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【diary 24】2023/08/16(水)

山口の実家から関東の自宅へ戻る日でした。その道中、岡山を出たところで乗っていた新幹線が緊急停車しました。昨日まで猛威を振るっていた台風の最後っ屁とでもいえるような、静岡県での局所的な大雨の影響で、東海道と山陽の新幹線が全て止まったのでした。

僕の乗った新幹線はその後、通過予定であった相生駅まで進み再び停車しました。車内では「運転再開の予定は未定」と繰り返しアナウンスされていました。

相生駅は大学時代のことを思い出させました。当時住んでいた大阪から山口に帰省するのに青春18きっぷを使っていたからです。相生駅は鈍行の乗り換えでしばしば降りたことのあった駅でした。

相生駅への印象はとても物悲しいものでした。駅舎も車両も特に当時は古かったこと、ダイヤも少なく速度も遅かったこと、などがその理由ですが、何よりも毎回一人きりでの移動が寂しかったのかもしれません。お金もありませんでした。

時が過ぎ、いま、二人の子供と一緒に、もう存在すら忘れていた相生駅にいる。とても不思議なめぐりあわせに思えました。

「パパ、外に出てみよう!」子供たちが声を合わせて言いました。いつ再び新幹線が動き出すか分からない不安はありながらも、車両を降り、JR西日本職員の機転のおかげで開放されていた改札を抜けて、駅の外へ。またとない機会に、僕らは冒険をしているような気分でした。すぐ近くにあった、この界隈では有名なようである「ラ・ムー」というスーパーでたこ焼きを発見。大粒のたこ焼きが6つ入って1パック100円。安い。子供たちも「おいしい!」と顔を輝かせていました。この瞬間が、何よりも価値があると感じました。

大雨の影響で新幹線が止まったのは予想外のトラブルでした。しかし、そのおかげで僕の相生駅への印象は、子供たちの笑顔が浮かぶ、まったく明るいものに塗り替えられました。

このような機会がなければ、子供たちは相生駅周辺を歩くことも、このラ・ムーのたこ焼きと出会うこともなかったでしょう。人生は予測できないことでいっぱいですが、その中での小さな奇跡や喜びを見つけることが、私たちの日常を豊かにしてくれるのだと、改めて感じたのでした。

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