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首都圏から独身女子20人を連れてきて婚活イベントを開催してみた

東京への人口の一極集中が進む中、本県でも首都圏に流出した人口を引き戻すための様々な取組を行ってきた。こうした中、本県の魅力をPRするための広報プロモーションの一環として、首都圏在住の独身女子向けの婚活イベントを実施することとなった。しかも、婚活イベントの舞台は本県。首都圏の独身女性20名を飛行機に乗せて本県に連れてくることから始まった。


東京への人口一極集中の弊害

人口移動が東京への一極集中が進む中、本県においても、東京に住む本県出身者に向けたUターンを促す取組や、本県に興味・関心を持つ人へのIJターンの取組をこれまで行ってきたところである。

こうした取組の首都圏での新たな関心層を発掘するために、こいのわを絡めることはできないだろうかという話しが持ち上がった。まさに、県内における過疎地域から県内の中心部への人口流出と似たようなものであった。

若者が本県から離れ、首都圏を目指すことは仕方ないと考えている。県内の最高学府である国立大学へ入学できる以上の学力がある学生は首都圏のみならず、他県の優秀な大学への進学を目指すだろうし、就職の際にも首都圏には様々な業種があり、選択肢も多いことから、本県よりも首都圏を目指す若者が多いのは仕方がないと考えている。

また、首都圏にはありとあらゆる娯楽がそろっており、地下鉄などの交通インフラ網も張り巡らされ、プライベート時間も充実できる。こうした娯楽やインフラ網が首都圏に比べると劣っていることは誰にでもわかる。

本県のプライベート時間の充実の売りが、中心部と山間部が近いことから田舎体験がすぐにできることや、瀬戸内海の多島美などであり、これでは首都圏とは勝負にならない。

一方で、本県のこうした魅力に惹かれ、興味を持つ人もいることから、こういった人たちを呼び込む施策は重要であると考えている。すでに本県に対して興味を持っているので、条件を整えていけば落とせるのではないかという考えである。

条件については、本県で暮らしていくための仕事であったり、住居などである。当然、これまでも本県で行っている施策であり、こうした取組とこいのわがマッチするのか不安ではあったが、首都圏の独身女性に本県の魅力をPRし、本県在住の男性とマッチングさせるというイベントでは成功させる自信はあった。

本県に興味がある東京在住の独身女性との婚活イベント

首都圏メディアへのアプローチ

今回の婚活イベントのコンセプトは、「本県に興味を持つ首都圏の独身女性を本県に連れてきて、本県在住の独身男性と一緒になって本県の魅力を感じてもらい、より一層ファンになってもらう」ということとした。

本県から首都圏は約800キロも離れており、イベント内でカップルになったとしても、遠距離恋愛となるために成婚まで続くのは難しいと考えていた。

まずは、過疎地域の嫁不足問題を受けてこいのわイベントを開催したときと同様に、人口の首都圏一極化という社会問題への新たなアプローチとして多くの首都圏メディアに取り上げられることを目標とした。

首都圏在住の独身女性をどのように集めて本県に連れてくるのか

県北のA市で開催したこいのわイベントでも問題となったが、今回のターゲット層である独身女性が住んでいる首都圏において参加者を集めることが課題であった。

本県では首都圏に様々な広報ルートを持っているが、当然ながら本県に興味を持つ独身女性というターゲット層にピンポイントで届くルートは持っていない。

首都圏において、ターゲット層も含めて幅広く広報を行うことも考えたが、そのような広報経費をかけるのであれば、参加者の満足度が上がるよう婚活イベントに予算をかけたい。

そこで考えたのが、国内最大手の結婚情報誌を発行している企業とのコラボであった。

東京の結婚相談所とコラボ

前年度、この企業とのコラボで本県では「ご当地婚姻届」を制作した縁があり、相談してみることとした。この企業では、結婚情報誌を売るためには結婚する人を増やさないといけないということから結婚相談所を運営しており、その結婚相談所の会員の独身女性に対してアプローチできないかという狙いである。

本県からの申し出は、この企業にとっても予算をかけずに結婚相談所事業をPRできるチャンスであったため、共催という形でイベントを実施することとなった。こうして、ターゲットとなる首都圏在住の独身女性の募集は共催する企業で行うこととなり、課題はクリアできた。

また、イベント参加者である首都圏の独身女性をどのように本県まで連れてくるかについても課題であった。

いくら本県に興味があるといっても、自力で来れるような距離ではないし、それは無理であろうと考え、本県でチケットを確保して、飛行機で来てもらうこととした。

A市での婚活イベントで過疎地域に独身女性を運んだ方法と同じように、今回の婚活イベントの女性参加者は羽田空港に集合し、一緒に飛行機に乗ってもらい、本県での婚活イベントの開催地まで連れてくることとした。

婚活イベントの開催地は宮島

婚活イベントの開催地は本県ならではの魅力を感じてもらうことができるような設定が必要であるため宮島とした。

これまでに何回も宮島でこいのわイベントを開催しているが、宮島は本県を代表する観光地であるとともに、県民でも知らない隠れた魅力がたくさんある島であり、首都圏の独身女性の満足度は極めて高いだろうと考えた。

首都圏女子と本県男子のリアル婚活スタート

本県に来る前に首都圏女子に向けた本県の魅力のPR

今回の婚活イベントは首都圏の多くのメディアに取り上げてもらうことを目標としている。これまでの婚活イベントで様々なメディアに取り上げてもらっていたが、地元メディアがほとんどで、首都圏メディアはほとんどなかった。

そこで、本県の結婚支援事業である「こいのわプロジェクト」を知ってもらうべく、首都圏メディア向けのイベントを実施することとした。

このイベントの企画は宮島での本県の独身男子との婚活イベントへの応募があった50名の首都圏在住の独身女子の中から、実際に宮島での婚活イベントに参加できる20名を決めるための抽選会である。

抽選するだけではインパクトがないので、本県出身のタレントのアンガールズのお二人から本県男子の魅力を語ってもらうトークショーを行い、宮島で待っている独身男子の顔写真と自己PRをスライドで映しながら一人ずつ紹介を行った。

そして、このイベントの最後にアンガールズによる抽選会を行って、宮島での婚活イベントに参加できる独身女子を決定した。

当選した独身女子はその翌週に飛行機に乗って、本県の促進男性とリアル婚活を行うという設定がうけて、約20社の首都圏メディアの取材があり、このイベント会場にはテレビカメラと記者でいっぱいになった。

また、宮島でのこいのわイベントも取材をしてもらうため、参加者にはメディアに顔を出しても大丈夫という了解を事前にもらっていた。今回のイベントでは参加者にモザイクをかけることなく、リアルな婚活イベントとして放送してもらいたかったし、映像のモザイク処理という手間が必要ということで取材をためらうことがないようメディアへの配慮でもあった。

広島男子との婚活イベント参加に向けた抽選会

首都圏の独身女子20名が宮島に上陸

抽選会の翌週に、当選した女性20名が羽田空港から本県に向かい、本県の空港から大型バスに乗り込んで、夕方には宮島に到着した。宮島では老舗旅館に宿泊し、夜は自由に宮島散策を楽しんでもらった。翌朝、男性参加者が宮島で合流し、婚活イベントが始まった。

まずは、この老舗旅館の宴会場での1対1トークタイムから始めたが、この宴会場にも多くのメディアのテレビカメラが入っており、これまでの婚活イベントとは違う緊張感があった。

1対1トークタイムの後は、男女グループによる宮島全域を対象としたロゲイニングというゲームを実施し、チェックポイントでは男女のシャッフルを行った。

ロゲイニングで回ってもらうチェックポイントは宮島の代表的な観光施設だけでなく、隠れた観光施設や商店街での食べ歩きも設定して、参加者には積極的にSNSで発信してもらった。

宮島での交流

宮島には約7時間滞在し、その後、宮島を離れ、大型バスに乗り込んで空港近くのホテルに移動した。ホテルでは夕食をとりながらのフリータイムを行った。お節介役のスタッフを準備していたが、このときにはすでにお節介の必要がないほど盛り上がっていた。

告白形式のマッチングタイム

このイベントの最後はマッチングであるが、いつものマッチングカードを使ってのマッチングではなく、気になる異性を告白スペースに誘い、そこで思いを伝えるという方式とした。

告白スペースでの告白

これは全日程で取材に入っていたメディアから、視聴者がわかりやすいマッチング方式にしてほしいとお願いされたため、告白というマッチング方式とした。告白が成立したカップルは6組であった。

イベントの最後は、東京へ帰る女性たちを空港のデッキで本県の男性たちが並んで見送るという、まるでドラマのような光景で終了した。

空港ターミナルでのお見送り

まさかの遠距離恋愛を実らせてのゴールイン!

数多くの首都圏メディアに取り上げてもらったほか、本県のメディアもかなりの放送時間を使って放映するなど、当初に狙っていたメディアへの露出は予想以上に達成することができた。

また、翌年にこの婚活イベントでマッチングしたカップルから成婚の報告があった。遠距離恋愛を実らせて、結婚を機に首都圏に住んでいるお相手の女性が本県への移住を決めたとのことであった。

メディアでの露出を目標として完全に振り切った企画の婚活イベントではあったが、男女の出会いの部分には、これまでのノウハウを惜しみなくつぎ込み、しっかりと交流できる企画にした甲斐もあり、準備から本当に大変な婚活イベントではあったが大成功で終わることができた。
 
 <首都圏女子と本県男子のこいのわイベントの進行>
 【首都圏イベント】
  14:30 受付開始
  15:00 タレントによるトークショー
  15:45 恋愛アドバイザーによる講演
  16:30 参加男子の人気投票
  17:00 翌週の宮島でのイベントに参加できる女性の抽選会
 
 【宮島イベント】
  ―1日目(女性のみ)―
  16:00 羽田空港集合
  17:15 飛行機で出発
  18:45 本県の空港に到着
  19:00 貸切バス出発
  20:30 宮島到着
  ―2日目―
  7:30  朝食(女性)
  9:00  宮島桟橋集合(男性)
  9:30  イベント開始
  9:30  1対1トークタイム
  10:30 宮島島内ロゲイニング
  15:00 宮島桟橋集合
  15:30 貸切バスで男女とも空港近くのホテルへ出発
  17:00 ディナーパーティー(最終フリータイム)
  19:00 告白タイム
  19:30 徒歩で空港へ出発
  20:40 飛行機で出発(女性)
  22:00 羽田空港到着

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