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アメリカの大学生活に必要な英語力とは?

大学の授業についていくための英語力とは何か? その伸ばし方は?

英語の4つのスキル (リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング) をアメリカの大学でB評価、またはギリギリでA評価の成績を取るのに重要な順に並べると:

  1. リスニング

  2. ライティング

  3. リーディング

  4. スピーキング

の順になると思います。アメリカの大学の授業で良い成績を取るためのリスニング、ライティング、リーディング、スピーキング・スキルとはどんなものなのか?そしてそれらのスキルはどのようにして習得したらいいのかを以下に述べます。

1. リスニング

多くのクラスにおいて、成績に直結する授業内容のほとんどは、授業中の教授のレクチャークラスメートの発言にあります。それらをちゃんと聴いて理解する力、つまりリスニング・コンプリヘンション (listening comprehension) 能力が弱いと、テスト勉強とかがとっても大変になります。教科書 (textbook) や配布された資料 (handouts) 全部読んだらいい点とれる?そうかもしれませんね。でもそんなの大変ですよね。それに、textbook や handouts に載ってないこともレクチャーされるし、それもテストに出るんですよ。じゃあ、どの程度のリスニング力があったら授業を理解できるんでしょうか?

リスニングに必要な英語力

授業中の教授のレクチャーや、学生の発言は、日常の挨拶や簡単な会話よりも長い文章で話されるため、長い英文を聴きながら理解していくことができないと理解が追い付きません。それを私は、直聴直解スキルと呼んでいます。これができない人は、何よりも先に、早急にこのスキルを身につけて下さい。皆さんがどの程度直長直解できるのかチェックできるビデオを作りましたので、まず自分の直聴直解力をチェックしてみましょう。

じゃあ、どうやってそのスキルを鍛えたらいいの? これについては、英語の思考順序で考える、または理解する方法を知ることが必要で、それを教えることができる先生や教材を探してください。参考までに、英語の語順で考える・理解するってのはこういうことです。

リスニングに必要な単語力

それから、listening comprehension にはある程度の単語力が必要です。特に:

  1. 使用頻度の高い常用語彙 (例: show, reply, below, top, homework, quiz...)

  2. 科目分野特有の語彙 (例: 医学系なら pathological, chronic, infirmity, diagnose, neurological...)

  3. アカデミックで使用頻度の高い語彙 (例: rubric, significant, assignment, due, assess, demographic, accurate, summarize, generalize...)

高頻度の常用語彙は大体アメリカの小学生低学年程度の語彙レベルなんですが、それが大きく欠落している人は、おそらく大学の授業で使われる単語の半分以上分からないでしょう。下のリンクにスピーキングにおける高頻度の単語721語を頻度の高い順に載せてあります。実はこのリストの721語は、通常のスピーキングで使用される英単語のなんと90%を占めているんです。つまり、これ全部知ってれば、通常のリスニングで、話された単語の90%が分かるということです。そして9割単語知ってれば、相手の言っていることはほぼ全部理解、または推測できます。

科目分野特有の語彙については、textbook などを予習して意味を調べておくことを勧めます。専門用語は授業中に説明されますが、個々の分野で使われる傾向の強い単語というのが存在していて、それらの単語は英語のネイティブスピーカーには常識的なんですが、日本人留学生にとっては、知らない、習ったこともないという単語であることがよくあります。だから、textbook の単語程度はほぼ分かるようにして授業にのぞむことを勧めます。

アカデミックで使用頻度の高い語彙は、知ってると得ではありますが、前もって全部知っていなくても何とかなります。この手の単語はたまに出てくる程度で、一文一文毎回出てくるわけではないんで、それが分からなくても、常用語彙さえしっかり理解していれば、全体の理解を損ねることはあまりありません。参考までに、下のリンクにアカデミックで使用される高頻度の英単語 963語 (New Academic Word List) を載せておきます。

2. ライティング

アメリカの大学のほとんどのクラスでは、成績に直結する課題の多くが、ライティングを通して行われます。たとえば:

  • エッセイ (essays)

  • リサーチペーパー (research papers)

  • ワークシート (worksheets)

  • 記事の要約 (article summaries)

  • 書評 (book reports)

  • 中間・期末テストの自由回答問題 (open-ended essay questions)

ライティングに必要な英語力

多くの大学教授は内容重視の傾向にありますが、あまりにも英語がおかしい場合、減点の対象になったりします。では、おかしいライティング英語ってどういうんでしょうか?おかしさの程度が高い順に並べるとこうなります。

  1. 文が完結していない

  2. 文の意味がわけわからない

  3. 基本的な文法がメチャクチャ

  4. 指示されたフォーマットで書かれていない

私が見る限り、多くの留学生の英語は上のリストにあるような傾向を持っています。でも実はこれ、留学生のみに言えることではなく、多くの不真面目な英語ネイティブの学生にも言えるんです。彼らは思ったことを、話し言葉のように書きなぐって、それをそのまま提出したりするため、中途半端な、意味不明の英語でペーパーを書いちゃってたりするんです。

完結した文を書くとはどういうことかというと、「誰々が○○をした」「これこれは○○である」のように最後まで言い切った形で文を終えるということです。以下の完結していない文 (A) と完結した文 (B と C) を比べてみてください。

A: 今朝起きたら朝食のいい香りがしていて。
B: 今朝起きたら朝食のいい香りがしていて、空腹感に襲われた。
C: 今朝起きたら朝食のいい香りがしていた。

Aだと、まだ文の途中な気がしませんか?Bの文を途中でやめためたいな。CはAと似てますが、Cは最後ちゃんと文を終わらせてますよね。英語のライティングにおいては、Aみたいな中途半端な文の終わり方をしないようにしましょう。実際英語にすると:

A: When I woke up this morning, the breakfast smelling good.
B: When I woke up this morning to the good smell of breakfast, it made me hungry.
C: When I woke up this morning, the breakfast smelled good.

と、こんな感じになります。

意味がちゃんとした文を書くとはどいうことでしょうか?例えば以下の文を見てみよう。

  1. 朝早く起きたけどまだ外は明るい。

  2. ちゃんと調べても徹夜だった。

  3. 朝から晩まで日の出でした。

  4. バンがないならケーキを食べればいいじゃないか。

文法上は間違いはないですよね。でも、なんかつじつまが合わない感じがしませんか?多くの場合、説明が足りない、肝心の説明が抜けているために、よく分からない文になっちゃってるんです。(2)の例文も:

  • ちゃんと調べても原因が分からなかったので、朝まで調べ続けて、徹夜だった。

これくらいしっかり説明すれば、はっきり意味が伝わりますよね。あと、これもよくあるパターンなんですが、大学の課題だからと言って、敢えてお堅い、無駄に長い、難解な文を書く人がいますが、全くその必要はないです。小学生にでも内容がハッキリ伝わる文で書くことを心がけましょう。分かりやすい文を書くためには:

  1. 長すぎなく、短すぎない

  2. やたら難しい単語を使わない

  3. やたら難しい構造の文にしない

の3点に注意して書きましょう。長すぎると読んでて混乱する。短かすぎる文が何個も書いてあると、文と文の繋がりがよく分からなくなる。複雑すぎたら意味が分かりにくい。単純すぎても意味がしっかり伝わらない。だからその中間ぐらいが分かりやすいんです。

書いたらしっかり見直して、変なところをちゃんと直してから提出することを習慣としてください。それでも基本的な文法があやふやで、自分で見直しても間違いだらけの英文になってしまう場合、大学のライティングセンター (Writing Center) に持っていき直してもらうことを勧めます。

Lang-8 などの相互添削を目的としたオンラインコミュニティーを利用するのもお勧めします。(注:Lang-8 は残念ながら新規加入を受け付けていません。)

そして、直してもらった後は:

  1. 正しいバージョンをちゃんと覚え、次回から同じヘマをしない

  2. どこがどいう理由でダメだったのかちゃんと理解する

の2点をしっかり心がけましょう。

3. リーディング

リーディングは速く読めることが大学のアカデミックライフを楽にするために重要です。しかし、TOEFL、SAT、ACT、GRE などのリーディングセクションのテストと違って、大学の科目のテストには リーディングコンプレヘンション (reading comprehension) のテストがあるわけではないので、読むのが遅いとテストでいい点が取れないということはありません。ぶっちゃけ読むのが遅い人は、人より多く時間を費やして読めば済むことなんですが、私はそのため毎日課題のリーディングに5-8時間費やしていた日本人留学生を多数知っています。それって無駄に勉強時間が長いと思いませんか? だから、読むスピードが速いということは、勉強が楽になるということなんです。以下の状況で読むスピードが速かったら楽ですよね。

  • 予習、テスト勉強で textbooks を読むとき

  • リサーチペーパーの課題のために記事を何個か読まねばならない

  • Article review や book review のために英文を読むとき

その他、教授によっては、授業中に生徒同士をペアにして、互いのペーパーを読んで批評する (peer review) みたいなことをさせる教授もいます。そういった場合のためにも少なくとも、普通のリーディング速度は欲しいですよね。普通のリーディング速度ってどれくらいかというと:

  • 一般的な内容の場合: 500-600語/分

  • 専門的な内容の場合: 200-300語/分

ぐらいのスピードでは読めるといいでしょう。毎分600語、毎分300語のスピードの実際については、以下のビデオを参照。

他のスピードを試したければ、以下の速読練習用のツールを使用してみてください。

上記の毎分600語、毎分300語のビデオの作成には、この spreeder というツールと、この Steve Jobs Stanford Commencement Speech のトランスクリプトを用いました。

リーディングに必要な英語力

普通に速く英文を読むには、特殊な速読のスキルではなく、普通の英語のスキルが必要です。重要度の高い順に言うと:

  1. 直読直解ができる(英語の語順での英文解釈の仕方を知っている)

  2. 常用単語は知っている

  3. 知らない単語は意味を推測しながら読む

英語を英語の語順で理解するための知識は、日本の学校英語教育ではほぼ教えられていませんので、それを指導できる先生か教材を探して学んでください。

リーディングのために最低知っていてほしい常用英単語の 2801語を下にリンクしときます。

この2801語で一般的な英語の読み物に出てくる英単語の90%をカバーできます。日本の中学・高校を通して、約3,000語の英単語を習いますが、NGSL にはそれ以外の単語がかなり含まれますので、とりあえず自分がNGSL のどの単語を知ってて、どの単語を知らないのか確認してみましょう。

知らない単語があったら、とりあえず推測で理解して読み進める。これは、日本語では誰しもやってることですね。これは、直読直解で普通のリーディング(読書)ができるようになると簡単にできるようになります。日本の学校教育で主流の英文解釈メソッド、つまり文法と構文を駆使して、翻訳をしながら読んでいく方法だと、知らない単語を保留にしてどんどん読んでいくというのがしにくいので、直読直解の方法をまず最初に習得しましょう。

4. スピーキング

成績の査定において、スピーキングの占める割合はかなり小さいです。テストとペーパーと出席のみで成績をつける教授もかなりいます。教授によってまちまちなんですが、スピーキングが成績に反映される割合は、大多数のクラスにおいて、だいたい10-15%といったところでしょう。スピーキングが成績に反映する具体例にはこんなのがあります(反映度の高い順)。

  1. 個人でのプレゼンテーション

  2. グループでのプレゼンテーション (group presentations)

  3. クラスへの参加・貢献度 (class participation & contribution)

  4. グループプロジェクトへの貢献度

上記のいずれにおいても、スピーキングが評価の全てではないので、スピーキングが苦手でも他の部分で高評価を得ればいい成績を取ることは可能です。

クラスへの参加・貢献度 (class participation & contribution) は様々な形で可能です。例えば:

  • 授業中の発言(意見)

  • 授業中の発言(重要な質問)

  • 授業中の発言(「今なんて言ったんですか?」等)

  • オンラインフォーラムでのディスカッション(文字による)

  • グループプロジェクトでの発言

  • グループプロジェクトでの発言以外の作業(リサーチ、資料作成など)

  • 予習復習の量(教授に質問に行く、email で質問するなどのアピールが必要)

  • 授業内容に関連する資料を見つけてクラスでシェアする(教授に送る、またはクラスのオンラインの共有スペースにシェアする)

  • 授業中にデモンストレーションなどで人手が必要とされたら、進んで立候補 (volunteer) する

これらを見て分かるように、それ程スピーキングが得意じゃなくても、結構 participation & contribution の点数は稼げるんです。

だけど、成績に直結しなくても、スピーキングの上達はアカデミックにおいてこんな利点があります。

  • 授業中に分からないことがあったら、その場で質問して解決できる(授業や課題内容の理解度アップ)

  • 教授、特にクラスメートから、自分の学力の正当な評価が得られる(喋らない人は、理解してない、できないと思われがち)

スピーキングに必要な英語力

まず、英語力以前に、これらのことができていないと、英語であれ日本語であれ上手く話せません。

  1. 伝えたい内容がある

  2. 言いたいことが頭の中である程度整理されている

そのうえで、考えを言語化するんですが、考えながら言葉を紡いでいく・話すためには:

  1. 言いたいことのどの部分から言語化していくのか

  2. その部分をどんな英語にしたらいいのか

この2つが分からねばなりません。

言いたいことをどの部分から言語化していくかの順序が日本語と英語とではかなり違うため、日本人の大部分が苦労しています。

英語の思考順序の習得と正しい英作文力の習得は、直読直解のための知識とスキルとほぼ同じです。つまり、英文の意味を語順に沿って考え・理解できる人は、英語の思考順序で考え・話すことも可能なんです。ですから、それができてない人は何よりも最初に、直読直解の正しい指導ができる先生や教材をみつけてそれを習得しましょう。

考えながら英語を話すために、もう一つ重要なのが、自分の考えを言語化するための単語やフレーズを知っているということです。自分の考えのどの部分を英語にしたらいいのがが分かるなら、次にそれがどの英単語・フレーズにあたるのかの知識が必要になります。その際に:

  1. その考えを、過去に英語化したことがある

  2. その考えと同じことを以前に英語で読んだ、聞いたことがある

これらの場合、特に(1)の場合、必要な英単語・フレーズをかなり簡単に思い出せます。ですから、日頃から英語でのアウトプットの量を増やすことを心がけましょう。アウトプットの量を増やす方法はたくさんあります。例えば:

  • 毎日パーソナル・アカデミック・ビジネスのブログを書く

  • 毎日ビデオブログを録画する

  • 毎日人に様々なことについて説明する(ビデオチャット、テキストチャット、SNS ポスト、email も含む)

  • 毎日独り言を言う

  • 英語でプレゼン・スピーチ・解説のビデオ作成、YouTube 等にシェア

また、(2)の場合の例として:

  • 日頃から、自分の趣味、勉強、仕事に関連のある分野の読み物、ビデオ、レクチャーなどに多く触れる

  • 日頃から、目や耳に入ってくる英語に敏感にアンテナをはっておき、自分の考えを上手く表現した英単語・フレーズ・表現があったら積極的に吸収する

この2つを心がけましょう。

じゃあ、単語が分からなかったらもう話せないのかというと、そうではありません。「飢餓状態に陥ったと」言いたいのに、飢餓状態という単語が分からなければ、「食事が長期間取れなかったためひどい空腹状態に陥った」とか「極限の空腹状態に陥った」とか言い換えればいいんです。表現が回りくどくなったり、曖昧になったりする可能性がありますが、十分意味は伝わりますし、自信をもって流暢に言えば、聞き手に変な表現に聞こえることもありません

最後に、考えながら英語で話すうえで重要なのが、考えている間の間をつなぐ言葉を持っているということです。日本語でも、いろんな間のつなぎ方をしますよね。例えば話始めの時間稼ぎとして:

  • 「そうですねー、えーと」

  • 「自分個人の意見になりますが」

  • 「世間一般的には」

  • 「詳しく知ってるわけじゃないんだけど」

  • 「人に聞いた話では」

  • 「これはどこかで読んだ話なんですけど」

  • 「誰を私が尊敬してるかというと」(相手の質問を繰り返して言う例)

など、いろいろ言いますよね。また、話の途中で間をつなぐために:

  • 「そういうわけだから」

  • 「つまり、自分が一番ここで言いたいのは」

  • 「で、なんだったっけかなー、ちょっとあんまり覚えてないんだけど、多分こうだったと思うんだけど」

  • 「それだけじゃなくて、例えば、こんなのもあるんですよ」

  • 「他にもこんなの聞いたことありませんか?例えば」

  • 「すると、なんと驚くとに」

さらに、こういう言葉を交えると人間味が増しませんか?授業中だからと言って、人間味をなくす必要は全くありません。必要最小限の言葉だけを淡々と話す人とは一緒に話してても、なんか落ち着かないもんです。英語においても人間味を増すため、こういった言葉もいろいろ覚えるといいです。

最後に

ここまで大学で良い成績を取るための英語のスキルとは?それらの伸ばし方は?についてシェアしてきましたが、これが現在アメリカの大学で勉強している人と、これから予定している人の参考になることを願ってます。もっと詳しい情報が欲しい人は気軽に連絡ください。

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