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劇場型政治の終演

今月の初め、立憲民主党の山井和則が国会にて二時間強に及ぶ冗長な演説を行ったが、あの党の中には未だに、与党に対抗するに当たって手段を選ばず、政治的パフォーマンスに走る九十年代的な発想の人間が残存しているようである。牛歩戦術にせよ、ピケにせよ、フィリバスター(議事妨害)は、議会制民主主義の本質からかけ離れた行為であり、国民の信頼を損ねるのみならず、建設的議論など夢のまた夢となり、結果が伴う事など無いと言っても過言ではない。
立憲民主党だけではないが、好い加減、国政政治家はパフォーマンスに走る事を止め、批判をするにせよ論理的かつ理性的になる必要があると私は考える。安倍・菅内閣において、与党が困惑せざるを得ないようなパフォーマンスを行っていたのは事実であるが、既に岸田内閣ではレトリックを駆使した政治的言動は影を潜めているのであるから、攻撃一辺倒ではなく、真摯に議論を行えば自ずと、野党への賛同者や関心を持つ者も増加する筈だ。小泉内閣以来の劇場型政治について、国民の多くは既にうんざりしているというのが正直な所であり、人目を引くスローガンも、工夫を凝らしたパフォーマンスも最早不要である。一例として、丁度、本日九日、森喜朗が石川県のアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」のオープン記念式典に際して、能登地震への「超法規的」な尽力を求めるという妄言をしたが、彼と同様に、笑えない冗談や意味不明のパフォーマンスを駆使して同水準で戦ったとしても、問題発言と問題行動を起こしているだけであり、評判の悪化は避けられない。
政権交代は必要であるが、国民の四十パーセント超が支持政党を持たない状況では、無闇矢鱈に早期解散を求めるのではなく、現下、与党が抱えている問題が何なのか、要点を掴んで責任を追及すべきであり、その方が野党の存在感は増してゆくだろう。

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