妊娠中の【骨盤ベルト】のアレコレ

「骨盤が開いているので締めた方がいい」
というようなことを整体で言われることがあるようですね。

こんな時に使用するのが「骨盤ベルト」や「トコベルト」と言われるもののようです。

実はこの道具、医学書で見たことはなく、産婦人科でも取り扱いはほとんどありません。
では、怪しい意味のないもの?なのでしょうか。

妊婦さんからの質問を受け、まじめに調べてみました。

欧米でも存在する事を知りました。「Pelvic support belt」の名前で販売されており、日本のメーカーよりその仕組みなどを詳しく説明しています。
骨盤は寛骨(腸骨、坐骨、恥骨)と呼ばれるあのハートマークのような骨とその間にある逆三角形の仙骨、その先の尻尾に当たる尾骨でできています。
それぞれの骨は関節でつながっており、肘や膝などの関節と異なり動くことがありません。
また、骨盤の骨の位置関係はかなり複雑です。
このため、筋肉は薄く固まってしまっており、それぞれの骨を支える靭帯が存在します。
妊娠に伴って過度に骨盤に荷重がかかったり、老化に伴い靭帯が弱くなることで、本来動かないはずの骨盤がの関節が動いてしまいます。
これにより、靭帯への負荷を痛みとして感じているようです。

医学研究ではどうでしょうか。
そもそも仙腸関節の腰痛のために開発され、疼痛の緩和目的で使用されています。
ただし、なぜ痛いのか、仙腸関節がどうなったら痛いのかはわかっていないようです。
2015年にドイツの整形外科医がMRI検査などを駆使して行った研究結果でも、はっきりとした評価の方法がないのが現状です。

つまり、「なぜ痛いのか?」がわからないままではありますが、現に骨盤を締めることで痛みがなくなる人がいるため、「骨盤が開いている」と言う表現が存在し、どの程度開いているかと言う評価は存在しない可能性が高いです。
整体の「あ〜、これは開いてますね〜」は嘘かもしれません。

ただし、妊婦は痛み止めの多くが使用できなかったり、使用しにくかったりするので、産婦人科医たちは「あ、コレは子宮に関連する痛みじゃないね」と判断した途端は整体を勧めます。

骨盤ベルトを取り扱っていたり、装着の指導をしてくれる親切な産院もあります。ただし医療用器具・装具ではないので、サービスのようなものになっています。

以上から、①統計学だけが事実ではないこと、②実際に何人もの腰を触ることで骨盤が開いている感じはわかるようになる可能性があること、③やっぱり実際に骨盤を締めることで痛みがなくなる人がいることから、私自身は骨盤ベルトには賛成派です。

ご意見あれば聞かせてください。

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