初めての同人イベント
4月2日のJ.GARDEN53にサークル参加してきました。初めての、と言いつつ同人イベントには何回か一般参加したこともありますし、アンソロジーに参加したサークルのスペースで売り子をしたこともあります。しかし自分でサークルとして申し込んで自分で印刷した個人誌を出したのは初めてなので、ということにしておいてください。
J.GARDENは創作BL、一次創作、オリジナルのBLのイベントです。私もBLの新刊を作って持って行きました。
私は一応商業出版をしている小説家ですが、BLに関してはアマチュアです。ウェブにBL小説を発表して、Kindleで個人出版をしています。商業ではライト文芸を二冊出して、一般文芸で短編の賞を一ついただいたことがあります。ウェブでも色んな話を書いていて、何が専門、と言えない感じです。ごちゃごちゃしているな、と自分でも思います。
売れるのかなと不安だったのですが、思った以上の方に立ち寄っていただけて嬉しかったです。お手紙や差し入れをいただいたりして感動しました。
J.GARDENは人が捌けるのが早いのか、一時間ほど経って少部数のコピー本、サブローさんからお預かりした無配のセット、無配ペーパーがなくなった頃にはお客さんもだいぶ落ち着いていました。その頃フォロワーさんが遊びに来てくれて、少しお話したりもしました。嬉しかったです。
本当にだいぶ落ち着いてから、一人のお客様が来て残っていた本(長く売るつもりでいっぱい刷ってそのまま持ってきた)を買ってくれました。そして、来てくださった理由を話してくれました。
私がpixivの「百合文芸小説コンテスト」に投稿した5000字ちょっとの小説を読んで、BLのイベントに来てくれたんだそうです。
びっくりしました。本当にびっくりしました。私のその「手のひら返し」という小説は、その時点で閲覧数が30ほど、ブクマが1だったからです。私にとって、「一応書いてはみたけど読まれていない小説」でした。
あまり読まれていないその小説を読んでくれただけではなく、わざわざ入場料の必要なイベントに来て、私の小説を買って、そのお話をしてくれた。そのことに本当に、本当に、びっくりしました。
びっくりしすぎて何かうまく言えなかったのですが、
「お言葉大切にします」
と何回も言いました。でも本当は大切にするべきはいただいた言葉というより、その方の行動や気持ち、と、それ以上にその方自身だったのではないかと思います。お言葉と一緒に大切にします。
家に帰ってから思い出したのですが、「手のひら返し」はもともとJ.GARDENでコピー本にするために男の子同士の話として考えて、書いている内に「これは女の子同士のほうがいいんじゃないか」と思って書き直したのでした。忘れていました。そういう忘れてしまうことがいくつもあって、誰かの行動によってあとから大切なエピソードになったりするんだな、と思いました。
あの日他の方からいただいたお手紙には、また全く別の小説の感想が書いてありました。まったく別の出会い方をして、まったく別のものの見方をして、でも同じところに来て、同じ本を買ってくれたこと。お話やお手紙をいただいたから知って、お一人お一人に感謝していますが、そうじゃない方にもそれぞれの思いがあり、人生の時間を使って来てくださったんだと、改めて思いました。そのことを大切にしたいです。
考えてれば小説は読まれたものも読まれていないものも、どれも同じぐらいの時間をかけて、キーボードを一つ一つ打って作っているわけです。ウェブに載せたものは閲覧数が見えますが、「多い」とか「少ない」と思っていても、そこには一人一人の人がいて、誰もがそれぞれの思惑で、それぞれの人生の一場面として、私の小説に出会っているわけです。どうしても数字に振り回されてその一つ一つの出会いのことを切り落としてしまうわけですが、一つ一つの出会いの鮮烈さを大切だと思っているから、私は小説を書いているのかもしれません。できる限り取り落とさないようにしていたい。
前述のとおり私は本当に色々なジャンルのものを書いているのですが、ときどき「もっと絞ったほうがいいんじゃないか…」と思ったりします。商業であんまり成果がでないのもあって悩んだりするんですが、でも、これでいいんだ、と思いました。他の人から見たら間違っているのかもしれませんが、小説を書くということは、間違いにもきっと価値がある。いろいろ迷って、いろいろ書いてみて、大きな成功じゃなくても、迷った先にも絶対に誰かがいるんだ、と、今は信じられます。迷っても、自分のしたいことを大切にして、必死で迷っていきます。必死で書いていきます。
長々と書きましたが、本当に言いたいことはあんまり多くありません。
本当にありがとうございます。これからも頑張ります。
ちなみに
pixivにあるのはこの話です。
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