採用・育成・現場をつなげて人材育成を考える
こんにちは。こいけです。
人材育成において、
「採用」「育成」「現場」がシームレスに関わることは可能なのか。
営業職の育成部門に着任したとき、そんなことを考えていた。
育成部門では、営業現場のような直接的な介入はしづらい。
実務フォローも評価も主体は営業現場にあるので、間接的に育成に関わることになる。
間接的な関わりは中途半端なものにもなり得る。
でも見方を変えれば全国数百名規模の営業職員にアプローチできる、とも言える。
せっかく事業内に育成部門を置いているのだから、より効果的な関わりを実現したい。
育成を「育成部門」としてではなく「事業」で捉えると、所属組織や部門は簡単に越境できるのかもしれない。
そんな話。
育成リソースをどこに投下するのか
それまで育成部門は、中途領域に限れば中途入社者の初期育成が主なミッション。
毎月コンスタントに一定数の入社者が発生するため、オンボーディングを進める上でクオリティの担保された初期育成は欠かせない。そこを育成部門が担っている。
導入研修を実施した後は現場に委ねられることになる。
当たり前だけど、導入研修だけでは育成は完結しない。
では育成リソースをどこに投下しようか。
まずは人材育成のメスの入れどころを探ってみる。
部門や役割を超えて情報をつなぐとメスの入れどころが見えてくる
育成はあくまで起点。
人事部門が採用し、育成部門が研修を行い、現場で営業活動を行う。
それらはつながっているはずなのに、情報はつながっていない。
各部門が使うツールはそれぞれ異なり、採用〜育成〜配属後までの情報をシームレスにつなぐプラットフォームもない。新規導入の予算も取っていられないので、それぞれに散らばったデータを自力で整えていく。
など、散り散りになっている情報を一元管理していく。
部門を超えて情報を繋いでみると、全国に数百人いる営業メンバーの中で重点的なフォローが必要なゾーンがどこなのかが見えてくる。
入社後一定期間が経過しても営業予算の未達が続いているメンバーが多く存在した。その中には、向上心はあってもやり方が分からない。また現場の育成支援も行き届いていないメンバーも多い。まずはそこにメスを入れることに。
各現場の営業部長は自分の部の状況しか見えないので、横からフラットに客観的なデータで「当て」をつけ、その無機質なデータに、有機質な現場の感情も加味しながら支援対象者を決めていく。
育成部門の意識が変わる
育成部門のメンバーは人に貢献したい想いの強い、現場あがりの利他的なメンバーが多い。
一方で、初期育成が終われば現場に気をつかい、踏み込みきれない場面も存在していた。
支援対象者が明確になれば、現場に踏み込める状態がつくられる。
毎月の営業現場の生産性が可視化されることで、育成部門の我がゴト化も進む。
支援対象者の生産性を一人前水準まで引き上げるために、他者事例にアンテナを立て始め、互いのノウハウも共有するように。自分の育成の仕方にフィードバックを求めるコミュニケーションも発生し、試行錯誤が日常的におこなわれるようになる。
営業現場との関わり方が変わる
営業部門から育成部門に異動したとき、営業現場が育成部門に育成をなんでも丸投げするような場面を目にすることがあった。
営業現場にいたときは、育成部門はなくてはならないカウンターパート。育成主体はあくまでも営業現場で、その効果を最大限に高めるために育成部門との密な連携は切り離せないと思っていたけど、多くの営業現場ではそのような見方はされていなかった。
事業として効果的に人材育成を行うために、現場との関わり方も変えたい。
そうは言っても現場にも余裕はない。メリットがなければ情報連携も進まない。
そんな現場の見方を、業績改善者へのテコ入れが変えるキッカケになった。
支援対象者を明確にして、その人たちの生産性が見るからに上がっていったことで育成部門に対する信頼感が生まれ、インタラクティブな情報連携ができるシーンが増えてくる。
それがまた育成部門のメンバーのスイッチとなり、良い相互循環がなされるようになる。
採用部門との関わり方が変わる
採用部門は採用が専門。
採用人数が目標に置かれ、それを達成すべく日々向き合っている。
採用は人事、受入は育成、配属後は現場。
人事が採用者の「その後」を知ることはない。
人事、育成、現場で役割を細分化することでそれぞれの目的を全うしようとしているのだから、その継ぎ目を紡ぐことで、その効果はより最大化できるのかもしれない。
そんな想いで、採用部門にもフィードバックすることに。
採用部門とは、入社時評価と入社後活躍との相関を見ながら、採用基準や評価軸は確からしいのか、評価をする面接官の目線は合っているのか等、定期的にすり合わせることに。
情報をつなげることで、メスの入れどころが見えてくる。
そこが見えたら思いっきりメスを入れる。
今回は業績改善が必要なメンバーの支援。
支援対象者を明確にして現場介入できる状態をつくる。
育成部門の意識と行動が変わり、支援対象者の生産性がみるみる向上していく。
それにより営業現場との信頼関係が生まる。
そこからインタラクティブな情報連携が進み始める。
採用部門には、採用の「その後」を見てもらうことで、ギャップがあった際の軌道修正もクイックに。
採用・育成・現場がつながることで、良いフィードバックループが生まれ、
そのループが人材育成に良い影響を与える。
各部門が自領域のメガネを取り払い、目的思考でものごとを捉えれば、部門の壁なんてスルッと乗り越えられるのかもしれない。
今後の育成部門は「活躍支援」にもスコープを広げていく。
セールスイネーブルメントの実現に向けて、また新たな一歩を進んでいく。
そして試行錯誤はつづく。
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