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SNS時代の広告写真を、あらためて整理してみる

今回は、最近の広告やPRにおける写真で感じたことを少し整理。

きっかけは、「従来の広告フォトグラファーさんと、最近活躍されているインスタグラマーフォトグラファーさんを同じ括りで考えちゃいけないんじゃないか」と、ふと思ったこと。

Webディレクターと写真をやる自分の視点で、企業のご担当者様や発注側の方に何か参考になる内容にできたら嬉しいです。

きっかけは、インスタグラマー

まず、今回書くことのきっかけになったのは、Instagramで人気のフォトグラファーさんの最近の活躍です。僕自身、仲の良い友人でもそうした活躍をされている人もいて、そのセンスにいつも驚かされています。そのポイントは「多くのいいねをもらえる写真」が撮れることこれはユーザーの共感性を強く得られる写真。撮影テクニックだけでなく、コーディネートやレタッチなどを含め、SNSにおける反応の良い撮影を熟知されたインスタグラマーさんだからこそできること。

これらの能力を併せ持つことは、なかなか真似できないすごいことだと思います。撮影、コーディネート、マーケティング、PRと本来複数の業務にまたがる視点を、掛け合わせた能力だと思うから。

だからこそ、企業の担当やディレクターをはじめ依頼する側は、撮り手を一概に、写真という括りで同一に括ってはダメだと感じて、一度整理できればと思い書いてみました。

広告写真のながれの整理

まず広告における写真の流れを整理してみました。

ここでの従来の広告写真というのは、企業やブランド、プロダクトの顔、キービジュアルとなるような写真とします。

そんな従来の広告写真は、街中のポスターや、カタログ、新聞や雑誌の広告などで使用され、キャンペーンや、シーズンごとなど一定の期間「継続」して人の目に触れるビジュアルになります。
それは、カテゴライズできないような大多数の人に発信され、大きく出力されたり、何度も目にされたりする、期間中そのブランドやプロダクトのまさに顔となる写真です。だからこそ「ハイクオリティ」であり、それらを体現する「文脈や世界観」をもち、かっこいいや、すごいなど「感動や驚き」を与える写真であることを求められるように思います。

一方で最近増えている、InstagramなどSNSで多く用いられる広告写真。
これらは、期間でいっても1日2日、短ければ数時間など瞬間的な接点のみで、流れていくSNSのタイムラインがメインの場。そのため数も多く必要で、どちらかというと消費傾向がある、 SNS上のタイムラインで流れる「瞬間的なアプローチ」に用いれられる写真がベース。
そしてSNS利用者や、関心が高いフォロワー向けにある程度カテゴライズされた対象へ発信される。だからこそ大事なのは、いいねしたくなるような「共感性」が高い写真や「自分ごと化」しやすい写真。圧倒されるような世界観というよりは、親しみやすい身近なアプローチの方が反応がいい傾向にあるように思います。

これらのポイントを整理してみます。

このように同じ写真といっても、だいぶ傾向が異なります。

もちろんこれらはベースで、他にも一概に上記にくくれないものもありますし、括り自体がわかりやすさ重視でざっくりしてしまい、かえってフォトグラファーさんに失礼がないか心配ですが、、、

それでも広告やPRにおいて上記はちゃんと把握した方がいい内容と思っています。近年その効果が増して、今よりスポットライトを浴びているのがSNSフォトの方だということで、どっちがいいとか悪いとかの話ではなく。両者ともに必要な写真の形だと思います。そしてそれら両方をできる人はなかなかいない

だからこそ、両者の特徴を正しく把握し、尊重した上で、発注していく必要があるかなと思います。そのためにも、自分たちが何のために、何をなし得たくて写真を用いるかの整理をし、それは単発の広告だけではなく、ブランドや製品を成長させていく上での手段という意味でも、今の写真とその撮り手のことを考えていくことが大事だと思います。


また、こうした流れだからこそ、僕が新たに大事になってくると思うのは、この中間的な存在のフォトグラファーさん。「継続性」を持って、「共感」を生み出していけるフォトグラファー。一度の発注で終わらずに、ともに「ブランドの世界観を一緒に育てていける人」です。

これには、このあたりの能力が必要になってくるのではないでしょうか。

・正しく、深くブランドを理解する力。
・それをアウトプットする、表現力・世界観を持った写真。
・ユーザーに飽きさず継続して、共感性を生む視点。
・ブランドの顔となりえる技術とクオリティ。
・そしてともに育てていく信頼感。

なかなか難しい条件ですが、企業やブランドにとって、今後欠かせないのはこうした存在のフォトグラファーさんなんじゃないかと感じます。ブランドの世界観を一緒に育てていける人。僕自身撮るだけでなく、ディレクターとしても、こうした視点をお持ちのフォトグラファーさんをサポートして、お仕事できるに足る力をつけていなくてはと思います。

写真というと、つい一括りにしてしまったり、比較してしまいがちですが、今回は客観的に少し俯瞰して、最近の広告における写真というのを整理してみました。

各スペシャリストの方と、敬意と信頼を持ってお仕事するためにも、このあたりブレることなくみなさんとご一緒できる自分でありたいものです。


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