結婚した時、自分の貯金を家計に入れてしまったことを後悔しています。(ラジオ相談室2)

おっさん金魚は、思わず「あっ」と声をあげそうになった。
目の前に現れた女性が、先ほどまで見ていたテレビに出ていた「行列のできる肉まん店」のキャラクターにそっくりだったからだ。

彼女は56歳を迎えたばかりの、主婦「かつよ」だ。
夫は鉄道会社勤務で、かつよは子供2人が大学に入学するまで専業主婦だった。
7年前、何かに背中を押された気がして、高齢者に料理を届けるNPO法人を立ち上げた。

(かつよ)
今、私はすごく充実した生活を送っています。
私が結婚した頃は、専業主婦になるのが当たり前だったけど、私には向いてなかったんだって気付きました。

共働きしながら夫婦で育休取って、旦那さんが家事も分担するような今の人たちって本当に恵まれていると思う。
でもいいの。今ようやく、誰のこともうらやましいなんて思わなくなったから。

ひとつ後悔しているのは、結婚当時に貯めていた500万円を家計に入れてしまったこと。
いいえ、家計に入れたというのは間違いかもしれない。
夫が、自分が断れない付き合いのための飲み会に参加するためのお金に充てたの。

若かった夫の給料はしれていたのに、職場の上司に誘われてたり、自治会の人たちとの付き合いがあったり。
親にも言えなかったみたいね。
カードローンの請求書が届いて、私にだけ白状したの。

それで私、使ってもいいわってその500万円を差し出したのよ。夫婦の財産は共有のものだし、専業主婦って引け目もあったかもね。
当時、夫はすごく感謝してくれた。

でも今はもう違う。
私がNPOの活動で遅くなる日があったりすると、こんなふうに言うの。
「せめてパートにでも出てくれれば、家計の足しになるのに」って。

そのお金があれば、NPOの活動だってもう少し広げられるのに。この後悔がずっと頭に残っていて、最近は夫となんだか距離を空けてしまって。

(おっさん金魚)
500万円も貯金してたんか。その当時の金額で。
それはエライな。
僕なんか、生きるのにお金いらんし、寿命も短いし、その点気楽なもんよな。

まぁ、珈琲でも飲もうや。
今日の珈琲は、コロンビアとブラジルのオリジナルブレンドやで。深煎りで淹れてみたわ。

500万なぁ。
インフレの影響があるから、ただ貯金してただけなら当時よりはかなり目減りしてたやろな。
だからとりあえず、現金で置いとかんかったのは正解かもしれへんで。
なんかに対する投資やったと。
どのぐらいのリターンがあったかは、またゆっくり考えようや。

それに、後悔っていうのは、百害あって一利なしやからな。その経験をなんかに活かせるなら、じっくり考えてもええけどな。
そうじゃないなら、忘れてしまい。

僕は結婚したことないからわからんけど、夫婦って結構ドライな感じなん? 契約的な?
最近はそう割り切る方がストレスが少ないともいうけど、なんかさみしいよな。

夫婦ってもっと、運命共同体というか、しんどいことは半分こして、楽しいことは二乗して、みたいなイメージあるねんけど。
その点、君は当時の夫のために自分ができることを最大限ためらわずにやったわけやん。
変に計算とかせずに。
まずはその自分を誇りに思いや。
後悔なんかしたら、当時の自分がかわいそうやで。

それで、今の夫に対してなんかモヤモヤしてるなら、その原因は昔にしたことにあるんじゃなくて、今の夫そのもの、もしくは夫との関係性にあるんちゃうかな。

夫のその言い草は、たしかにかなりけしからんよな。
外で金を稼いできてるだけで、家事もロクにせんわけやろ? そう思わずに、稼いできてくれることに感謝して、家を守ってきた自分はほんまエライで。

ここで夫の嫌いなもんばっかり作るとか、
毎日卵かけご飯にするとか、
もはやご飯を作らないとかにしてもええねんけど、せっかくここまで徳を積んだ自分の努力を無駄にしたくなかったら、ちょっと立ち止まって考えてみ。

「もしかしてこの人、私の帰りが遅くて寂しいんじゃない?」
ってことに思い当たった?

ビンゴや。
残念ながら、君の夫は君よりも人として未熟や。
自分のことを犠牲にする必要はないけど、寂しがり屋のパートナーかわいがってあげるつもりで、今夜はハートのオムライスでも作ってあげ。

「お酒に合わない」とか文句言われたら、泣いたったらええねん。
怒るんとちゃうで。泣いて、ちゃんと思いを伝えてみ。

それでもあかんかったら、僕がオムライス全部食べたげるから、持っておいで。

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