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「日本語教育課程編成のための指針」の要点

はじめに
 この記事では、「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」の重要部分について解説します。当面は、メモ的に情報を提供します。注目的な太字強調しています。
 ちなみに、「法的根拠」は、「日本語教育の参照枠とCEFR」の記事で紹介したように、以下のようになっています。

 1.日本語教育推進法(法律)
    ↓
 2.認定日本語教育教育機関認定基準(文科省令)
    ↓
 3.認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項(日本語教育部会決定)
    ↓
 4.認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針(日本語教育部会決定)

1.「考え方」
 ※「別表」は一番下に掲載しています。

2.考え方
〇 認定日本語教育機関は、教育課程の編成に当たって本指針で示された事項に基づき、対象とする分野の特性を踏まえ、「日本語教育の参照枠(報告)」1(令和3年10月12日 文化審議会国語分科会)(以下「日本語教育の参照枠」という。)並びに別表「言語活動ごとの目標」 (以下「別表」という。)を参照しながら、目的及び到達目標、学習目標に対応した教育内容を適切かつ体系的に定め、目標とする日本語能力を習得できるよう授業を設計、実施する。

指針、p.1

2.到達目標・到達レベル
 ※以降は「留学分野」(指針の5−2、p.3から)の話になります。

(2)教育課程の到達目標・到達レベル
〇 当該教育課程を通して目標とする到達目標と到達レベルを設定する。
〇 教育課程の到達目標は、別表中の 「留学分野における言語活動ごとの目標」に加え、「日本語教育の参照枠」の「全体的な尺度」、及び「言語能力別の熟達度」を参照し、各機関における理念、教育目標や特色、主たる対象である学習者(生徒)の背景や特性(母語、日本語の学習経験等)を踏まえ、具体的な言語能力記述文(以下「Can do」という。)で設定する。
〇 その際、これらで示されているCan doを選択するほか、必要に応じて、Can doの一部修正や新たな作成ができる。
〇 当該教育課程が目標とする到達レベルは、「日本語教育の参照枠」で示している五つの言語活動(「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り、発表)」「書くこと」)それぞれの到達レベル、教育課程の設置目的や主たる対象となる学習者(生徒)の背景等を勘案し、総合的に設定する。なお、五つの言語活動それぞれの到達レベルは、当該教育課程の目的等を踏まえ合理的であると判断できる場合には、各言語活動の到達レベルが同一でなく、異なるレベルを設定することを妨げない。

指針、p.4

3.学習内容
 ※「5つの言語活動を盛り込む」と言っているが、次の教育内容で、「複数の言語活動を組み合わせた言語活動統合型の授業科目を設置することが望ましい」といっている。

(5)学習内容
〇 当該教育課程においては、主に対象とする学習者(生徒)が求められる日本語能力や言語活動とⅰ~ⅲを踏まえ、学習内容、主な手法を計画し、実施する。
ⅰ)日本語能力 【必須】
・当該教育課程全体の中で、「日本語教育の参照枠」で示す五つの言語活動(「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り、発表)」「書くこと」)を盛り込む
・言語活動を行う上でのコミュニケーション言語方略の重要性を認識し、言語知識の定着にとどまらず、言語の運用能力、言語使用の際の方略(ストラテジー)能力についても学ぶことができる活動を行う。
ⅱ)学習を自ら管理する能力 【必須】
学習者(生徒)が、自分に必要な日本語能力を具体的に意識し、学習計画を立てたり、学習計画を自分に合った方法で管理したり、調整したりすることができるようになることを目指す。
※iii)は省略。

指針、p.6

4.授業科目

(6)授業科目
〇 教育課程の編成に当たっては、当該教育課程の到達レベル、到達目標、扱う学習内容を踏まえ授業科目を定める。
〇 「日本語教育の参照枠」で示している五つの言語活動を扱う授業科目を設置する。その際、「聴解」や「会話」などの個別の言語活動を扱う授業科目だけでなく、当該教育課程の目的や目標とする日本語能力に応じて、複数の言語活動を組み合わせた言語活動統合型の授業科目を設置することが望ましい
〇 分野の特性や学習ニーズを踏まえ、必要に応じて、五つの言語活動以外に必要となる授業科目を設定することもできる。その際、当該授業科目の目的を明らかにすると同時に、収容定員等、定められた基準の範囲内で実施する。
〇 授業科目ごとに、当該教育課程における一授業科目の全体としての到達目標、学習時間を定め、設定した一定の期間におけるレベルごとの学習目標と学習内容、学習成果の評価方法、使用教材を定める。教育課程開始時及び学期開始時と、さらに必要に応じて、学習者(生徒)に説明し共有する。
〇 各授業科目の到達目標、一定の期間・レベルごとの学習目標はCan doで設定する。

指針、p.7

5.評価
 ※評価は、授業科目毎。

(8)学習成果の評価
〇 各教育課程においては、到達目標、学習目標の設定から学習成果の評価方法、評価項目や評価基準、学習活動の設計まで一貫した方針のもとに編成する。
〇 学習成果の評価はあらかじめ定めた一定の期間やレベルの区切りにおいて、授業科目ごとに行うとともに、期間内においても、単元等ごとの評価も必要に応じて、適切に計画された頻度で行う。
〇 評価方法は、単元ごとのテストや定期試験に限定せず、必要に応じて、パフォーマンス評価、自己評価、他者評価、成果物提出など、形成的評価、総括的評価を授業の目的と照らして適切に組み合わせて、必要な評価ツールを用いる。また、評価活動そのものを学習活動に組み入れるようにし、実施の際は学習者(生徒)と評価基準を共有する。
〇 学習内容の習得度を測る到達度テストだけでなく、学習者(生徒)のある時点での日本語能力を測る熟達度テストも必要に応じて組み込む。その際、実施の目的や時期、結果の活用方法等をあらかじめ設定し、計画的に実施することが求められる。

指針、p.8

6.修了要件

(9)教育課程の修了要件
○ 教育課程の修了については、各授業科目についての学習成果の評価を含む当該教育課程で定めた到達目標の達成度、最低授業時数以上の履修状況、出席率等を勘案した一定の基準による修了要件を適切に設ける。
○ また、当該教育課程の開始時に修了要件を学習者(生徒)に伝える。

指針、p.9

【参考資料】


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