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少子化対策を始める前に~その1

本県で婚活事業を開始する前年に様々な統計データから少子化の現状を確認し、その要因分析を行った。その結果、本県の少子化の主要因を25~34歳の女性の有配偶率の低下であると分析し、婚活事業の開催に舵を切ったのである。ここから4回に渡って、分析結果の一部を紹介する。初回は、本県の少子化の現状を統計データから確認してみた。


➤ 少子化は予想以上に進んでいた

まず、最初に取り組んだのは、本県の少子化の現状を把握することであった。子供の数がどのくらい減っているのかということを調べるために、5年おきに実施されている国勢調査から調べた。

結果はある程度予想はしていたものの、予想以上に少子化が進んでいる現状であった。例えば、約50年前の第二次ベビーブームであった1975年の国勢調査と比較すると、15歳未満の子供の人口は1975年の633,199人から2010年には386,810人へと4割も減少し、246,389人もの子供人口が減少していた。

一方で、65歳以上の高齢者人口は1975年の235,015人から2010年には676,660人へと爆発的に増加し、441,645人もの高齢者人口が増加していた。
子供人口は約6割に減っている一方で、高齢者人口は約3倍にもなっており、少子化だけでなく、高齢化も加速しているという現状であった。

➤ 労働力人口も大きく減っていた

子供人口が減少することは、その後の世代である15歳から64歳までの生産年齢人口が時間をおいて減少することを意味している。
実際に、本県の生産年齢人口は1995年の国勢調査の1,956,268人を境に減少に転じ、その後は加速度的に減少している。

2010年の国勢調査での本県の生産年齢人口は1,765,036人となっており、ピークであった1995年と比較すると、たった15年間で191,232人もの生産年齢人口が県内から消えているという状況であった。
今後も、子供人口が減少し続ける中で、生産年齢人口も同じように減っていくことが予想できる。

さらに生産年齢人口の年齢別の人口構成が高齢者寄りに偏っているため、早くに生産年齢人口から高齢者人口へと移動する数も多くなることから、今後も生産年齢人口の減少は加速していくことが予想できる。こうした状況が続けば、県内の生産年齢人口が大きく減ることにより、近い将来、県内で労働力不足が起こり、県内産業の停滞が懸念されると考えられる。

本県の年齢区分別の総人口の推移(国勢調査1975年~2010年)

また、全国の状況も確認すると、1975年の国勢調査の15歳未満人口27,220,692人に対して、2010年の国勢調査では16,803,444人と約4割の減少となっており、本県の少子化の状況とほぼ同じであった。
高齢者人口については、1975年の国勢調査の8,865,429人から2010年の国勢調査では29,245,685人と約3.3倍と大幅に増えており、全国的に高齢化が進んでいる状況であった。

さらに、15~64歳の生産年齢人口についても、本県と同様に1995年の国勢調査の87,164,721人をピークに減少を続けており、2010年の国勢調査では81,031,800人とたった15年で6,132,921人もの労働人口が減少している状況であった。

全国の年齢区分別の総人口の推移(国勢調査1975年~2010年)

➤ 高齢者人口の割合が急増

人口に占める各年齢層の割合も大きく変化しており、例えば、本県の総人口に占める15歳未満人口の割合は、1975年の国勢調査において23.9%であったが、2010年の国勢調査では13.5%と大きく減っている。
また、本県の総人口に占める高齢者人口の割合は、1975年の国勢調査において8.9%であったが、2010年の国勢調査では23.7%と大きく増加し、高齢化が加速していることがわかる。

全国も同様に推移しており、本県は全国に比べて、若干ではあるが、少子化は緩やかであるものの、高齢化は進んでおり、働き手である生産年齢人口の総人口に占める割合も少なくなってきていることがわかる。

本県の年齢層別の人口割合(国勢調査1975年~2010年) 

➤ このまま少子化が進むと将来の人口はどうなるのか

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2040年の15歳未満人口は256,021人となり、2010年の386,810人と比較して、さらに130,789人減少することとなる。

また、少子化が進んだ結果、生産年齢人口も影響を受けて大きく減り、現在と比較して約3/4まで減少するため、労働力不足が今後、本県の大きな課題となってくることが予想される。

本県の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所<平成25年3月推計>)


このままの少子化の状況が進むと、本県の経済力が低下し、活力のない未来が待っている。
そのため、少子化対策は遅れれば遅れるほど将来の人口構成だけでなく、経済にも大きな影響を与える喫緊の課題であり、早急に取り組む必要があった。

しかし、少子化の要因といっても様々である。そのため、その主要因を調べるべく、出生や婚姻、世帯などの各種データを用いて調べてみることにした。

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