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社会人の物理

忙しい社会人が勉強をしようと思っても、まとまった時間を取るのは難しい。ましてや、物理の勉強をしようとしたら、なおさら時間がかかる。時間が取れたとしても、大学で学ぶ物理の教科書はどれも分厚く、始めからやろとすると膨大な時間がかかるだろう。そこで、お勧めするのが、レオナルド・サスキンドの「Theoretical Minimum」シリーズだ。スタンフォード大学での社会人向け講座をもとに書籍化された。

「Theoretical Minimum」というくらいだから、それぞれの物理を理解するのに必要最小限が書かれている。と言っても、数式は使うべきところでは、ふんだんに使われている。

今のところ、「力学」、「量子力学」、「場の理論」、「一般相対論」の4冊が出版されている。力学は解析力学を中心に書かれているが、続く量子力学、場の理論と一般相対論を勉強するのに必要最低限になっている。場の理論では、最小作用の原理から電磁気の法則を導いているのは、電磁気の復習をするのに時間をかけずにすむ。電磁気の多くの書籍は、ファラデーの法則やアンペールの法則、ビオ・サバールの法則など個々の法則を学んでから、それらをまとめる形でマクスウェル方程式を導き出すというやり方を取っている。サスキンドも書いているように、電磁気はマクスウェル方程式から始めるのが良いとのことで、マクスウェル方程式から個々の法則を導き出す方式を取っている。「場の理論」は、Special Relativity and Classical Field Theoryとあるように、特殊相対論と場の解析力学、電磁気からなっている。そして、この「Theoretical Minimum」シリーズの中でもナンバーワンは、「General Relativity」だろう。一般相対論の本はいくつか読んできたが、サスキンドが最も分かりやすい。読んでいて躓くところがない。社会人にリーマン幾何学を理解させるのに成功している。

「力学」と「量子力学」は日本語訳の本があったが、残念ながら絶版になっている。今後、宇宙論と統計力学も書籍化される予定だ(と、「General Relativity」には書かれていた)。易しめの英語で書かれているので、英語でも十分読みこなせるし、ペーパーバック版ならKindle版よりも安い。そして、Kindle版だと数式が見づらいようで、評判が悪い。

スタンフォード大学での講座も動画で揃っているので、そちらも視聴しながら読んでいけば、理解も進む。


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