深夜のア・カペラ

夜、布団に入って電気を消したものの
ぜんぜん眠くないことがままある。

電気をつけて別のことをはじめてもいいけれど、次の日の朝がはやかったりするとそこまで割り切って起きているのも気が引ける。

私は眠れないとき、よくア・カペラでうたを歌う。最初は暇だし練習になるから歌おう、みたいな感じだったけど、そのうちこれは良い効果が色々あるかもしれないと思うようになってきた。

電気を消した部屋で目を瞑ると、視覚から受ける刺激が減り、聴覚の感度があがる。寝る前のこの状態は音を集中して聴く環境としてかなり良いと思う。住んでいる家が静かなこともあって音がよく聞こえる。
歌ってみると、これまで気がつかなかった自分の声の性格に気がつく。サ行を発音するときに歯の間からたくさん空気が漏れていたり、いつも同じ箇所の音程が不安定だったり、自分の癖がわかっておもしろい。

また「聴く」という行為に集中することで、眠れない夜の最大の敵、頭が冴えるような考え事たちからも気を逸らすことができる。人はなにかに集中することで余計なことを考えずにいられる、とよくいうけれど、まさにそれである。

しばらく歌っていると息があがってくる。たまに歌い疲れてそのまま眠ってしまうこともあって、そうなると眠れないという問題も解決される。
自分の声を知ることができて、考え事をしなくて済み、適度な疲れで眠気まで誘えるとなると歌わない手はない。

最近は静かすぎるのをちょっとさみしいと思うようになってきた。パトカーのサイレンや酔っ払いの声が聞こえてくる部屋(つまり実家のこと)や、牛蛙が合唱しているようなところでも歌ってみたい。そうなると選曲もかわりそうだな。


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