あるべき教育のかたちは「OSの更新」である。

私が考える、ビジネス教育のあるべき形とは、その人の基礎となる思考力、行動力、あるいは物事に取り組む心持ちを整えるという、基盤となる思考と精神「OS:Operating System」を、日々アップデートしていくというものです。

対比される考え方は、OSの上で動く「アプリ」―戦略、組織、マーケティング、財務といった固有技能を身につけることです。多くのビジネス教育、特にカジュアルになればなるほど、その学びは「アプリの更新」に留まります。また、学び手の意識としても、「アプリを身につける」ためにビジネススクール等を検討される方は、多いのではないでしょうか。

アプリのインストールとアップデートも大切です。まずは、インストールから。マーケティングを知らなければ、財務を知らなければ、組織を知らなければ重要な機会で大きなミスをします。そして、アップデート。変わりゆく時代に合わせて、新しいマーケの理論、組織管理の理論、財務の理論を導入していくこともまた、ビジネスパーソンとして必要なことです。

しかし、基盤となる思考の能力が高まっていない事には、表面上、手法をなぞっただけで、出てくるものは手法を使っても使わなくても、そう変わらなくなってしまう。また、それらの手法を用いて、自分は何をこの社会で為すのか、自分はどうあるべきか、といった部分も整っていない事には、全く間違った方向で、その手法を使ってしまいます。

・表面だけSWOT分析だとか3C分析だとかというものを使っても、形だけなぞっただけではフリーハンドで考えたのと大差ありません。
・分析が見事でも、答えが導かれていなければ、何も前進しません。
・そして、何よりも大切なことは、SWOT分析を、いつ、いかなるときに使うかです。

こうした背景部分の理解や、使いこなす地力なしに、表層だけアプリを身につけても、上手くはいきません。結局どうなるかと言えば「経営学の知識は、使えない」。という悲しいゴールに行きつくのです。

経営学は、語学や、プログラミング、簿記のような、そのスキルがあれば資格を活かして働ける、という性質のものではありません。その学習を通じて、真なるビジネスの実力、自分なりの信念、産業社会のあるべき姿の理解を促進するものです。

このような意味で、APSでは、アプリだけをお手軽にインストールする教育を避けます。1科目を、しっかり学び、そのアプリをどう使いこなすべきか、OSのアップデートを図る。そんな深い学びを、1科目ずつ、順番に行っていくことで、継続的にOSのアップデートを続けていく。これが、私が考えるビジネス教育のあるべき形であり、このAPSで始めようとしている教育の理念です。

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