三叉神経痛へのファッシア瘀血の関与について

 毎年冬から春にかけて、ビタミンDの欠乏をベースにもっているからなのか、神経系の不調とりわけ三叉神経痛(とくに第2枝・第3枝)の悪化で受診される方が増えるように感じています。

 栄養的な対処法としては、血液検査で欠乏している栄養素を探索し、十分な分量を補充するのですが、とにかく痛みが強いため、その場での対応が求められることがすくなくありません。
 こうした時に、効果を発揮するのが「刺絡」です。頭頸部のうっ血を背景として、三叉神経の当該部位近辺で瘀血が発生し、そこから発痛物質が神経を刺激するメカニズムを想定しています。

 教科書的には、付近の血管による三叉神経の圧迫が痛みの原因とされていますが、実際に圧迫されているケースに加え、それほどでなくてもファッシアを介して物理的もしくは化学的刺激がもたらされている可能性もあるのではないかと考えています。
 当然、症例数が少ないので決定的なことは言えないのですが、数例でも瘀血を除去する刺絡により著効した例があるので、ファッシア瘀血の関与は否定できないように感じています。手術法である微小血管減圧術も、結果としてみるとファッシア瘀血による影響の軽減を図っているとも解釈できます。

 通常の治療が優先するのは言うまでもないのですが、それでもスムースに治癒しない例では、こうしたもう一つの機序が関与している可能性も否定できないのではないでしょうか。
 また典型的な三叉神経痛だけではなく、特殊な感覚異常を伴うものもあるようですので、少し症例の蓄積が出来たらまとめてみたいと考えています。
 最近の治療経験から気になった事項でしたので、メモしておきました。


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