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人間ドラマの真骨頂。映画『52ヘルツのクジラたち』


映画 『52ヘルツのクジラたち』を観ました。


町田そのこさんの原作で、タイトルの「52ヘルツのクジラ」は、52ヘルツの高音域で鳴くクジラは他のクジラたちには届かない音域のため、孤独なクジラという意味だそうです。



この意味合が 本編にパンチで
効いてきます。



前情報をまったく見ていかなかったので、
主演の杉咲花さん、そして『52ヘルツのクジラたち』のタイトルで、心のなかでは「なんかあっさりしてそうな映画かもな」と鷹をくくっていました。



その安易な考えこそが まんまと裏切られました。それだけ、力作でした。



主人公 キコ(杉咲花さん)は20代で義理の父親の介護をひとりで背負い、幼少期から母親(真飛聖さん。真飛さん、鬼母役が光ってました)
から虐待を受け、どうしようもない時に アンさん(志尊淳さん)に出会いました。



アンさんは キコの身を案じてか、キコの義父のケアの対応ができる施設を探したり、キコの一人暮らしのアパートの手配の手伝いなどを親身になってしてくれました。



アンさんとの出会いが キコをつらい状況から飛躍させます。



本当に途中までは、キコがシンデレラに見えました。(前半がとくに不憫に感じました)



現在では、キコは自分と同じ虐待を受けている男児と出会い、その子のために強くなろうとしています。



アンさんと男児が、キコの心の支えでもあります。(アンさんに関しては 紆余曲折があります。)



この映画では、ヤングケアラー、幼児虐待、性同一性障害などに焦点をあてています。



今もどこかで苦しんでいる人たちが
いるということを、思い浮かべました。



それが、52ヘルツのクジラたちなんだなと
解釈しました。


最後に、アンさんがキコに伝えた
「第2の人生で魂のつがいに出会うよ」と
言っていたあの言葉。

あれはまぎれもなくアンさんとキコを
象徴していたものだと思うのです。


そこまでふたりは魂の上で なにか
約束をして巡りあった気がしてなりません。



ここまでお読みいただきまして ありがとうございました。


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