風呂上がり

生まれてこの方「風呂→晩ご飯」の順番で生きてきたので、この頃みたいに昼が長い時期は風呂から上がってもまだ明るい、みたいなことはざらだ。

というのは少し嘘で、あえてそういう風になるようにしている。隙を窺って少しでも早く風呂に入り、「明るいうちに風呂に入り、上がる」という旅行先の夜みたいなことをする。


このときあえて長く湯船に浸かる。41℃の湯に30分とか。しかも全身浴で。もう6月なのでこれは修行といっても差し支えないだろう。

フラフラになって風呂から上がり、とりあえずパンツだけ履いて扇風機で無理矢理体を乾かす。この時期のバスタオルはもはやその機能を完全に失っている。コーラとか三ツ矢サイダーあたりの炭酸飲料を一気飲みし、この世で一番美味しい飲み物は絶対これと思う。

ひとしきり落ち着いたあとようやくのことでTシャツを着、レコードプレーヤーにお気に入りのLPをセットして再生。

椅子を窓のそばに移動させる。部屋の明かりを最小限に抑えて椅子に座る。

僕の部屋の窓は西を向いているので、風呂から上がった19時頃だとちょうど日没直後とか(知らんけど)で、夕方と夜の割合が6:4ぐらいのあの感じの空が見える。


そこからはもうLPのA面とB面を入れ替えるタスクしか残っていないから、ひたすらボーーーっとしまくるのみだ。

"しまくる"と書くとなにか能動的な心の動きがあるように思えるからいけないな。



熱帯夜というにはまだ早い6月の夜(と、4割の夕方)。風が気持ち良い。

片田舎の寝屋川といえどマジックアワーの空は等しく綺麗で、元々捨てようともしていなかったのに、ああこの世も捨てたもんじゃないななどと安易に思ってしまうほど。

眼下(部屋は少し高いところに位置している)の道を自転車で走る少年達を見て「ストレンジャーシングスみたいやな~」とか、散歩させられている犬を見て「でかいな~」とか思っていると、あっという間にA面が終わった。


B面に入れ替えて椅子に戻る。気が付くともうほとんど夜だ。9:1ぐらい。

オイシい時間のピークが過ぎてしまったことを軽く残念に思いつつ、残りの曲を聴く。

遠くの街明かりもすっかり夜のものになっている。さっきより全然白い。夜の明かりって、色とか雰囲気が、昼とか夕方のと全然違うよね。

片田舎の寝屋川といえど、夜の明かりは夜の明かりの色をしている。

音楽もいくぶんアダルトな響きをもって聴こえてくる。逆に、夕方特有の哀愁はなくなるけど。(今風に言うところの「エモい」ってやつ)



夜の割合が9.5ぐらいになったところでアルバムも最後の曲を迎え、魔法のような風呂上がりのこの時間も終了。



これが最近の僕の楽しみ。真夏じゃない夏っていう、今の時期しかできない。

リゾート気分とはまたちょっと違うけど、旅行に行かずともこんな気分が味わえるだなんて。贅沢な時間。



最後に、何のレコードをかけるかは重要です。今日はサザンの『10ナンバーズ・からっと』でした。

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