見出し画像

オーバーステイが増えたのは国策の結果だった


2021年2月16日に行われた法務省政策評価懇談会で、次のような質疑がありました。以下のPDFファイルの18頁以下です。


出入国在留管理庁(川畑)の回答

1番でございますけれども,御質問の内容は,最近の不法残留者数の増加の原因と,それから技能実習制度の問題点と理解いたしておりますので,回答させていただ きます。

近年,不法残留者が増えた原因でございますけれども,私どもの見立てといたしまし ては,近年,政府全体で観光立国実現に向けた取組が進められてきた結果,外国人入国者数が大幅に増加した。これが不法残留者数の増加に少なからず影響しているものと考えております。
昨年,2020年の1月1日現在の不法残留者数を不法残留となる前の在留資格別に見ますと,2019 年に引き続きまして,短期滞在から不法残留のあった者が5万1,239 人と最 も多く,全体の 61.8 パーセントを占めているということになります。
続きまして,技能実習2号ロという在留資格が 7,048 人,構成比が 8.5 パーセント, それから留学が 5,543 人,構成比が 6.7 パーセント,技能実習1号ロという在留資格からの不法残留者が 5,309 人で,構成比 6.4 パーセントなどとなってございます。
この中で短期滞在が6割以上を占めているわけではございますけれども,御指摘のと おり,技能実習制度の技能実習1号ロ又は技能実習2号ロという在留資格から不法残留になった者が3割以上の増加になってございますので,御指摘の技能実習生の失踪者からの不法残留問題というのは事実として存在することだと理解してございます。

質問内容はこちらの5枚目

画像1

オーバーステイが増えた理由は観光立国

オーバーステイが増えた理由として入管当局が挙げたのは、観光立国実現のため、つまり入口を緩めたことでした!

技能実習+留学を合わせると8割

また、オーバーステイとなった人たちの元の在留資格は、短期滞在61.8パーセント、技能実習2号ロというが 8.5 パーセント, それから留学が 6.7 パーセント,技能実習1号ロが 6.4パーセントとのこと。合計すると80パーセント以上を占めます。

日本の産業を支える技能実習・留学生

2020年10月現在の在留資格別労働者統計によれば、技能実習生が23.3パーセント、留学生が17.8パーセントで合計40パーセントを超えます(以下のPDF2枚目。別表1)。

画像2

在留資格別だと、2位が永住者の18.7パーセントなので1位と3位を技能実習と留学生が占めているのです。

本来技能実習は、「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的」としています。

 留学生はもちろん、勉強に来られている訳です。

ですが、それはタテマエで、技能実習も留学生も、日本の様々な産業を支える外国人労働者であり、彼ら抜きでは日本経済は成り立たないのは、公知の事実です。

国策がオーバーステイを増やした

このように、観光立国で入口を緩めたために短期滞在が増え、経済を支えるための歪んだ政策で本来就労を目的としないはずの技能実習・留学生を受け入れた結果、在留期限を過ぎてオーバーステイになって、オーバーステイが増加したということが、冒頭で引用した入管職員の回答により明らかになりました。

「改正の背景」

2021年3月30日に発表された「ここが知りたい!入管法改正案」の「改正の背景」ではこんなことが書かれています。


〇 近年,日本に入国・在留する外国人の数の増加に伴い,許可された在留期間を超えて不法に日本国内に滞在している外国人(不法残留者)の数も増加に転じています。

〇 そのような外国人は,令和2年7月1日時点で,8万人余りいます。

〇 当庁は,このような外国人を国外に退去させるため,その摘発に努めています。

(中略)

〇 多くの外国人を日本社会で適正に受け入れていくためにも,このような不法残留者や送還忌避者の数をゼロに近づけていくことが必要です。

国策の結果、不法残留者増やしてしまい、その結果、無期限収容はやめず、刑罰の脅しをして強制送還しようって、どういうこと?どうかしてんじゃないでしょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?