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焼き鳥とワイン、日本酒のペアリング

はじめに

今回は、焼き鳥屋さん「とさか」にて開催させていただいた、焼き鳥とシャンパーニュ&日本酒のペアリングイベントの模様をレポートさせていただきたいと思います。

実際にご参加いただいた気持ちになってご覧いただき、焼き鳥とワインや日本酒の楽しみ方の一つの参考にしていただけると嬉しいです。

では早速スタートしましょう。

焼き鳥とシャンパーニュのペアリング 前編

前菜の盛り合わせ
・鶏のタタキ酢味噌かけ
・菜の花のお浸し
・鶏生ハムのマリネ

最初の前菜に合わせてセレクトしたのは、Twitterでも何度もご紹介させていただいている、コストパフォーマンスに非常に優れたシャンパーニュ「ロワイエ」

こちらは、ピノ・ノワールが75%、シャルドネ25%と、 黒ブドウを主体としたシャンパーニュで色調も濃いめ。熟した洋梨や黄色リンゴの香り、心地よいナッツやイースト香、まろやかさと爽やかさをバランスよく感じる味わい。何度飲んでもそのクオリティの高さを実感させられます。

冷製の鶏肉の味わい、菜の花のお浸しの旨苦味と爽やかさ、出汁感にもよくマッチし、アペリティフとしても最適な一本。

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焼き鳥(塩)⇨さび焼き(ささみ)、ねぎま

こちらに合わせたのは、シャンパーニュ「ドゥラモット ブラン ド ブラン」

シャルドネ100%で造られた、極めてエレガントなスタイルが特徴。シャンパーニュの中でも別格の存在としてその名を轟かせている「サロン」の姉妹メゾンとして、良年のヴィンテージシャンパーニュのみを生産する完璧主義者サロンがリリースされなかった年のブドウが使用されていることで有名なのがこちらのシャンパーニュ。シャルドネという品種の素晴らしさを実感させてくれます。

ワサビやネギの、爽やかでありながら旨苦味のある味わいにしっかりと同調しながら、鶏肉の旨みをこのシャンパーニュ特有の酸で引き出します。

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焼き鳥と日本酒のペアリング

焼き鳥(塩)⇨せせり、こころ *いぶりがっこクリームチーズ

こちらに合わせたのは、日本を代表すると言っても過言ではない、秋田の日本酒「新政 No.6 S-type」

生酛造りから生まれる生酒タイプの極めてエレガントなスタイル。現地にも訪問させていただきましたが、その妥協のない日本酒造りは、鳥肌が立つほどでした。

せせりとこころの繊細で深みのある味わいにしっかりと同調しながら、旨味の全てを引き出してくれます。秋田の名物であるいぶりがっこを付け合わせとして添えることで、料理とお酒の全体としての相性をさらに高めてくれます。

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焼き鳥(塩)⇨そり、ハラミ、ギンナン

モモ肉の希少部位である「そり」、そしてハラミの脂ののった凝縮した味わいに合わせたのは、愛知県から国内外に向けて、素晴らしい銘酒を生み出している「醸し人九平次」のヒューマン

人間という名の究極の一本は、日本酒の主原料となる米の味わいを全開に感じさせてくれて、その華やかな香りにも思わず笑顔になります。

焼き鳥屋さんの串の中でも、重要な存在として私が考えているギンナンの豊かな風味にも、とてもよくマッチします。

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焼き鳥とシャンパーニュのペアリング 後編

焼き鳥(タレ)⇨つくね、手羽先、椎茸

ここでいよいよタレ焼きの登場です。つくねの甘旨味、手羽先のしっかりとしたコク旨味に合わせるのは、シャンパーニュ「シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴ 」 

ブドウ品種 シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエを均等にブレンド。40%ものリザーヴワインの10年分を巧みにブレンドすることで、複雑性のある香りと味わいが表現されています。

外観は美しい黄金の色調、熟した黄果実や香ばしいトーストやブリオッシュ、ナッツ、マッシュルームのような香りと風味、まろやかな味わいが、タレ焼きにとてもよく合います。付け合せに椎茸を添えることで、さらにマリアージュの完成度を高めています。

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〆の一皿⇨〆白レバームース、ザンギ(鳥唐揚げ)*塩ダレネギ

最後の一品に合わせたのは、今回のメインアイテムでもある「ドン・ペリニヨン2010」

ブドウ品種はシャルドネ54%、ピノノワール46%で、非常に長い年月をかけて熟成させてからリリースされるこのシャンパーニュは、他のアイテムとは一線を画す。

繊細でありながら複雑性を感じる第一のアロマ、熟した果実と心地よいミネラル香とスパイスのようなニュアンス、なめらかなテクスチャーと果実の味わいが、余韻までとても長く続いていきます。

この〆の一品とのペアリングは、多くの参加者にとって、予想を裏切るものだったのではないでしょうか。

ザンギは味わいと香ばしい風味がしっかりとしていて、焼き鳥を食べた後の食事の後半の料理として相応しい。塩ダレねぎを添えることで、熟成と若さの中間的な要素を持つこの2010年の状態に近づけるように、コクと爽やかさの要素をプラス。

そしてレバームースのまろやかで深みのあるクリーミーな味わいは、凝縮感のある熟成シャンパーニュによく合います。

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以上、今回のコースはあとデザートを残すのみとなり、6アイテムのシャンパーニュと日本酒も出揃ったところですが、デザートのガトー・オペラに合わせて、最後に7アイテムめとして、食後酒の要素を持ちながらチョコレートのデザートにも相性の良い、ルビーポートをペアリングさせていただきました。

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最後に

焼き鳥のコースに合わせて実際にセレクト、供出をさせていただいたシャンパーニュ、ワイン、日本酒の組み合わせとそのポイントをご紹介、解説をさせていただきましたが、実は先にコース料理が決まっていたのではなく、まずは私がドリンクのアイテム銘柄とその順番を決めた上で、それぞれに合うと考えられる部位、付け合せをご提案させていただくという、通常とは逆の発想から組み立てていくことで、今回のペアリングコースが完成しました。

このように、ワインや日本酒をまずは決めてから、そこに合わせて料理を決めていくというのも、ワインラヴァー、日本酒ラヴァーとして食事と飲み物を楽しむ上では興味深い方法です。

これはグラスワインに限らず、飲みたいボトル一本を決めて、そこから相性の良い料理を複数合わせて楽しむということも可能です。これを機に、ぜひ一度トライしてみてください。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。また次回、お会いできるのを楽しみにしています。

ワインディレクター 田邉 公一



最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂