2008年 日本数学オリンピック本選 第1問 解答例
考え方:
条件より整数係数多項式$${Q(x)}$$を用いて
$${P(x) = (x- n^2) Q(x)}$$
となります。
ある有理数$${a=\frac{q}{p}}$$に対して$${P(a^2) = 1}$$として矛盾を導けばOKです。
$${P(a^2) = \frac{(q - pn)(q + pn)}{p^2} Q(a^2)}$$という変形は容易にできますから、
これが$${1}$$となるとしたときに生じる矛盾を見つければ解決です。
解答例:
条件より、多項式$${Q(x)}$$を用いて
$${P(x) = (x- n^2) Q(x)}$$とおける。
右辺の$${x}$$の最高次の係数が整数になることから
$${Q(x)}$$の最高次の係数も整数である。
また、ある正の整数$${k}$$について、
$${Q(x)}$$の$${x^k}$$の係数が整数の時、
右辺の$${x^k}$$の係数が整数になる条件から
$${Q(x)}$$の$${x^{k-1}}$$の係数も整数となる。
よって、$${Q(x)}}$$は整数係数多項式である。
ある有理数$${a = \frac{q}{p}}$$について$${P(a^2) = 1}$$とする。
$${p}$$は正の整数であり、$${q}$$は$${p}$$と互いに素な整数である。
このとき、
$$
\begin{align*}
1 &= P(a^2) \\
&= \frac{(q^2 - p^2n^2)}{p^2} Q(a^2)\\
&=\frac{(q - pn)(q+pn)}{p^2} Q(a^2)\\
\end{align*}
$$
となる。
$${Q(x)}$$が整数係数多項式であるため、
$${Q(a^2)}$$を既約分数で表したときの分母は$${p}$$の累乗となる。
そのため、$${q-pn, q+pn}$$はどちらも$${p}$$以外の素因数を持たない。
一方、$${q-pn, q+pn}$$はいずれも$${p}$$の倍数にはなりえない。
よって、$${q-pn = -1, q+pn = 1}$$しかないが、
これは$${q=0}$$となり$${a\neq 0}$$に反する。
よって$${P(a^2) = 1}$$となる有理数$${a}$$はない。
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