見出し画像

人生を折り返して

3月14日に49歳の誕生日を迎えました。

人生100年時代と言いますが、じっさいはまあ、88歳くらいで死ぬんだろうなとなんとなく思っています。

だから私は、44歳から45歳になった2017年に「人生を折り返した」と考えることにしました。

死の距離感がつかめるようになる

人生を折り返すと、死ぬまであとどのくらい時間があるかをイメージできるようになります。なぜなら、その時間を過ごしたことがあるからです。

10代や20代だと死ぬまでに60~70年あり、それがどのくらいの長さなのか、過ごしたことがないから想像がつきません。でも今は、死ぬまでの時間と同じ長さをすでに経験したことがあるので、だいたいどのくらいなのかイメージがわきます。

今から88歳までの39年間は、小4から現在までの長さと同じ。小4といえば入間市から所沢市に引っ越した年。ああ、あの頃ね。みたいに、死ぬまでの距離感がつかめる。人生を折り返すとはそういうことです。

残りの時間がイメージできるようになると、自然と一日を大切に過ごせるようになってきます。あと39年しかないから、毎日をきちんと生きようと考えられるんです。

もちろん、一日のすべてを一秒たりとも無駄にしないほど、ガチガチになるわけではありません。YouTubeでどうでもいい動画を延々見たりはします。でも全体としては、フワフワとではなくしっかり生きられるようになったような気がします。

ダメだった20代30代

思えば20代30代はずいぶん無為にすごしました。ただ、20代は人生に迷う時期だし、わけもわからず毎日をダラダラと消化していくのはこれはもう仕方がないんですよ。だから20代がダメダメだったのは別に後悔していません。

でも私の場合は30代もわりとダメダメで、そっちはけっこう後悔しています。インターネットの発展期で、ネットにハマってました。35歳で現在の大学に就職しましたが、そのあとも暇さえあればネット麻雀ばっかりやってた。

それがいい経験になって今に活きている、とは思いません。純粋にムダだった。もっといっぱい本とか読むべきでした。そのほうが絶対に今につながっていた。

でもまあ、済んだことはくつがえせないので、立ち直れてよかったなあと単純に考えるようにしています。無為にすごす時間の虚しさを知っていることが、あとで何かの役に立つかもしれないですし。

43歳くらいからようやく教育も研究もかたちになってきて、スキルも身についてきたので、そこから先はダラダラとすごすこともなく、悔いなく生きられています。アイドルファンになって奥さんとライブ通いをするようになるのもこの頃で、公私ともに充実し始めました。

ただそのタイミングで中年男性に特有の自律神経失調症を起こしてしまい、一日中胸が圧迫されて息ができないとか、突然全身に鳥肌が立つとか、急に目が回るとか汗が噴き出すとか、毎日のように体調が悪くて大変でした。人生はなかなかうまくいかないものですね。

しかしそれも47歳ごろにはだいぶおさまり、ここ2年くらいは体調に問題ありません。ようやく長い長い準備期間が終わり、いよいよスタートラインに立ったという充実感に包まれています。

ここからが人生のピーク

私は、自分の人生のピークを50~60代の20年間に定めています。今決めたわけではなく、昔からそうだと思っていました。

私が小さい頃から、母親は「お前は大器晩成だから若いうちはモノにならない」と繰り返し私に言い聞かせてきました。なにを根拠にそう言っていたのかもはや確認できませんが、何か思うところがあったのでしょう。

なんか本当にその通りの人生になってきました。最初の単著を出したのが46歳の時。これは研究者としては遅いほうです。しかしそこからはハイペースで成果をかたちにできています。ダラダラ生きてきたので出遅れたのは仕方ありません。今から本気を出せればいいんです。

あと1年で50歳。自分が定めた人生のピークが始まります。1年間しっかり準備して、楽しい50代に突入していきたいものです。

残りの人生を月単位で数える

残りの人生を数えるとき、もっとも短く感じる単位はおそらく「月」です。人生88年とした場合、1056か月。そもそも人生は1000か月くらいしかない。この事実にはじめて気づいたときは驚愕しました。大学生のみなさんだって、もう残り800か月を切っているんですよ、人生。

長く感じる単位よりも、短く感じる単位を意識したほうが濃い人生を送れるかなと思って、私は最近、月単位で人生を考えるようにしています。この1か月で何に取り組むか。この1か月で何ができるか。毎月はじめに手帳に書き出しています。

それがきちんと達成できたことなんか一度もないんですけど。でも意識するだけでもきっと違いますよね。そう信じてやっています。

この先20年間ずっと順風満帆ってことはなくて、かならず何か計画を狂わされるイベントにふたつみっつ遭遇するんでしょう。240か月のうち10~20か月分くらいは、あんまり面白くない時間になると覚悟しています。

そのときようやく、20~30代の無為な時間が活きてくるかもしれません。やりたいことができないのは残念だけど、でもやりたいことがないよりはマシ、みたいな思考がたぶんできる。そこでダメダメだった自分を回収できれば、こんなにうまい話はありません。