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広告とSNS、そして今見つめるべき作家性

前回書かせていただいたこちらの記事で、

今後より大事になってくるフォトグラファーさんのタイプとして、考察させていただいたこの部分、

今の流れだからこそ、新たに大事になってくると思うのは、広告とSNSとの中間的な存在のフォトグラファーさん。「継続性」を持って「共感」を生み出していけるフォトグラファー。一度の発注で終わらずに、ともに「ブランドの世界観を育てていける人」です。

このところ、同様に考えていらっしゃる方や、共感いただけた人も多かったので、今回は、もう少しこのあたりを深掘りしてみようと思います。

単にこんなフォトグラファーさんいたらいいなという話ではなく、発注側の意識していくべきことについても触れていければと思っています。

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ブランドの世界観を育てていける人とは**

なぜ広告とSNSとの中間的な存在、「継続性」を持って「共感」を生み出していけるフォトグラファーが重要なのか。

それは、今後ブランドはユーザーとの「継続的な関わり」をより求められるようになってくると考えるからです。

前回書かせていただいた「従来の広告写真」や「SNSからの広告写真」の主な目的は、どちらも短期的に購入につなげる広告やPRでのアプローチという意図が大きい。

一方で最近は、単に購買訴求だけでなく「ファン化」という言葉をよく耳にするようになってきました。もしファンになってもらうことがより重要になるのであれば、購入していただくことはもちろんですが、加えてそのブランドのイメージを良い方に構築・醸成させていくことが必要になります。

そのためには、ブランドをしっかり体現しながら、継続した関係値を築いていくことが欠かせない。

その手段として、
・従来の広告写真的な、ブランドの顔となるに値する高い技術や表現
・SNSからの広告写真的な、共感を得られるような世界観の演出
これらの要素を合わせ持ったものを、継続して発信していくことを求められると思うのです。

もしそこでどちらかに偏ったままで実現しようとすると、継続したアプローチになるがゆえに

・よく目にするには世界観が強すぎる
・きれいだけど伝えたいことがわからない
・毎回の演出にわざとらしく感じてしまう
・身近になりすぎてブランドへの憧れが薄れる

極端な例ではありますが、行きすぎると、見てくれる人にこれらのネガティブな印象を持たせてしまう可能性もあるのではないでしょうか。

だから
・ブランドの顔となるに値する高い技術や表現
・共感を得られるような世界観の演出

これらを併せ持つ、従来の広告写真とSNSの広告写真との中間的なフォトグラファーが重要な存在となる。そして、そんなフォトグラファーと一度の発注で終わらず、継続してブランドの世界観を一緒に育てていくというのが、理想的な形なんじゃないかと思うんです。

そしてもうひとつ。ぼくが重要になると思うポイントを。

それは「作家性」です。

今後向き合うべき「作家性」

フォトグラファーの思考や特性という意味で、作家性と商業性というタイプがあると思います。よく相反する性質としても取られるこのタイプですが、仮に2つをこう仮定すると、

作家性:独自の視点やその表現の世界観を持っていること。
商業性:クライアントのニーズに応えられるか、見てくれる人に期待する感覚をいだいてもらえるかという視点や思考を持っていること。

これまで語ってきた内容は、どちらかというとこの商業性がメインのところ。

ただ、今後はブランドの世界観を一緒に育てていくことにおいて、そこに「作家性」のエッセンスを加えることがより大事になってくるのではないかと考えています。

なぜならブランドの持つ視点やストーリー、世界観の表現に深みを与えてくれるのが「作家性」だと思うからです。作家性が深みやコクとなる大事な要素。「常連が多く通う人気の料理店」に通ずる秘訣のようなものだと思うんです。

ここで安易に受け取ってはいけないのは、それは単に写真の色味や明るさなどのトーンの話だけではないこと。フィルタや、構図のテクニックが普及し、センスある人であれば、この点で良い写真が撮れやすくなった今、それだけを作家性としてしまうと、しっくりくるレベルにはなかなか仕上がらないのではないか。

僕が思うのは、何を、どう考えて、捉え、写すか、という思考と視点。これはフィルタや構図のテクニックでは醸し出せなくて、その人がそれまで蓄積してきたものにあると思うんです。

だからこれと商業性を掛け合わせたものを持ち、かつ自分たちのブランドとはまる方がいたら、その人はベストパートナー。ぜったい大事にされた方がいいと思います。

ただ、ゼロからスタートするとなるとその出逢いはなかなか大変。そもそもこうしたフォトグラファーさんは自発的には生まれず、依頼する側のスタンスもあって、はじめて形成されていくスタイルなような気もしています。

なので、そんな中でもなるべく良い出会いに恵まれ、機会を活かせるようにするためにも、普段から関わる方はこれらの点を意識されると良いのではと思います。

・普段から、写真のトーンだけでなく、写すものの視点や表現の仕方を意識して、良いなと感じる写真を探してみる。
・撮影費を単発の予算撮りではなく、年間通した費用としての確保を検討。
・こられを元に、Webなど定期的に更新できるようなコンテンツを作り効果的に活かすことができないかを検討。
・フォトグラファーさんとの関係値も、ブランド理解をより高めてもらうような継続した関係を築いていく。

なかなか簡単なことではないですよね。
でも新しい価値が生まれるときは、作り出す側も見る側もともに、成長していく必要があると思っています。こうした形でより良い写真が生まれ、目にすることが増えていくことになれば、それはとても楽しい未来。これまで以上に、このブランドが好きだっていいたくなる数も増えていくんじゃないでしょうか。

ぼくも少なからずそこに貢献できるように、ディレクション力・写真力ともに力つけていきたいと思います。

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