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セルフレジが苦手

水戸駅近くの某コンビニは、3台のレジのうち2台がセルフレジだ。

私はホテルに泊まるので、残業で遅くなったら、その日の夕食とか、翌日の朝食とか、飲み物とか、いろんなものをコンビニで買う。7点も8点も買うので、セルフレジはかなり難易度が高い。できれば店員さんにやってほしい。

でも、唯一の対人レジが閉じていて、店内を見渡しても店員さんが見つからないことがある。レジの前で、「すいませーん」と遠慮ぎみに言っても反応がない。

コンビニ中に響きわたる声量で「スイマセエエエェェェン!!!」と絶叫すれば、きっと出てきてくれるが、恥ずかしいし、地元の大学教員は模範的に振る舞うべきなので、そんなことはできない。

仕方がないから、ため息をつきながらセルフレジと向き合う。

商品をひとつずつカゴから取り出して、なめ回すように必死でバーコードを探すが、老眼だからなかなか見つからない。ようやく見つけてリーダーを当てるも、すでに力尽きていて「ピッ」の音がよく聞きとれず、もういちどリーダーを当ててしまって「ピーッ!」という警告音が鳴り、そこでようやく二度計算してしまったと気づく。

あわててキャンセルしようとボタンを探すのだが、どれを押せばキャンセルできるのか分からず、あたふたしたまま時間がすぎていく。

そうこうしているうちに、あ、そうだ、レジ袋をひろげなきゃ、と思い出して手にするも、ピッタリくっついてまったく開かないので、指をしめらせるスポンジみたいなやつを探す。しかし見つからない。

キョロキョロしていると、レジの奥のほうに発見。つま先立ちで前のめりになって、スポンジに手を伸ばした瞬間、リーダーを引っかけてしまい、ガシャン!という大きな音とともにリーダーがカウンターの下まで垂れ下がり、ブランブランと揺れている。

リーダーを拾い上げて計算を続けるが、片手にリーダーを持って、もう片方の手で商品を袋に詰めるのがうまくできない。なにしろ作業スペースが小さい。しょうがないので、一回一回リーダーをレジに戻して、片手を添えながら商品を詰めていくから、余計に時間がかかる。

悪戦苦闘のすえ、3分くらいかかってようやくほとんどの商品の計算を終え、最後にビールをピッとやると「店員を呼んでください」の表示が。

だったら最初から呼べばよかった。

あと何年かすれば、ユニクロの会計みたいに、ゲートをくぐると一瞬で自動会計される感じになるのだろう。そう考えると、このセルフレジという仕組みは、令和の一時的なものではないかと思う。

30年後くらいに令和ノスタルジーが流行して、そこでセルフレジが紹介されて、みんなで「あった~なつかし~い!」と語りあうのかもしれない。

そのとき、80代になった私は、セルフレジの失敗談をとっておきの令和エピソードにするだろう。「おじいちゃん、その話はもう何度も聞きましたよ」と、ヘルパーさんにたしなめられながら。