしたが、キャンペーンのおかげもあって、
各電子書店様で上位にランクインさせて頂き、とてもとても嬉しかったです。


休載理由と絵柄の変化についてはネガティブな憶測が散見されたため、以下の記事にまとめました。


私の想像を超えた反響が多くあり色々と思い悩むこともありましたが、
今は吹っ切って、楽しく21話の原稿作業を進めています。

結局のところ、いくら考えてみても、
「今の絵柄を含めて私の作品が好き」だと感じて下さる読者以外の層に、
今の私が出来ることは何もありませんでした。


過去を美化して思い悩むよりも、今の読者を大切にしていくことに全力を尽くそうと決めました。

この作品を以前好きでいて下さった読者の皆様には、心からお礼申し上げます。
皆様のおかげで過去があり、今があります。
本当にありがとうございました。
いつかまた、皆様にも楽しんで頂ける作品を描けるように、精進していきます。

今も続きを読んで下さっている読者の皆様へ。
皆様のおかげでこの連載を続けることが出来ています。
毎日楽しく原稿を描くことが出来ています。感謝の気持ちでいっぱいです。
ハッピーエンドまであと少し、お付き合い頂ければ幸いです。
どうぞ来年も、よろしくお願いいたします!


転生先で推しの弟に美味しくいただかれています

2021年10月めちゃコミック先行配信開始。現在6話(14ファイル)まで配信中。

来世らむたでは、お久しぶりの新作です。

元々こちらのレーベルでは休筆前に別のオリジナル新作の連載を予定していたのですが、私自身の心境の変化もあり、その作品は復帰後もお蔵入りにすることに。

オリジナルでまた新作を立ち上げることも考えたのですが、
未完のオリジナル連載を聖名義で2本(「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」と「一ノ瀬くんは年上彼女をめちゃくちゃに甘やかしたい ケダモノのやらかし愛(旧「まじめメガネくんの本性は野獣」です)抱えた状態で、
同時進行は難しいと判断し、原作をつけて下さいと自分からお願いしました。

初めてのファンタジージャンルで張り切っていたのですが、
魔法など非現実的なエフェクトは出てこないので、
キャラクターデザイン以外はいたってリアリティーのある画面構成になりました(笑)
ファッションは時代に沿うか悩んだのですが、あえて無視して、現代のクラシック風クローズをゲームらしくアレンジしてまとめています。
効果など魅せ方は、私の普段の原稿より華やかに可愛らしく、漫画らしくなるように工夫しました。
悪役令嬢モノは近年作品数がどんどん増えてきているので、絵で差別化しようと思い、思いっきり描き癖を強調した絵柄で描いています。
食べ物の絵は、他の原稿ではアシスタント様に任せることが多いのですが、この作品の主人公が作る料理は全て私が描いています。
食べ物を描くのは楽しいです!これからはもっと積極的に描いていきたいな。

配信開始から続話の度にどんどん読者が増えていて、
最近はランキングにも顔を出すようになってきました。
ご愛読、誠にありがとうございます!とっても嬉しいです〜!
全8話完結予定です。もう、残りあと2話ですね。
めちゃコミックekubostore以外の書店様での配信は、来年4月以降順次開始する予定です。

とっても楽しい原作なので、来年も沢山の方に読んで頂けますように!


一ノ瀬くんは年上彼女をめちゃくちゃに甘やかしたい ケダモノのやらかし愛

2021年3月配信開始、現在10話まで配信中。旧「まじめメガネくんの本性は野獣」

「まじめメガネくんの本性は野獣」の皆様へ

こんにちわ、聖ゆうかです。まずは、ご無沙汰しております。

2019年から病気療養のため休筆しておりましたが、ようやく活動を再開出来る運びとなりました。
一ノ瀬と田端の恋の続きも、ぶんか社で、引き続き描かせて頂けることになりました!
以前配信されておりましたNTTソルマーレ版「まじめメガネくんの本性は野獣」は既に配信停止となっておりますが、
既にご購入頂いた分につきましては、引き続き閲覧が可能です。
作品の移籍に伴い、
タイトルを変更・サムネイルになるカラー表紙を新しく描き下ろしておりますが、
作品の内容は1〜12話まで旧タイトルと同一です。
13話から新しく描き下ろしになります。
移籍の理由について私の口から言えることはあまりないのですが、打ち切りではありません。
読者の皆様の応援は十分届いておりました!

今回、長らくの休止期間から配信停止となったこと、十分なアナウンスが出来なかったことで、読者の皆様には戸惑いと不安を与えてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

とにもかくにも、続きをおもしろく描けるように、がんばっていきます!

https://hijiri-studio.tumblr.com/post/656831874046525440/

13話以降は、「転生先で推しの弟に美味しくいただかれています」「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」の2作品を完結させてから、集中して執筆する予定です。

こちらの作品。
1話を描いたのは5年以上前で、休載期間も長く、
タイトルを変えて移籍をしたこともあり、
最新作や定番人気の長編と並んで数字を出すのは難しいだろうと思っていたのですが、
想像を超える反響があり、私も担当さんも(営業担当さんも)驚いています!
本当に、とっても、とっても嬉しいことです。
来年の連載再開を私自身、今から楽しみにしています。


総括・現在の心境・ここだけのお話など。

振り返ってみると…

「君を抱くのは仕事だから」も、「一ノ瀬くんは年上彼女をめちゃくちゃに甘やかしたい」も、
2016年から連載が続いていて、途中2年間も休んだのに、当時の読者の方もまだ続きを待って下さっている。新規の方もまた1話から読んで下さっている。
本当にすごいことだと思います。

関係者の方にも読者の方にも、本当に私は頭が上がりません。
心から御礼申し上げます。
誠にありがとうございます!

過去には戻れないし、失ったものはもう二度と元には戻りません。
それでも、なかなか以前のように原稿があげられないことに反省と自己嫌悪ばかりしていたのですが、
Twitterを再開してから、読者の皆様に温かいメッセージを頂く機会が増え、
反省と自己嫌悪を、感謝と執筆のエネルギーに、それぞれ変えていこうと発想を転換することが出来ました。

新作「転生先で推しの弟に美味しくいただかれています」も、ご好評頂きホッとしています。
久しぶりの来世らむた名義のお仕事だったので緊張していたのですが、今は、とても楽しく原稿作業が出来ています。
この作品は、特に私の絵柄の癖を意識的に強調して描いているのですが、
私の作品をデビュー前から知るコアな読者の方から、
「この作品の絵がいい」とコメントを頂き、びっくり仰天させられました。
私の読者はみんな、断然聖の休筆する以前の絵柄の方が好きなのだろうと思っていたので。
「聖の方の絵は、商業用だと割り切りすぎているように感じる(※意訳)」
とも指摘され、忘れかけていた自分の絵への情熱が今、
メラメラと再燃し始めています。

正直なところ

私はオリジナル作品のストーリーに関しては
(読者・編集者含め)他人の価値観や時流に合わせて描くことが基本的に出来ません。

(設定やキャラクター像は、時流を踏まえて編集部のリクエストに応えることが多々ありますが、ストーリーに関してはよほどの根拠がないと譲れません)
(漫画を描くという作業そのものが好きなので、原作付きやコミカライズなど他の作家さんのストーリーを漫画に描くことは、とっても楽しいです!)

自分の作風が大衆受けしない自覚があるので、絵に関してだけは、無個性に当たり障りなく小綺麗に描こうと、デビュー以降ずっと意識していました。
まあ、それでも癖があると言われ続けてきたのですが(笑)

ずっと、否定的な意見に囚われて漫画を描いてきました。
「みんなが喜ぶ絵や話が描けない自分が悪い」と思ってきました。

でも、
(薄々、本当はわかっていたのですが)

私がプロの漫画家として努力した方がよりいいことは、

「自分の作品に否定的な意見を考慮して作風を調整する」ことではなく、
「自分の作品を好きでいてくれる人をとことん大事にして、その分母が増えるよう、作品の魅力が一層増すように努力し続ける」ことなのだと。

もう、腹を括って、頑張るしかないなと。

「自分の作品を嫌いな人がいる」ことは自信を持って断言出来るのですが、
「自分の作品を好きな人がいる」とは、なかなか認められなかった。
怖くて怖くて、信じられませんでした。

もちろんダイレクトに反応を下さるは方達は別ですが、それでも「けっして好意にあぐらをかいていい気になるなよ」と、自分の心に深く釘を打ち続けてきました。

少しでも自分のことを肯定してしまったら、安心してしまって、技術も何もかも衰退する一方なのではないかという、得体の知れない恐怖にずっと支配されていました。

努力のベクトルが、「他人から指摘されたところを直す」方向性だと、
心が痛む時もあるけれど、実際は楽なんですよね。

他人の価値観に善し悪しを預けているから。
上司に修正指示を仰ぐようなものです。

「自分の価値観を信じて、自分の魅力を磨く」方が、
ずっとずっと、勇気と度胸と、途方もない根気強さが必要なことなのです。

もうね、決め手になった言葉が全て自分以外の方の発言の引用で恐縮なのですが。
復帰後も思い悩み迷走を続ける私に、
「絵も話も、直すところなんてどこもない。この感動がわからない人達の方が、可哀想。」と、
キッパリ一蹴してくれた方がいたのですよ。

10年前、講談社の雑誌に投稿していた頃の担当さんが、同じことを私に言ってくれたことを思い出して。
泣けました。

「どこを直したらデビュー出来ますか、絵ですか?話ですか?」と私が聞いた時、
「直すところなんて、どこもない。」

と、断言して下さったのです。

私は、その言葉を、ずっとずっと信じられませんでした。

デビューしてから、何本も連載をかけもちして、
たくさんたくさん原稿を描いて。
単行本を8冊出版していただくことが出来たけれど、
結局は心も身体も壊れて、漫画家を廃業しなければならないところまで追い詰められて。
それから七転八倒して2年もかかって、やっと復帰することが出来て。
けれど、もちろん復帰してからも順風満帆とはいかず、また色々あって。


「自分の作品を好きな人達を信じる」
「自分の価値観を信じて、自分で決めたベクトルで努力していく」

プロの漫画家になるために。
プロの漫画家として描き続けていくために。
私に必要なことを、元担当さんは最初から教えてくれていたのに。
その言葉が理解出来るまで、10年もかかってしまいました。


ただ、私が身を挺して学習したことのひとつに、
「自分自身に絶望してしまうと、人はどんどん死に近づいていく」
ということがありますので、「10年でわかってよかった!」と発想を転換し、
残り僅かな今年と、来年をポジティブに生きていきます(笑)


ご挨拶

私の作品の読者さまも、通りすがりの方も。
部屋を暖かくして、美味しいものを食べて、楽しいものを観たり読んだり。
どうぞよいお年をお迎え下さい。

長くなってしまったので、
来年の抱負はまた別の機会に。

来年も、どうぞよろしくお願いいたします!

2021年、本当にありがとうございました!

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