知ってる!環境のこと(第61話)

⁂データや内容は、当時のものですので、ご理解ください。
 
こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?今回のテーマは、「食」です。地球環境を守るために、私達個人が出来ることはないのでしょうか?私達が、生活のために、地球上の資源を使うことから切り離すことができないことを考えれば、地球環境を守るヒントは、私達の日常生活の中にあります。そして、私たちが食べているものに気を配ることも、実は、環境にとても大切なことです。3つのキーワードから「食」を考えて見ましょう。
 
1.フードマイレージ
 1994年、イギリスの消費者運動家であるティム・ラング氏が提唱した「フード・マイルズ」という考え方を基本にしたもので、なるべく近くで取れた食料を食べ、その輸送にかかるエネルギーを減らし、地球への負荷を減らそうという考え方です。「フードマイレージ」は、「輸送量」に「輸送距離」を掛けて求めることができ、その値が低いほど環境への負荷が少ないという目安になります。例えば、現在の日本の食料自給率は、約40%で、国内で消費する食料の多くを輸入に頼っています。輸入される食糧は、船や飛行機、トラックなどで、運ばれてくるため、輸送に多くの二酸化炭素が発生します。因みに、日本のフードマイレージは、約9千億トン・キロで最も多く、先進国の中で値がひくいフランスと比べると約9倍です。
 
確かに、フードマイレージは、食料の生産から消費にかかわる総合的な必要エネルギー量とはイコールでないことから、正確な環境負荷は見えてきません。たとえば、日本で収穫できない果物などを温室で栽培すると、同じものを輸入する場合のフードマイレージと比べて少なくなるかもしれませんが、露地栽培したものを輸送するよりも総合的な必要エネルギー量が大きくなってしまう場合がります。また、輸送手段の燃費の差を考慮していません。同じフード・マイレージ値であっても、輸送に伴う消費エネルギー量は空輸の場合かなり大きくなります。
 
 しかしそれでも、私達の食べているものが掛けている環境負荷が、身近に感じられる手法であり、十分に価値があるといえます。
 
2..バーチャルウォーター
 輸入する国が自国でその食料を生産した場合、どの程度の水が必要なのかを推定する概念が「バーチャルウォーター」です。「農作物の輸入は、それを育てるために使用された大量の「水」を輸入することでもある」というのが基本的な考え方です。例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、1,800リットルの水が使用とされています。
 2003年に発表された東京大学生産技術研究所の沖大幹教授の研究グループの試算では、日本の輸入農産物の『バーチャルウォーター』は、約640億㎥。これは1人1日あたりに換算すると、1,380リットル。浴槽にして8杯分弱にもなります。日本は食糧を輸入することで、自国の水を使わずに済んでいますが、目には見えない海外の水を消費しています。
 
地球上の水は?
 ここで少し、私達が利用する『水』のことを考えて見ましょう。地球上の水は、その殆どが海水で全体の97.47%を占めています。淡水は残りの2.53%しかなく、その淡水も約7割は氷河や万年雪などで、すぐには利用できません。また、残り3割の淡水もその9割9分は、地下水です。私達が飲む水の殆どが、湖や川からの水であり、如何に貴重であるかが分かります。更に、このまま温暖化が続けば、乾燥地帯で川や湖の水が蒸発し、今世紀の半ばには、淡水が更に10~30%減少し、各地で干魃が起きるとの報告もあります。水が豊かに思われる日本も世界的な水不足の問題と無関係ではないのです。
 
3.食品廃棄物(Leftover food)
大量の「食料」と「水」を輸入している日本ですが、まだ食べられる食料が、大量にゴミとして捨てられています。これらは、「食品ロス」といわれ、年間900万トンに達することもあるそうです。2007年の世界の食糧援助が594万トンですから、日本の「食品ロス」は、ちょっと異常です。
 
世界では、約10億人が栄養不足で苦しみ、その3割が子供といわれています。また、人口の増加やバイオ燃料の生産により、食糧問題は今後ますます深刻化すると予想されています。私達1人1人が、自分の食生活を見直し、地元のものや旬のものを食べるように心がけたり、無駄な食材や保存品の購入を減らし、買ったものを使い切り、食べ残しをしない等を徹底することで、二酸化炭素の排出や海外の水消費を抑え、環境負荷を軽減できる他、世界の食糧問題改善に繋がることを覚えて置かなくてはいけないと思います。

CHAOちゃ~お ちょっとディープな北タイ情報誌
(毎月2回10・25日発行)2009年8月25日第153号掲載


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