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2023年個人的アルバムランキング

毎年恒例、1年間のベストアルバムのやつです。

今年の12月はなんだかバタバタしていたこともあり、このランキングを考えるのも後回しになっていた。まあ、勝手にやってるだけなので締め切りがあるわけでもないし、誰に急かされるわけでもないんですが....。謎の義務感を背負いながら急いで作成した次第です。

今年も去年と同様、邦楽/洋楽まぜこぜのランキングとなっている。
ランキングなので当然順位がつくが、これから発表する順位はなにか明確な評価基準を設けて考えたものでもなんでもなく、ただ単に私個人の好みや思い入れ、聴いた回数などによってなんとなく決まったものにすぎないので、真面目な反論はナシでお願いしたい。

例年どおり、ベスト10 +αの番外編という感じで進めよう。


第10位 Blur - The Ballad of Darren

まず第10位はブラーの新作。前作『The Magic Whip』が2015年の作品だったので、個人的にはブラーが好きになってから初の新作アルバム。一聴してまず思ったのは、「ブラーなのに聴きやすい..…」。高校時代、海外のいろんなロックを聴き漁っていくなかで聴いたブラーのアルバム達は、正直なところ、聴いてすぐ好きになったものはなかったように思う。「なんやこれ絶妙に聴きにく….」と思った記憶。何回も聴いているうちに良さがわかってくるのがブラー、というのが僕の中の通説だったが、今作は違った。M6「The Narcissist」を筆頭に歌ものっぽい曲が多く、アルバムを通して随分ストレートな印象。いいアルバムだとは思うけど、まあ正直昔のアルバムのほうが好きかなーっていうので10位。ジャケットはめちゃくちゃブラーっぽくて好き。


第9位 KIRINJI - Steppin' Out

9位はKIRINJIの新作。2つ前のアルバム『cherish』が大好きだったので、その路線が戻ってきてシンプルに嬉しい。いい曲しか入ってない、みたいな感じがおお〜KIRINJIやな〜て感じで最高。すごい。『cherish』は「いかにも名盤」的なある種カッチリした雰囲気もあったが、同じ空気感を持ちつつこちらはもっとナチュラルというか、「パッとやったらこんなのできました」みたいな軽やかさがあってかなり好き。そんなことないと思うけど。アウトロが加熱しまくるM1「Runner's High」は超名曲だし、M7「I ♡ 歌舞伎町」もめちゃくちゃ好き。アルバムをとおしてグルーヴがずっーーと心地良いから、何回でも本当に気持ちよく聴けるなあ。9曲39分というミニマルなサイズ感もいい。アートワークも最高だから早くアナログ盤が欲しい!


第8位 カネコアヤノ - タオルケットは穏やかな

カネコアヤノさんの新作も素晴らしかった。なんだかんだめっちゃ聴いたな〜。まず冒頭「わたしたちへ」の暴力的なまでのエネルギーに驚き。ちょっとギターポップぽいM4「眠れない」が個人的フェイバリットだが、タイトルトラックM9「タオルケットは穏やかな」はやはり有無を言わせない名曲だと思う。今作のライブも見たが、すごかった。時代に左右されない絶対的なパワーを持った人なんだろうなと思った。きっといつのタイミングで現れようとも評価されていたと思うし、それって中々ないことだと思う。いちリスナーとして、それにリアルタイムで立ち会えている喜びを実感。


第7位 ASIAN KUNG-FU GENERATION - サーフ ブンガク カマクラ (完全版)

アジカンサーフ完全版も当然ランクイン。リメイクアルバムだが、新曲も入っているので新作扱いということで。元のバージョンがアジカンで一番好きなアルバムというくらい好きなので、めちゃくちゃ贔屓目になっている気もするがご愛嬌。テーマ、歌詞、サウンド、アートワーク、何から何まで愛している。元バージョンのラフな録音、サウンドメイクも大好きだが、近年のアジカンの超良質パワーポップサウンドでこの『サーフ〜』を録ってくれたのもとても嬉しい。新曲の中だと、M5「西方コーストストーリー」がかなり好き。爽やかゆるパワーポップと大好きなサザンオマージュの組み合わせなんて、そりゃあもう最高…。ああ湘南に行きたい…。新曲が入ったことで生まれたM13「由比ヶ浜カイト」〜M14「和田塚ワンダーズ」〜M15「鎌倉グッドバイ」の、ラスト三段落としのクライマックスもすごく良い。普通にめちゃくちゃ感動。あ、序盤の藤沢〜石上〜柳小路〜鵠沼の流れもいいよな…………うん、全部良いってこと。


第6位 cero - e o

第6位はceroの『e o』。個人的に、新作ながらceroで一番聴いてるアルバムだと思う。短けりゃいいってわけではないけど、41分しかないのが聴きやすくてとても好印象。またceroが次のフェーズに行ったと感じずにはいられない先行シングル群から、次のアルバムはヤバいものになるぞ…と思っていたが、いや、その予感は当たってはいたが、自分が思っていた方向とは少々異なり、一聴してスーーっと体に入ってくる風通しの良いアルバムだったように思う。以前にも増して複雑なリズムやサウンドテクスチャが作品の大半を占めているのだが、パッと聴いた印象はとても爽やかでスッキリしていて、リリースされた初夏の空気感にもピッタリだった。過去の『POLY LIFE MULTI SOUL』などはもちろん超がつくほどの名盤だけれども、聴くときに少し身構えてしまうというか、よし、聴くぞという気持ちが必要だと感じるときがある。一方の今作はもっと気軽に聴ける感じがかなり高ポイント。アルバム曲だとお気に入りはM3「Tableaux」だが、とはいえM8「Fdf」がやっぱり名曲すぎる。


第5位 YONLAPA - Lingering Gloaming

先ほどのceroと(たぶん)同時期に聴いていたタイのYONLAPAの新作が5位。これめちゃくちゃ最高。あくまで典型的な近年アジアのインディポップっぽい音ではあるのだが、外し具合がちょうどいいというか、「そうそう、これが聴きたかったんや〜!」と言いたくなる「ちょうどよさ」が絶妙で素晴らしい。インディ、オルタナ、パンク、シューゲイザー、ドリームポップ、全部のおいしいところだけを抽出して作ったような心地良さ。これはたまらない。夕方の帰り道によく聴いていて、夕陽を眺めながら思わずウットリ…みたいなことしまくってたな…。本当に名曲揃いだが、M6「I'm Just Like That」がよすぎて毎回たまげる。


第4位 スピッツ - ひみつスタジオ

日本で唯一成功を収めたインディロックバンド(と思っている)、スピッツの新作。2016年の『醒めない』以降「ヤバい時期」に入ったと個人的に思っている(ずっとヤバいですが)スピッツだが、今回もやっぱりすごかった。4位ともなると言うことがなくなってきた…。すばらしいシングル曲にすばらしいアルバム曲を足してできたアルバムなんだからそりゃあいいに決まっている。「紫の夜を越えて」「大好物」「美しい鰭」の完璧なスリーコンボに加え、「ときめきpart1」もまた名曲…。それ以外で注目したいのはM6「オバケのロックバンド」。草野さん以外のメンバーがそれぞれのパートについて歌うヴァース部分が印象的だが、今のスピッツだからこそできるある意味でのオジサンっぽさ、かわいさがすごく好き。かわいいながらもグッとくる感じも超ニクい。ジャケットがダサくて(個人の意見です!!!!!!)あんまり好みではないけれど、なんかそこも愛せる。


第3位 The Rolling Stones - Hackney Diamonds

いよいよベスト3。3位はストーンズの新譜。これと後述する1位のアルバムのおかげで、個人的には2023年はクラシックロックの年ということで落ち着いたような感じがする。正直70年代の黄金期以外のストーンズはほとんど聴いていないけど、これはこれまでのカタログの中でもかなり良い作品なのではないか?!と思わざるを得ない出来。今までにもあったようなめちゃくちゃオーソドックスな「ストーンズっぽい」テイストなのだが、なんか良い。めちゃくちゃ良い。ロックって気持ち良いよね、やっぱこれだよね、とストレートに納得させられたな。なんといってもM1「Angry」が最高で、その次のM2「Get Close」もすごく好き。ポールマッカートニーがベースで参加(!!!!)してるM4「Bite My Head Off」もめちゃカッコいい。チャーリーワッツのドラムが入ってる曲もあったりで、普通に感極まる感じもある(四つ打ちのノリノリな曲(M4「Mess It Up」)なのも良い)。最後が「Rolling Stones Blues」のカバーなのはマジかよって思ったけど、ジャガー御大がインタビューで「これが最後のアルバムじゃない」と仰っていたので少し安心。なんにせよ曲が良いから、ストーンズ待望のアルバムということを差し引いてもかなり推せるアルバム。


第2位 Summer Eye - 大吉

第2位は元シャムキャッツ夏目さんのソロプロジェクトSummer Eyeのファーストアルバム『大吉』。これはもう死ぬほど聴いた…。歌詞カードなし耳コピだけで、歌詞もだいぶ覚えた気がする。ここ1,2年ダンスミュージックの機運が高まっていた自分のストライクゾーンど真ん中に、ズドーンと来た。このアルバムは本当に何から何まで好きだな…..。シャムキャッツのギターポップサウンドとは打って変わって、ハウス+ブラジル+歌もの的な感じとでも言えばいいか。僕はボサノヴァやブラジル音楽には全く詳しくないのでよくわからないが、ハウス・テクノ由来の踊れるビートに軽やかなボサノヴァっぽいギター、それに夏目さんの優しいボーカルが乗っていて、これ以上に気持ちいい音楽なんてあるのか!!と叫んで回りたくなるような感じである。けっこうなタイミングでTB-303っぽいアシッドハウスのアレが聴こえるのもめちゃくちゃ良い。サウンドも超大好きだが、歌詞もすごく好き。フレーズも好きだけど、全体的なテーマ感というか、スタンス感が好き。飄々としていてゆるいのに、芯を食ってくる感じ。これが一番カッコいいよ….。大名盤。


第1位 くるり - 感覚は道標

堂々の第1位はくるりの新作。シンプルに1番聴いたアルバム。これも歌詞をほとんど覚えているような気がする。先行で出ていた「In Your Life」「California coconuts」を聴いたときは初期くるりのオルタナ路線に回帰するのかなーと思っていたが、アルバムを聴いてみると回帰するのはそこだけではなく、ビートルズやローリングストーンズなどのクラシックなロックだった。これには驚いたのと同時に嬉しかったし、納得感もあった。オリジナルドラマーの森さんを迎えての制作で、「かつての自分たち」だけではなく「かつての自分たちが共通で好きだったもの」が自然と呼び出されて出てきたのかなと思う。出だしが良いアルバムは良いアルバムという持論(というかただの好み)を持っているので、初めて聴いたとき、M1「happy turn」、M2「I'm really sleepy」を聴いて名盤であることを確信したのをはっきり覚えている。The Rolling Stones「Rocks Off」オマージュのM1、「ほんま〜にはっらたつ〜」の歌い出しのM2……どちらも好きすぎる。M6「LV69」はオケだけでなく、歌詞もすごく好き。たぶん、個人的2023年ベスト歌詞。聴いたことがない人は歌詞を読みながら聴いてみてほしい。サウンド面ではドラムのいなたすぎる音色がめちゃくちゃ好み。あまりにもビンテージなサウンド。いまどきこんな音でやってるバンド他にいないし、今これをやる潔さもカッコいいなと思う。いろんな音楽が好きだけど、やっぱり自分はロックが一番好きだなーと改めて思えたアルバム。


番外編

NewJeans - Get Up
今年はくるりの年であったと同時に、自分にとってはやはりNewJeansの年でもあったなと思う。アイドルにもK-POPにも今までほとんど興味がなかった自分が、初めてちゃんと追いかけているグループだ。アルバムではなくEPなので、番外編で。「Ditto」「OMG」の反響を受け、ダンスミュージック色をさらに強めた今作。ジャージークラブやドラムンベースの引用などさすがに少し作為的な感じはしてしまうが、圧倒的に「良い曲」なので全く気にならない。


XG - NEW DNA
K-POPの作品をもう一つ。公式では「X-POP」という看板でやっているらしいですが…。HIP-HOPやR&B的なK-POPにはどうしてもあまり興味が湧かないのだが、XGの「明らかにイカツい感じ」には自分の本質的な好みではないながらも結構惹かれる。とはいえ好きなのは四つ打ちの「TGIF」「NEW DANCE」なのだが….。これからもこういう感じの曲を出していってほしいと所望。ハーヴィ?の声、めちゃカッコいい。


KIKI - Post-existential Crisis
YONLAPAに引き続きタイのバンド、KIKIの新作。前作よりダンス色が強くなり、より自分の好みに…。シングル曲がどれもとにかく良くて、特にM3「Daydream」が好き。なかなかいいアルバムだが、ceroやYONLAPAに聴くタイミングを奪われてこちらを聴かないことも多かった印象…(すみません)。ジャケがめちゃくちゃかわいい。


家主 - 石のような自由
リリースがあまりにも最近なので番外編で。家主、今回もロックしてるな〜。こないだ初めて聴いて震えた。先行で出ていた「きかいにおまかせ」は本当に名曲…。まだ全然聴き込んでいないけど、M5「部会」、M8「耐えることに慣れ過ぎている!」、M11「今日はひとりでいようね」あたりは特に好きな印象。今冬のヘビーローテション確定盤。


以上、加賀屋的2023年ベストアルバム+番外編でした。
ランキングを眺めると例年どおりインディロックがメインな感じがするが、個人的な感触だと、今年はダンスミュージックとクラシックロックの年だった。
クラブでかかるハウスやテクノ、ディスコ、ニューウェーブなんかがより好きになった一方、ストーンズやくるりの新作、ビートルズの「Now And Then」のリリースなどもあって古典ロック熱もかなり高まった。やっぱりJ-POPが好き!みたいな気分は今年はあまりなかったかもしれない。いや、そんな気分の年あんまりないか…。

来年はどんな名盤に出会えるのか….。オザケンぼちぼちアルバム出さないかな…オアシス来年こそは再結成するかな……。
などいろいろ考えたり。それではみなさん、よいお年を!


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