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2019年〜2020年の休筆期間と絵柄の変化について

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聖ゆうか著「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」の休載期間と絵柄の変化について


聖ゆうか著「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」の読者の中でも、一部の方に向けてこの記事を書いています。

タイトルについて、説明して欲しいという要望をお見かけしましたので、その旨を。


2018年の夏から持病が急激に悪化し、2019年〜2020年は完全に執筆活動を休止しておりました。
このまま漫画家は廃業するつもりでした。
復帰できる見込みがまったくなかったからです。

これまでと同じ絵を描こうと努力すればするほど症状が悪化し、
悪化した症状を抑える薬を飲むと、今度は手が震えてペンが持てなりました。
精神的に八方塞がりで、体調もどんどん悪化していきました。

君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜の3巻の巻末に、今まで書いたことのなかった作品解説文を書いた背景には、
もうこの作品を最後まで描くことは出来ないかもしれないという状況がありました。

2019年当時は、長期療養という形でお休みを頂くことになりましたが、私にはもう漫画家は無理だと諦めるしかないと思っていました。

2年間、自分の漫画のことは忘れようと努めました。

結局、出来なかった訳なのですが。

私は断薬して、漫画の執筆を再開する道を選びました。
少しずつ絵を描く練習を始め、1ヶ月たった8ページから原稿の完成を目指し描き始めました。


けれど、もう以前の様な、密度の高い力強い絵は、逆立ちしても描けません。
薬を抜いても、年齢のせいもあるのか、持病が悪化する以前に持っていた体力も気力も、取り戻すことは出来ませんでした。作画の主力スタッフも、全員を呼び戻すことは出来ませんでした。


それでも、他人に作画を任せることは、今も昔も考えていません。
今の私に描ける最善の絵柄を模索しています。


少しずつでも、今よりもいい絵を描けるように、毎月試行錯誤しながら原稿を描いています。

結果的に、昔よりも今の方が、漫画を描くことが楽しいと感じています。

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君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜の20話は、とても気に入ったネームが描けました。
ここまで描くことが出来て、復帰して良かったと、心から思うことが出来ました。
ようやく原稿が上がったので、近日中に配信されると思います。
今は、21話のネームを描いているところです。
誠に感無量です。やっとここまできたかと。終わりがすぐそこに見えてきました。

大袈裟な話ではなく、一生終わらないんじゃないかと不安に思っていました。

まだまだ紆余曲折あると思いますが、この手応えを大切に、これからも描いていきたいと思っています。

今は、薬を飲まなくても健康に過ごせるよう、無理をせず穏やかに暮らすことを日々心がけて過ごしています。

昔は24時間の中で、アレもコレも同時にたくさん出来たのに、今ではすっかり、出来ることが少なくなってしまいました。
でも、何かを失うということは、同時に何かを得る、ということだと信じています。
ほんの数年前、今までバリバリと出来ていたことがどんどん出来なくなっていくこと、特にペンが持てなくなったことは、自分のアイデンティティを根こそぎ奪われるような絶望でしかありませんでした。
今はこうなって良かったと思っています。


楽しく生きていきたいです。
皆様もご機嫌麗しくお過ごし下さい。




2021年10月12日追記

説明して欲しい、という要望を見かけたのでこの記事を書きましたが、

この内容を読者の方全員に是非とも認知して欲しいとは、私はまったく思っておりません。

むしろ、いたずらに心配をかけたくなかったので、ここまで詳細に体調のことを公表するつもりはありませんでした。

(ですが、実際に公表してみたら、むしろ事情がわかって安心したという反応が多く、わからないことでより不安にさせてしまっていたみたいです。私の判断ミスだったと反省しています。)

ですが、作中のキャラクターの職業が、小説家という漫画家に近い職業だったためなのか、私とキャラクターを同一視した憶測をお見かけする機会が度々ありましたので、そこだけは否定させて頂きたかったのです。

「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」という作品を本当に嫌々描いていたなら、聖ゆうかとして復帰して、この作品の続きを描く訳がありません。

本当のところを言うと、漫画家として復帰することを決めた当時、とは言え2年前の自分の絵柄を再現することは出来なかったので

(正確に言うと、再現していると執筆ペースが商業ベースにのれないほど落ちてしまう&また体を壊す可能性が高いという理由で、「死ぬ気でやれば出来なくはないかもしれないけれど、本当に死んだら元も子もないのでやってはいけない」と判断しました。)、

続きを描くかどうか悩んだことは事実です。

特に私の昔の絵柄に対して想いの深い読者の方には、「絵柄がこんなに跡形もなく変わってしまって、私が好きだった作品を穢された!」くらいのことは絶対に言われるだろうと予測していました。予測はしていても、実際に言われているのを見た時は堪えましたが(笑)

そこは覚悟しておりましたし、絵柄が変わってしまったことを理由に読むことをやめるという選択は、読者それぞれの自由です。引き止めようとは思っていません。

ですが、私が官能表現のある(あえて作中と同じ言い方をします)TL漫画を嫌いで、「君を抱くのは仕事だから〜雇い主は変態小説家〜」を描くモチベーションがないから、2年間も休載していたですとか、絵柄もストーリーも路線をまるで変えてしまったですとか、そういった憶測は事実ではありません。

そういう憶測のレビューが作品ページの最新やトップにきてしまったら、それでも続きを読んで下さる読者の方まで不安にさせてしまうのではないかと思ったのが、今回この記事を書いた一番大きな理由です。

なので、「まあ聖ゆうかにもいろいろあるんかなとは思ってたけど、別に全然気にしてなかったよ!」という読者の皆様は、引き続き、全然気にせず作品をお楽しみ頂けましたら。

私はそれが本当に、一番嬉しいです!




単行本3巻の後書きについてのお詫び:2021年10月23日追記

単行本でまとめて読んでくださっている方にひとつお詫びしたいのですが、3巻の巻末の後書きにおいて、当時の私は19話〜21話の展開を描かずに、全19話で終わらせるつもりでした。

当時は、上記の通り、漫画家を廃業するしかない。医者からも、漫画家に限らず就業は諦めてくれと言われていました。

漫画家として再起不能になる前に、この作品を完結させようと必死でした。
単行本も、3巻が最後になるだろうと覚悟していたので、せめてここで終わっても悔いの残らないようにと思いあの後書きを書いたのですが、
19話以降のストーリーの構想自体は当時からあったので、どうしても、いつか描くことを諦めきれず。
あくまで3巻までの内容を詳細に解説するという、今振り返ると、なんとも往生際の悪いことをしてしまいました。

19話以降、作品を読む上で混乱させてしまっていたら、誠に申し訳ございません。心からお詫び申し上げます。

あんな長ったらしい文章、面倒くさいからそもそも読んでないでという方は、どうぞこの文章もオールスルーでお願いします!


最後に一つだけ断っておきたいのですが、私は本編だけでも内容を読み取れる前提で作品を描いています。

後書きは本編には含んでいません。3巻の後書きは、1巻や2巻の巻末に載せた、キャラクタープロフィールや書籍情報と同じく、本編を読む上で読者は知らなくてもいいけれど、知っていればより深く楽しめるのではないか、というレベルの情報です。

私はこの作品を、最後まで破綻なくクオリティ高く完結させることに、間違いなくこの世の誰よりも心血を注いでいます。

極端に言えば、この世で私しか心血を注いでいません。
編集部の誰も、ストーリーや漫画原稿の制作そのものには関わっていません。

読み捨てるのは読者の自由です。

私の人となりを想像することも、それだけなら読者の自由ですが、

お金を払って読んでいる読者なら、作品と漫画家に何を言ってもいいとは私は思いません。

ティーンズラブというジャンルを、私は懐が深くて楽しい漫画のジャンルだと、初めての連載した時からずっと思っています。

そう思ったまま終われるように、これからも全力を尽くしていくつもりです。


要約


・病気で一度漫画家としては再起不能になり休載していました。絵にも影響はあります。


・TLというジャンルはプロとして誇りを持って描いています。


・後書きの解釈は自由ですが、本編はきちんと描いているので漫画家なら漫画で表現すべきと言われる筋合いはありません。

以上です。



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