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「KDPでBL小説って儲かるの?」

いきなり下世話なタイトルですが、エッセイのタイトルはそのぐらいのほうがいいかなって……。

正直「儲かる」の定義によるし、人によります……と、いきなり身もふたもないことを言えば話は終わりなんですが、「KDPでBL小説出してみようかな…」とちらっと思ってる方の役にちょっとは立つかなーと思うので私個人の話を少ししようと思います。ちなみにKDPというのはKindleDirectPublishingのことで、AmazonのKindleを個人で出版できるサービスのことです。出版するためのお金がいらないし、個人でも収益をあげられる方も多いそうです。Amazon専売にした場合「KindleUnlimited」という読み放題サービスに登録することができ、1ページ読まれるごとに0.5円ぐらいの配当があります。KindleUnlimitedのBL小説はアマチュアが結構強い分野……らしいです。結構アマチュアの方の個人出版が上位にいるのを私も見ます。

私自身はめちゃくちゃアマチュアみたいな気分でいますが、一応商業出版経験があり、ライト文芸で二冊文庫をだしています。ただBL関係では一切商業関係をやっておらず、ウェブとかでもあんまり活発には…歴も浅いし同人誌も出したことがないし……という感じです。要するにBL小説での知名度はなく、固定ファンはあまりいません……。こんなことは言いたくないですが嘘ついてもしょうがないし……。

これまでも小説をKindleにしているのですが、収益はだいたい一作一年で何千円…という感じでした。表紙は安い素材を買って自分で作ったのでかかった費用分は回収できていたのですが、「儲かる」にはまず当たらないかな…と思います。レビューやTwitterで感想など多少はもらえましたし、購入してもらえたり読まれたページ数が目に見えるのが楽しかったのですが、お金という点では全然儲かってませんでした。

それでもだいたいKindleのやり方なんかもわかってきたので、11月に初めてイラスト表紙のものを出してみました。

こちらです。SKIMAというコミッションサイトでイラストレーターさんで有償で依頼して表紙(デザイン含む)を作ってもらいました。

内容はウェブに載せたものに番外編などを加筆したものです。私にしては読者の多い作品でした。

配信されてからすぐにもともとの読者の方が購入したりダウンロードしてくれたのと、表紙の魅力のおかげか、一瞬(本当に一瞬)ですが、Amazonのボーイズラブノベルスのカテゴリで一位になったりしました。全体の順位だと200位代が最高だと思います。一カ月ほどたった今は1000位ぐらいをうろうろしています。KindleUnlimitedはあんまり検索性がよくなく新作から探す方が多そう(私はそうです)なので、新作から外れたこれからはどうなるのかちょっとわかりません。

それで肝心の売上ですが、一カ月でだいたい八万円ぐらいです。一般的に見て多いのか少ないのかわかりませんが……。ちなみに読み放題の金額が大半を占めています。ページ数だと150000ページぐらい読まれてる?ことになります。一冊200ページ強ぐらい(Amazonの購入ページにある表示だと178ページってことになってますがUnlimitedで換算されてるページ数は体感的にもう少し多いと思います。誰かこの誤差について正確にわかる方いたら教えてください…)?なので700人ぐらいが最後まで読んでくれたことに……?いや十五万人が最初の一ページでやめた可能性もありますが……。とりあえず購入に比べて読み放題でのダウンロードは気軽にできるので、商業出版という質が保証されていない知らない作者のものでも、表紙や設定に惹かれるものがあったら手を出しやすいのではないかと思います。

知名度がなくても一カ月でこのぐらいはできたので、もっと固定ファンがいる方とか、定期的に新作を配信できる方なら(新作が出てから旧作も結構ダウンロードされました)、もっと稼げるのではないかな…という気がします。

表紙もSKIMAやココナラというコミッションサイトを使えばイラストレーターさんやデザイナーさんに直接依頼をすることもできますし、出版自体も特に難しいことはありません。私はメモ帳に執筆したものを「でんでんコンバータ―」で変換してファイルを作っていますが、それもできなかったらコミッションサイトに請け負ってくれる方がいます。
もちろん全部自分で作れるなら出版費用もかかりません。

正直すごくたくさん儲けようとするには向いていないかなと思いますが、「このぐらいはできるんだな…」という感じで受け取ってもらえたら嬉しいです。ただ、読み放題に登録するためにはKindleでの専売で、ウェブでの掲載も取り下げなくてはいけないので、そこがちょっと悩みどころかもしれません。多分ウェブ公開したままおまけSSなどを入れた同人誌を電子書籍化したものをファンに購入してもらいたい……という方にはもっといいサービスがあると思います。全然知りませんが……。

KDPは出版社からの商業出版に比べて自分が好きにできる範囲が大きいですが、他のサービスに比べて少し収益性が高いし固定ファンがなくてもできる……という感じだと思います。BL小説に限らず創作には自己表現や自分の好きなものの追求に加えて受け手の要請に合わせる面があって、それぞれ自分に最適なバランスがあると思います。ウェブや紙の同人誌の販売(これは読み放題に登録しながらでもできます)や商業誌への投稿など、BL小説と言っても公開方法はいろいろありますが、個人の創作のバランスとして「Kindleが一番向いてるな」と感じる方も多そうなので、あまり構えずにKDPやってくれないかなーと思っています。配信停止も自分で選べますし(私はまだやったことないですが……)。

電子書籍は読み方も紙の書籍とは違うので、ウェブ小説と紙の小説の間的な別の需要が生まれないかな…とこっそり思っていたりします。紙だとどうしても長さに制約が生まれますが電子だとそうでもないですし、購入するほど好きな感じじゃなくてもちょっと試しに読んでみる…という読書でもお金になる(二百ページ程度の分量なら文庫の電子書籍の印税と一冊当たりそう変わらないと思います)のはあまり他に例がなくていいのではないでしょうか。

電子で個人で収益化できる。そういうところで生まれる物語が、出版社が紙で出すのが当たり前だったときと同じかたちをしているのか、私はちょっと気になったりします。

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