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真夜中にチョコパイ、お供にミルク

チョコパイってすごい。ブラウンとシルバーの包装を破いてぱくりとかぶり付き、もくもくと食べながらそう思った。

午前零時の少し前。ガラスの耐熱マグには牛乳がなみなみと注がれている。レンジで温めてはちみつを加え、ハニーミルクにしようかとも考えたのだが、まだ9月も始め、むわんとした夜だったので、冷たいまま飲むことにした。

夜遅いので、実は食べるのを一瞬ばかり躊躇った。こちとらダイエット中の身である。しかし今日はなんだかんだと忙しくしていて夕飯を食べておらず、甘いものが食べたい気分でもあったので自分に許すことにした。

私はチョコレートが好きなのだが、チョコだけだと物足りない時もある。今夜なんかは特に夕飯を食べていないので小腹を満たしたい欲があった。だけど、ご飯や麺類は気分じゃないし、菓子パンやケーキだとちょっとボリュームやカロリーがあり過ぎる気がする。なんというか、夜中に食べるものとして罪悪感が許容範囲を上回ってしまう。その点チョコパイは、どちらの欲も私の中でいい塩梅に叶えてくれる。

もくもくと咀嚼していると、チョコパイのケーキの部分に口の中の水分が奪われていくのを感じた。そこで、ひとくち、冷えた牛乳を口に含む。牛乳の包容力あるまろやかな味わいがチョコパイの甘さと混ざり合う。口の中がうるおうのと同時に心もじわっとうるおう。あ、幸せだ。幸せの味がする。私はまたもくもくと咀嚼しながら、チョコパイを生み出してくれた人や、チョコパイのファミリーパックを目立つ場所に陳列してくれていた近所のドラッグストアや、それに目をとめて購入した数日前の自分に感謝をするなどした。

ファミリーパックを購入したので、冷蔵庫の中にはまだいくつかチョコパイがある。それも私を嬉しい気持ちにさせた。明日も好きなものが自分の好きなタイミングでいつでも食べられるというのは、小さな幸せの準備がしてあるということで、そういうものが日常のあちこちに散りばめられてあったなら、日々をごきげんに暮らせるのではないかと考えたりした。生活に小さな幸せを仕込む計画をあとで立てよう。きっと、楽しい。


テーブルの上には、読みかけの文庫本が置いてある。チョコパイはひと息つくためのものであったはずなのだが、こんな文章を書くくらいには、すっかりひと息の時間がメインになってしまった。

なんとなく、カロリーを調べてみる。1個あたり、157kcalだった。あ、なんだ、そんなもんか、と安堵する私がいた。

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