0613「ルイスウェインの絵と統合失調症」
夜に見るとちょっと怖いかもです。
**ルイスウェイン **
イギリスの画家で1860年に生まれ1939年に亡くなっています。
統合失調症を患いながら猫の絵を描いた画家として有名です。
大変猫好きな画家で知られていて作品のほとんどが猫の絵です。
20代くらいの初期の作品は可愛らしい猫を描いていて写実が主な作品でした。
この頃のウェインはあまり人気がなく売れない画家でした。
そしてここからがだんだんとウェインの画風が変わっていく頃になります。
ウェインにはピーターという飼い猫がいてピーターに眼鏡をかけさせたり、本をもたせたりして遊んでいたことがあったそうです。
それがこの後のウェインの作風を大きく変える起点となります。
ピーターと遊んでいるときにヒントを得たウェインは猫を擬人化してゴルフをしたり食事、喫煙をしたりする猫を描き始めます。
このように動物を擬人化する絵はヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年によく見られており、ウェインの絵も流行に乗ってだんだんと人気が高まっていきました。
またウェインは社会への批判や皮肉などをこめた風刺画も猫を擬人化して描いています。
猫を用いて風刺するといったことはウェイン独特のやり方でユーモアがありつつとてもシニカルです。
そして1900年代、40歳を過ぎたあたりからウェインに心の病が現れてくるようになります。
奇行が目立ち、ときおり暴力を振るうなど以前まで穏やかだったウェインには見られなかった部分が出てきて、病は作風にも影響を及ぼしています。
今までは表情の豊かな可愛らしい猫を描いていましたが、この頃から疑心暗鬼な表情をした猫や攻撃的な格好をとっている猫を描いています。
もしかすると、ウェインの心の中が猫を通して現れているのかもしれないです。
そしてだんだんと猫の描き方も変わっていきます。
カラフルな色使いで幾何学的な模様を散りばめられた初期の頃とは全く違う猫を描いています。
より抽象的に、シンメトリーで猫の原形がないものとなっていきます。
このようにルイスウェインの絵は生涯を通して変わり続けています。
そしてそれは病の進行とともに変わっているという見方もできて、精神科医のなかではウェインの罹っていた統合失調症と結びつけて心の在り方を診ている人もいます。
僕もウェインの病が少なからず彼の絵に影響していると思います。
精神疾患を患っている人が描いた絵に共通しているのがキャンバスいっぱいに絵を描くことです。
余白をほとんど残さずに模様なりなんなりで埋め尽くされています。
余白を残すことが不安につながるかのように
もう一つが被写体の目です。
末期のころのウェインの絵にも言えますが被写体がこちらをじっと見つめています。
統合失調症などの精神疾患を患っている人は見られているという感覚が強いのかもしれないです。
やはり心の病は絵にも影響していると思います。
ルイスウェインの絵は初期にしても病に冒されていたときのものにしてもどちらも創造的で素晴らしいものだと思います。
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