見出し画像

Day3

2022年1月2日(日)

激しいわけではないがギューっと締め付けるような頭痛が断続的にある。
点滴のおかげで2時間おきに尿意がくるので、トイレにいかなければならないのと、看護師さんによる計測も重なり、ほとんど寝ることができない。
これはかなりのストレスになっていた。目を瞑ってみても気が張っているのか眠りに落ちる感覚も見失っている。
しっかり2時間おきのトイレルーティンなので時計を見なくても感覚で何時かがわかる。時計を見て〈やっぱりね〉なんて呟く。
am4時くらいから7時までの3時間はとても長く感じられた。
しっかり横になると、頭に脳圧がかかってより頭が痛くなることがわかってきて、20度ぐらいベットを起こしてみたり、90度近くまでしっかり起こして座る体勢にしてみたり、色々と試すがやはりじんわりと頭は痛い。
おまけに車酔いのような気持ち悪さもあって、座りの体制のまま運ばれてきた朝ご飯も眺めるだけで食べることすら出来なかった。
「ご飯食べれなかったの?じゃあこのまま下げますね…」と声をかけてくれる看護師さんに
「す、すみません・・」と力無く返事をした。トイレには頻繁に行くが、そういえば便が出ていないなぁと思った。ぼんやりと空虚な時間が続く。
気晴らしに箱根駅伝のライブ配信でも見ようとするが、画面を見ることが辛くなって音を流すだけにする。音だけなのでどの学校がどうなってとかさっぱりわからない。
お昼ご飯も少し口をつける程度で進まない。
「午後お部屋を移動しますねー。三人部屋になりますので・・」と急に告げられる。頭が痛いながら簡単に荷物の整理をする。
910号室から913号室はすぐ近くだった。ベットに横になったまま、荷物は看護師さんが運んでくれた。少し広めの部屋の一番奥に入る。もちろん部屋の方への挨拶などできない。後に体の自由の効かないおじいが二人いらっしゃることを知る。相変わらず若干倒したベッドに身体をもたれさせながら時間が過ぎる。箱根駅伝はとっくに終わっていた。
夕方、カーテン越しの隣のおじいCさんの介護を看護師さん二人ぐらいでなんやかんやいる横で、急に吐き気を感じる。〈あ、これは吐いてしまうかもしれん〉と思いながら耐えているが、耐えきれなくなり足元にあったゴミ箱に大量に嘔吐する。自分のスペースのカーテンが若干空いていて、その向こうに看護師さんが見える。〈おーい、気づいてくれー〉と思いながらも何度か吐いた。苦しんでいるこちらにやっと気づいてくれたが、
「大丈夫ですか〜?」という他人ごとの一言に絶望する。こちらによってくるでもなく遠巻きに声だけかけてみる感じ。やれやれ・・。
吐いたおかげで胸やけも気持ちもスッキリした。しかし、吐くという動作が心臓や頭にかかる負担のことを考えるとぞっとした。少し頭痛も脈を打つように激しくなっている気がしたからだ。夜ご飯もあまり食べれず。また眠れない夜がやってくるのかとは思うと憂鬱になった。考えてみりゃそりゃそうだ。一日中何もしていないのだからそもそも眠くない。夜だから寝るという感覚が薄れているのだから眠れないのは自然なことだ。身体が‘眠り’を欲すれば自然に眠れるはずだと考えるようにしよう。
こんな時救ってくれるのが『ミスチル』だと思い出し、咄嗟にSpotifyで聴いてみたがほとんど効果はなく、‘眠りにつける音楽’とか‘ネイチャーフィーリングミュージック’のようなものも試すが変わらない。同室のおじい二人に気を遣いながら2時間おきのトイレがまた続くだけだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?