再帰性(1):教育学の参照基準
大学で学生を教えるとき,私の中で聞こえてくる声があります。
「じゃあ,お前はどうなんだよ?」
大学生の頃,私は決して褒められた学生ではありませんでした。
しかし,大学教員として,学生に一丁前に教えならなければいけません。
私は大学生だったとき,どうだったのだろうか。
大学教員の私が言うように,大学生のときの私はきちんと勉強していたのだろうか。
そして,大学教員の私はそれを隠すことなく今の教育に生かしているのでしょうか。
こうして私は,私が辿ってきた道をもう一度歩み直し,これから歩む道を考えています。
私だけでなく,教育に携わる者ならだれでも,自分自身の教育経験を振り返り,現在の教育自体を問い直したことがあるのではないでしょうか。
これは教育学における再帰性と呼ばれます。
この再帰性の概念については,教育学だけでなく,社会学を中心にこれまで議論がなされてきたようです。
その議論は,質的研究の品質基準の議論とも重なるところがあります。
これからしばらくは「再帰性」を一つのキーワードにしてちまちまと勉強して記事を書いてみます。
最終的にはそれを一つの視点として整理し,科学教育における質的研究を再検討することを目指したいと思います。
質JARSがひと段落して新シリーズ開始。教育者は二度同じ道を辿る、とかいう名言ないですかね。
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