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ニシヤマ ガンパウダー ショップ

ねずみをくわえたわかりやすい猫が路地へと
走ってゆく。天満の商店街は雨で湿気たりしない。
たたんだ傘を提げて環状線の駅まで、
茶色いブーツは乾きながら進む。
ニシヤマガンパウダーショップ。ウィンドウには
剥製のキジとか、枝にとまったワシとか、 が
黄ばんだ壁紙にはばたけないでいて、店の奥の
砂利の敷かれた中庭から狭い空が見える。
夏を思い出させる、におい。
休日の環状線、窓際に立ち、吊り広告のことばを
二十分のあいだ舌先で転がして胸におさめていく。
乾いたブーツの底で、喫茶ケニヤまで。
傘はたたんだまま見上げた曇った色の空にむかう鉄塔の
少し、先を、ねらう。

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