「厄祓いが終われば同窓会」な地域で育った、わたしの厄年
2021年、わたしは数え33歳の本厄を迎えました。
これまでわたしの中で、厄年はイベント的な位置付けでした。
なぜなら、わたしの生まれ育った秋田の県北のまちとその周辺の一部のまちでは、出身中学校ごとにその年の数え42歳の男性と数え33歳の女性が合同で厄祓い(厄除け)をするからです。
"厄祓いの日"が楽しみな人たち
地元で新聞記者をしていた時、そのシーズンが来ると各地区の厄祓いを何人かで手分けして取材しました。後日、1ページ使って各地域の様子を組写真でも紹介するほどで、わたしの中では"お祭り"でも取材するかのようなワクワク感がありました。
女性は着物姿で参列することが多いので「自分の時はどんな着物を着ようかな」と思っていました。
中学の教員をやっていた父は、数年前にかつての教え子が数え42歳になって、厄祓い後に開かれた同窓会に招待されました。女性たちもその日に合わせて集まったそうで、父が帰ってきてとても嬉しそうに思い出話をしていたのが印象的でした。
それから去年は、わたしの一つ上の学年の先輩が着物姿で厄祓いに行くところに母が出くわし「来年はしおりだね」と連絡をくれました。ちょっと照れるような気持ちになった記憶。
この地域の大人たちにとって、厄祓いは成人式のときと同じような気持ちになるんだろうなと思います。
わたしは20代後半で地元を離れたので、友人との再会が待ち遠しく、厄祓いのお知らせが来るのを楽しみにしていました。
待っていた知らせはこなかった
ところが、新型コロナウイルスの影響でわたしたちの代は2020年秋ごろに合同での厄祓い中止が次々と決定。
開催のお知らせが届かず、東京に出てきている友人たちと「久しぶりにみんなと会いたかったね」「実家にも帰れないね」とぽつぽつこぼしました。
みんなと厄祓いができないなんて、残念。
そんな感情になる人は全国にどれくらいいるんだろう。
"散々"な年明けの日々。
2021年になって、いよいよ本厄の幕開け。
「とりあえず一人でも厄祓いは行こうかな」と調べたときに初めて「節分までに行く」というのを知りました。(実際は申し込めば通年でやってくれるところがほとんどだそう)
すでに1月は折り返し。「早く行かないと節分をすぎてしまう」と思いつつ、このころ体調不良が続き病院に行くほかに外に出かける気力はほとんどなく…。
一方で、その状況に「これが本厄か」と感じる節もあり、重い腰を上げ1月31日に都内でも厄除け大師として有名な西新井大師へ行くことにしました。
のぼる火柱、システマチックなお札の受け取り
節分前の最後の週末。1時間ごとにお護摩祈願の受付をしていましたが常に申し込みのための長い列ができていました。
(写真は別の日に改めて撮った西新井大師の大本堂)
これまで見てきた地元の厄祓いとは全く違う光景に圧倒されました。
「同世代の女性もいるけどおじいちゃんおばあちゃん、子どもまで家族連れが多いのはなぜ」、「みんな普段着(わたしもだけど)」とかどうしようもないことを考えながらきょろきょろ。
大本堂にはすでにたくさんの人がいて、隙間を縫って一人分の座る場所を見つけました。換気のために開口部は開け放たれているので床暖房にすがるようにぺたっと正座。
時間になり、初めて見るお護摩。お坊さんがたくさん現れ、火が焚かれ、あっという間に火柱になりました。そして黙々とその火に木のお札をくぐらせる方たち。
とても興味深く、目の前の光景に釘付けになりました。
20分ほどでお護摩が終わると、「お札渡し所」なるところでお札を受け取るように案内がありました。
そこには「あ」「い」「う」などひらがなが振られた棚がずらり。「こ」の棚に置かれていた名前入りのお札を回収し、帰路につきました。
(効率的ですごいと夫にめちゃくちゃ説明した)
「あっさり終わっちゃったな」となんとなく手持ち無沙汰。そして「やっぱり地元でやりたかった」という思いが強くなりました。
地元で厄祓いをしたかった。その心は…
きっと友人と会いたかったでしょうし、親にも数え33歳の着物姿を見せたかったのでしょう。(笑)
でも、一番は人と話をしたかった。話を聞きたかったんだと思います。
同級生と近況報告しあい、辛いことや悩みに「よく頑張ってる」って言ったり、嬉しいことやこれからの夢に「やったね」「いいね」と喜び励ましあったりしたかったんだなと。
ましてやコロナ禍でむかえた厄年。きっとみんないろんな思いがあるだろうなと思っていたら、話を聞きたくて仕方がなかったのです。
そして、インタビューをすることにしました。
わたしの不完全燃焼な厄祓いを自分で完全燃焼させるために。
すでにインタビューが進んでいて、まもなく記事を公開予定です。
「厄年」という共通点があるだけで、新たな出会いをつくれていることにいま、とても心が高まっています。
知らなかったその人のストーリを知れる。初めましてなのに共感できること、もしくはずっと知り合いだったのに初めて知る気持ちに触れられる──。
記者時代に感じていたような「ワクワク」が蘇ってきました。
本厄の今年、わたしが思い描いた厄年を自分でつくります。
「心をいれてすゝめ」!!!!!!!!!!!!!
追記:Twitter開設しました
インタビューサイト「わたしたちの厄年」のTwitterアカウントを開設しました。これから取材の裏側や記事について紹介していくのでぜひフォローしてください!!
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