うる、かもしれない

悩んでいたことが、知恵となって助けてくれる瞬間がたまにある。
ラブリー・ガールが泣いていたときも、夢の中で指輪をはめるポーズをされる前にトリュフ大根を食べていたときも、後輩がキレているときも、ずっと考えていた悩みが彼らの話を理解する手助けをしてくれた。

日焼けと二日酔いと、提出書類が襲いかかってくる週明けの火曜日。
ぼくは大好きなひとに呼ばれて、楽しい仕事についての話をしていた。
今回出したアイデアは全部、昔恋をしていた女の子との思い出から来ていたものだった。パピコをぱきってされた調布駅前のミニ・ストップ、ポパイに載っていた梅湯。話し合いが終わってラーメンを食べて解散したあと、ぼくは笑ってしまったよ。その子との思い出をきれいに懐かしむことはもうないだろうと思っていたから。心の中で永福町の方角に頭を下げた。
心臓が削られるくらい悩んだことが、大好きなひとの髭をあたためうるかもしれなくて、うれしい。

恋は桃色で締めたかったけれど、これ、糸やないか。

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