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試合数が多かったにも関わらず大きな筋肉系の怪我が少なかったチームの環境について考えてみました。

 僕が所属しているEintracht Frankfurtはここ数年いいシーズンを送っていたと言えます。DFB Pokal杯(カップ戦)の2017/18シーズンの準優勝、そして2018/19シーズンのバイエルンに勝利し優勝、30年ぶりとなるタイトルの獲得を皮切りに翌年から2年連続のヨーロッパリーグ出場を果たしました。残念ながら今年のインターナショナルな大会への出場権は獲る事はできなかったですが、ここ数年で見ればチームは非常に登り調子できています。
ファンの熱もあり街全体が盛り上がっていると肌で感じていました。
その中でのコロナウイルス問題でサッカー界だけでなく様々なスポーツが停滞してしまっていてとても残念です。

 2019/20シーズンでいうと我がチームはブンデスリーガ、DFBポカール(カップ戦)、UEFAヨーロッパリーグと年間50試合をこなしてきました。その前シーズンも入れると2年間で100試合を軽く超えています。
平日のヨーロッパリーグの試合が終われば深夜なので現地で後泊して、翌朝の飛行機でクラブハウスに帰ってリカバリー(と出場のなかった選手のトレーニング)、翌日には軽めの調整練習をして次の試合への荷物を積み込み。そして週末の試合のために前泊のホテルに入り、ブンデスリーガの試合というような過密な1週間の流れを繰り返してしましたのでスタッフも体力的にタフなシーズンだと記憶していますが、試合をしていた選手達はさらに心身共にハードだったと思います。(年齢を重ねる毎にこのスケジュールがまた体力的にキツくなってます…睡眠不足への抵抗力が少なくなってきているようです。)

 そんな中、ここ近年のEintracht Frankfurtはドイツの中でも筋肉系のけがが非常に少ないチームと取り上げられた事がありメディカルが優秀だと国内のメディアでも評価もされているようです。監督からもチームドクターはじめメディカルスタッフへの高い評価コメントをプレスカンファレンスで語っていた事もありました。

 試合数が多ければ我々メディカルチームも多忙になり、チームとしてハードワークした事は認めますが、怪我人を減らす事ができたのはメディカルチームだけの力ではありません。僕たちはさまざまな要因により怪我を減らす事はできました。実際に相手からの外力による負傷やリスクマネジメントの為の交代のケースを除いた大きな筋肉系のトラブルによる試合中の交代や練習での途中離脱は記憶にあまりありません。ですが全てが完璧だったかかというとそうではなく難しかったケースやまだまだ改善しないといけないポイントはあります。
例えば、選手の疲れがなかなか抜けず身体が重い中で戦わないといけない試合もありました。連戦になってくると試合と試合との間隔が短いので限られた時間の中で少しでもフレッシュな状態に戻すという事が求められます。治療やリカバリーや休息、睡眠、栄養など全ての要素が全てが大切です。試合でトップパフォーマンスを出せるようにする取り組みやリカバリーの工夫は怪我を予防する事と並行して重要な課題です。
 チームとしてもメディカルとしてもここ数年いいシーズンを送れた事は事実かと思います。そのような環境でいい経験ができている事は嬉しく思います。
そのような組織の中で働いていて経験し、怪我人を少なく維持したチームのあり方を自分なりの視点からここに書いてみたいと思います。

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