プロポーズは突然に。本音が脱走したその日から
その日は、彼女の誕生日だったんです。
彼女の家でTVを観ながら、日本酒を飲んでいました。
おそろいのお猪口を置き、
僕は思い立ったように突然切り出しました。
“いや、その、嫌じゃなかったらさ…、
もし良かったら、このままずっと一緒にいようか”
前置きに前置きを重ねる自信の無さが恥ずかしい、、
これが僕のプロポーズでした。
何の前触れもなかったので、
彼女は、自分が何を言われているのか、理解が追い付かなかった様子。
3秒くらい間があって、涙が溢れてきました。
この記憶は鮮明に覚えています。
悲しくて泣くとき、人は下を向きがちですけど、
彼女は真っすぐ僕を見て、涙を流していました。
僕は彼女の手をとって、改めて言いました。
結婚してください。
頷いてくれました。ただただ嬉しかった。
(文字におこすと、ひたすらにお恥ずかしいのですが。。)
実は、このプロポーズ、妻には申し訳ないと思いつつ、
事前に準備していたわけじゃなかったんです。
普段の僕は、心のガードをガッチガチに固めて
言葉を選んで話すことばかりなのに、このときだけは違ったんですよね。
あんまり考えていたら、切り出せなかったかもしれません。
今考えれば、知らず知らずのうちに、彼女といる日が日常のようになり、
心の中に「このまま一緒にいるかもな」と思い始めていたころでした。
そんなとき、20年以上も固め続けたガードが初めて、フッとゆるみました。
その一瞬の隙をついて、ガードを突破したんです。
あの感情は「優しい脱走」でした。
僕の心から出て行き、行ってほしい場所に行ってくれたので。
ちなみに、このプロポーズの半年後くらいに
婚約指輪をパッカーンからの「僕と結婚してください!」の儀式は、
超熱烈な希望を受けて執り行いました(とにかくやってほしかったらしい)。
実は僕、28歳まで彼女すらいなかったんですね。
このプロポーズした相手が初めての彼女で、今の妻です。
丸2年付き合ってから入籍しました。
ちなみに、トップ画像は婚姻届を提出した東京都・北区役所に
設置されているお祝いパネル。
人生、何が起きるか分からないなぁと我ながら思います。
男子校出身で、異性との交流もままならず(それは今も変わらず)、
キラキラした大人になれないことを嘆き、
決まった友達と遊び続ける20代の自分に声を掛けてあげたいです。
“大丈夫だから”
えらく遠回りしましたけど、
自分の本音を受け止めてくれる相手に巡り会えて幸せだなと思います。
プロポーズは本当に飾れていない言葉でしたけど、
僕の本当の心からの思い。
等身大ながらも、一世一代の企画提案でした。
本音の言葉を伝えたあの日から、
僕と共に歩むことを選んでくれた妻には心から感謝しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?