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【diary 17】2023/08/09(水)

今日はしゃぶしゃぶを食べに行きました。母と娘と僕の3人、しゃぶ葉という、帰省したら毎度立ち寄るすかいらーく系列のチェーン店です。

いつもと違ったのは、サステナビリティのキャンペーンだかで、きれいに完食したら貰えるドリンクバー無料チケット、それを持参してきていたことです。同じチェーンとはいえ、関東の別の店で貰ったそのチケットを山口の実家の店で使えるのか不安でしが、スタッフに確認すると使えるとのことでした。

会計時に誇らしげにそのチケットをかざしてやろうと一人ほくそ笑んでいたところ、後ろのテーブルから耳をつんざくような子供の声がしました。四十台後半くらいの夫婦と小学校中学年くらいの男の子。男の子は自閉症のようでした。ご両親は男の子をあくまで冷静に落ち着かせようとしますが、男の子はパニックになっていました。店全体がしんとなる。ご両親は冷たい空気や白い目をことあるごとに背中に感じながら、ときには心無い言葉を浴びせかけられながら、それらに耐えて男の子を守り、育ててきたのかもしれません。

私たちが会計を済ませる頃には、彼も落ち着きを取り戻したようで、店全体の空気も元に戻っていました。車に戻る途中、母が「大変やろうね」と言いました。母は昔保育士だったので、障害のある子どもに対しての理解がある方でした。私はただうなずきました。

何か僕にできることはないか。そうか、あれだ。しかし、困惑されたらどうしよう。そのような一瞬の逡巡のあと、僕は再び店のドアを開け、自閉症の家族のテーブルに向かいました。「あの、これ、ドリンクバーが無料になるチケットです。まだあるのでよかったら1枚どうぞ」。そういうと、ご両親は一瞬驚きの表情を見せていましたが、後には笑顔で「ありがとうございます」と言って受け取ってくれたのでした。

彼らの毎日の苦労に比べれば、1枚の無料チケットで得られる幸せなんて何の足しにもならないかもしれません。でも行動を起こせてよかった、と思いました。そして行動を起こせたのはビールの力のおかげかもしれない、とも。

お酒で失敗する話はよく耳にしますが、きっとそれと同じくらい、お酒がなければ起こりえなかった小さな奇跡も、この地球上ではたくさん起こっているのでしょう。帰りの車の窓から星空を見上げながらそのような想像をすると、なんだか壮大な気分になりました。

小さなことだけれども、誰かの笑顔につながる行動ができて嬉しかったのです。ビール万歳、そして人と人とのつながり万歳、てなもんですよ。

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